INDY CAR

第6戦テキサス【決勝】フォト・レポート

<US-RACING>

画像

テキサスの暑い夜に繰り広げられたハイスピード・バトルは、インディ500の覇者、エリオ・カストロネベスが制しました。4番グリッドからスタートしたカストロネベスは、残り53周の175周目のピットストップでチームメイトのブリスコーからリードを奪い、ベテランらしいドライビングで2位と0.3904差でチェッカー。「ライアン(ブリスコー)と彼のクルーに感謝しているよ。チームメイト同士でプッシュし合っていたからね。レース序盤は燃料をセーブしていたんだ。クルマがかなりルーズで、危なときもあったけど、なんとか良い作戦を見つけて、素早いピット・ストップでトップに入れた。最後の50周はすごくタフでかなり我慢していたよ。テキサスでのワンツー・フィニッシュは、そう簡単にできるもんじゃないからうれしいね!」と、わずか2週間で再びフェンス登りを披露し、大喜びのカストロネベス。テキサスでは3勝目、キャリア16勝目となりました。

画像

圧倒的な速さでレース中盤までを支配していたライアン・ブリスコー。150周目の時点で9.9851秒までリードを広げていましたが、その直後のイエローコーションによってアドバンテージが一瞬で消え去ってしまいました。173周目には再びコーションとなり、175周目のピット・インでチームメイトのカストロネベスと順位が入れ替わって2位へ後退。カストロネベスの後ろに付けていたブリスコーですが、カストロネベスに迫るタイミングが見つからず、惜しくも2週連続の2位でレースを終えました。「すごくがんばったけど、終盤のエリオの走りにはかなわなかった。レースをずっとリードし、最も調子が良かったのに、残りの20周にエリオをパスできなかったのは、ほんとうに悔しかったよ。ハイラインはエリオより遅かったみたいだね」と残念でならない様子のブリスコー。しかし、228周中160周もリードしたため、最多ラップ賞でポイントが加わり、3ポイント差でチャンピオンシップ・ランキング・トップに浮上しました。

画像

8回ものコーションが発生した08年テキサス戦の勝者、スコット・ディクソンは3番グリッドから連覇を狙っていました。レース序盤に3番手をキープし、一時2位まで浮上しましたが、最終的にペンスキーの2台に追いつかず、3位が精一杯でした。「意外にイエローが少なく、グリーン・フラッグ中の走行が多かったね。ターゲットのマシンは悪くなかったけど、ペンスキーの2台は完璧だったよ。もうちょっと調整が必要だね」と言葉の少ないディクソン。コーションが多いことを予想した作戦だったようで、イエローの少ない今回のレースは、彼の思いどおりに行きませんでした。

画像

みごと4位で今シーズン初のトップ5フィニッシュとなったマルコ・アンドレッティ。レース中盤に一時2位まで浮上したアンドレッティですが、残り28周になると7位まで後退していました。レース終盤に猛チャージでダニカ・パトリックと10周にも及ぶ熱いバトルに入り、ついに残り6周でパトリックをパス。その勢いで最終ラップにフランキッティまでオーバーテイクしたのです。「チームメイトとのバトルが一番タフだったのはおかしいよね。AGRの4人中、仲間意識を持っているのは3人だけみたいだよ」とパトリックに対してちょっとご立腹のアンドレッティ。見ていた感じではフェアなバトルだと思ったのですが、ドライバーにしか分からない何かがあったのでしょうね。

画像

ポール・シッターのダリオ・フランキッティは、レース前半にブリスコーやチーム・メイトのディクソンに先行を許し、4番手で走行していました。3回目のピットを終えたフランキティはトップ・グループから徐々に離されたものの、順位は変わらず4位で独走。ところが、不運にもラスト・ラップに燃料切れとなり、アンドレッティにパスされて5位で終えることになりました。「遅かったよ。今夜は最初からスピードが無かった。一番の問題は燃費。最初からそれを知っていたら、もっとセーブしていたんだけどね。チャンピオンシップで1ポジション落ちたけど、シーズン終了のポジションに影響が出ないと良いね」と、少し不満のフランキッティでした。

画像

5番グリッドからスタートしたダニカ・パトリックは、どうしても連続トップ5を守りたかったようです。序盤にハンドリングの問題で後退したものの、ダン・ウェルドンと5番手争いに入り、192周目にアグレッシブなインサイド・パスで再び5位に浮上。終盤にトップ・グループから離れたダニカに、チームメイトのアンドレッティが迫ってきました。残りわずか6周で交わされ、惜しくも6位フィニッシュ。「今週中ずっとクルマがしっかりしていたけど、レース中にステアリングが急に重くなったの。最初のクルマと設定が変わったような感じだったわ。連続でトップ5フィニッシュしたかったけど、最終的にマルコにパスされちゃって。でも6位で満足かな」と大人らしさを見せるパトリック。5戦連続トップ5フィニッシュを逃してしまいましたが、次戦のレースにも期待です。

画像

レースのセッティングに関して自信を持っていた武藤英紀は11番手からスタートしました。スタート直後に13番手まで順位を下げたものの、105周目のピット後、徐々にポジションを取り戻し、一時9位まで浮上しました。イエロー・コーション中の152周目に3回目のピットに入った武藤でしたが、突然ギア・チェンジができない電気系トラブルが発生。ピットの裏まで車を移動して調べましたが、最終的に問題は解決せず、リタイアを余儀なくされました。

画像

今季初のナイト・レースとなったテキサス・モーター・スピードウェイ。アクシデントが多いことで有名な超高速オーバルは、今回も評判どおりのスタートとなりました。グリーン・フラッグを受けて2周目を終えた上位の後ろで、武藤と同じ列だったグラハム・レイホールがいきなりスピン。後ろで走っていたEJヴィソとミルカ・デュノが巻き込まれ、3台ともリタイアとなりました。「クルマが最悪で、コントロールできなかった」と悔しそうなレイホール。ドライバー3人とも無事でなによりです。

画像

今日の日中は薄い雲が出ていて、それほど暑くなかったのですが、夕方になると快晴に。すると西に傾いた太陽の日差しがとても強くなり、最高気温も33度まで上昇して3日間で一番暑く感じましたよ。午後8時30分ごろにはさすがに暑さも一段落しましたが、相変わらず湿度は高いので歩いていると汗が滲んでくる暑さとなりました。席に座って観戦している分には、それほど暑くも無く、ビールがとても美味しく感じる気候だったと思います。うーん。5月から毎週続いていたスケジュールですが、来週はやっと何もない週末を迎えて、つかの間の休息。次回は武藤が日本人最高位の2位を記録したアイオワです。得意のショートオーバルで、今度こそ頼みますよ! ではみなさん、アイオワでまた会いおわ・・・(ナイトレースは大変だぁ・・・)