INDY CAR

第10戦トロント【初日】フォト・レポート

<US-RACING>

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今週末のインディカーシリーズは国境を越えて、カナダの2連戦がスタート。今年からシリーズ・カレンダーに加わったトロント市街地サーキットで、初日のプラクティス走行が行われました。トップ・タイムを記録したのは、なんとルーキーのラファエル・マトスでした。フォーミュラ・アトランティック・シリーズでのレース経験を活かし、1分1 秒4739のタイムをこの1.755マイル・コースで記録。この日2回行われたプラクティス・セッションの、総合トップとなったのですが、第2セッションの終盤にターン11でウォールに接触して一日を終えました。「チームにとってほんとうにうれしい結果だ。良いクルマに仕上がっているよ。今日は最後に色々問題があって、少しフラストレーションがあったけど、ルクソー・ドラゴンのクルーが一生懸命マシンを整えてくれるだろう。クルマがまた完璧になると確信しているよ。今日よりもうちょっとハンドリングを良くして、明日の予選で上位を狙いたい」と初日を振り返ったマトス。クラッシュは軽かったようなので、明日の予選前のプラクティス走行に間に合いそうです。

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2位に入ったのは、先週デイル・コイン・レーシングに初優勝をもたらしたジャスティン・ウィルソンでした。「僕らのマシンはすごく良い感じだよ。ほんとうに満足している。まだこれ以上ハンドリングを改良する余裕はあると思うんだ。新しいタイヤで1周しか走れなかったからね。明日の走行では、もっと速くなれる自信がある」とウィルソン。2005年のチャンプ・カー・トロント・ウイナーであるウィルソンは、2連勝に向けて順調な滑り出しを見せました。

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2年前のチャンプカーのトロント覇者、ウィル・パワーがインディ500以来となるペンスキーの3台目で参戦。2ヶ月のギャップがあったはと思えない走りを見せ、この日3位となりました。「ペンスキーのマシンで3位のタイムを記録できて、かなり満足しているよ。それと同時に、明日の予選に向けてのセットアップを探していた。トラフィックの中やピットから出てくるマシンに引っかかるときのブレーキングは、ちょっと苦労したね。でも明日の予選では、コース上のマシンの数が少ないから、大丈夫だろう。明日は雨が降るかもしれないので、面白い展開になりそう」とうれしそうなパワー。チーム・オーナーのロジャー・ペンスキーが所有するトラック・レンタル会社、“ペンスキー・トラック”がマシンスポンサーとなっており、トロント以外に、エドモントン、ケンタッキー、インフィニオン、ホームステッドでの参戦が決まっています。

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4位のタイムを記録したのは、ニューマン-ハース-ラニガン・レーシングのロバート・ドーンボスでした。「良い一日だったね。これまでで一番良かったかもしれない。プラクティス走行では順調な走りができた。またトロントに戻れて、うれしいよ。街が最高だし、コースも最高。かなりバンピーだから、最初に慣れるには、数ラップ走らなければならない。そのうちリズムを見つけると思うんだ。ユーズド・タイヤではかなり良いところまで行けていたので、明日は楽しみだ」とドーンボス。2007年にチャンプカー・チームのミナルディUSAで6位フィニッシュした経験がありますよ。

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トロント未経験のドライバーの中で、最上位となる5位を獲得したライアン・ブリスコー。「今日は1日かけてこのコースを勉強していた。チーム・ペンスキーのマシンは良い感じだと思うよ。コースはやっぱりすごくバンピーで、かなり大変。すごくテクニカルなサーキットだね。波乱なレースになるかもしれない。明日もプラクティスがあるし、予選もあるので、そこで良いところに行けたら良いなと思う」とトロント初体験を語ったブリスコー。明日の予選でも期待できそうですね。

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地元でのレースに参戦することができたトレイシーは、ファンの期待に応え、6位のタイムを記録しました。「チームにとって素晴らしいテスト・デーとなった。午前中のプラクティスは調子が良く、セッション中の大部分をトップ5で走っていたし、クルマのフィーリングはすごく良かった。またホームタウンのファンの前でこのコースを走ることができてうれしいよ。午後には、レース・セット・アップに向けて、色々試したんだけど、その変更はダメだった。そこでちょっと迷ったね。まぁ、プラクティス・セッションはまさに色々試すためにあるものだから。明日の午前中にまたプラクティスがある。またトップ5で走れると思う」と自信たっぷりのトレイシー。1992年から2007年まで参戦し、2回も制したトレイシーは、ダントツで経験豊富なドライバーです。

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母国のレース参戦が決まったアレックス・タグリアーニ。インディ500で33番グリッドから11位を獲得し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを飾ったタグリアーニは、2000年から2007年の間に8回も参戦経験を持っています。しかし、1ヶ月前のテキサス戦以来走っていないためか、今日は17位が精一杯でした。クルマは以前と同じく、次戦エドモントンのPRカラーリングとなっています。

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今回トロント初参戦となった武藤英紀は苦戦の一日となりました。最後までグリップ不足に悩み、総合19位で終了。チームメイトのトニー・カナーンが10位、マルコ・アンドレッティが15位、ダニカ・パトリックが18位と、このレースのプロモーターであるAGR勢は全員が不振に陥っています。速くするための課題が多く、彼らにとって長い夜になりそうですね。

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「すごくコースがバンピーで、レイアウト自体はすごく面白いと思うんですが、ずっとグリップ感が得られなくて、かなり苦しいです。はじめはそんなに調子が悪くなくて、そこそこだったんですが、タイムが全然縮まっていかないというか、遅くなるくらいでした。何か壊れているんじゃないかと思うほどです。普通は少し変更しても、敏感に感じるんですが、全然何も感じ取れないんですよ。足回りを変更してもフィーリングが一緒で、何をやってもあまり感じないので、久しぶりに困っています」

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2年ぶりにレース開催となったトロントの初日は朝から快晴となりました。少し蒸し暑さを感じたものの、気温は午前中で21度とそれほど高くはありません。午後からも薄い雲が上空を覆いだした程度で、寒くも暑くもない過ごしやすい一日でしたね。3年ぶりにトロントへ来たのですが、コース・レイアウト自体は変わっていませんでした。インフィールドにサッカー場などができていたり、以前メディアセンターだったターン1の内側のビルディングが改装中で入ることができなかったのが、前回と違う点でしょうか。このビルディングの屋上から街の俯瞰を含めたカットが撮影できていたのに、今年は無理と分かってとても残念ですよ。明日は午後の予選時に雨が降るような予報となっていますが、その辺をどう読むのか、そして誰が予選を制するのか楽しみですね