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インディ・カー・シリーズ ノン・チャンピオンシップ戦 サーファーズ・パラダイス【初日】フォト&レポート

<US-RACING>

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激闘が繰り広げられてきた2008年のインディカー・シリーズは再び国境を越え、これから夏を迎えるオーストラリアに初上陸を果たした。舞台となるサーファーズ・パラダイスの市街地コースは、まだ朝の気温が低く、体感温度では10度くらいだったが、陽が高くなると気温は23度まで上昇。朝のうち雲がかかっていた空も、セッション開始とともに青空へ変わっていった。2年ぶりのサーファーズ・パラダイス取材となったが、相変わらず初日から多くの観客でにぎわっている。インディカーの初日走行は12時20分に終了となるものの、インディカー以外のサポート・イベントが盛りだくさんで、陽が暮れるまでレーシングカーが走っていた。チャンプ・カーとインディカーの合併により、急遽カレンダーに加わった今回のレースは、ポイントが加算されないノン・チャンピオンシップ・レース。タイトル争いのプレッシャーから開放されたチームとドライバーは、どんなレースを見せてくれるだろうか?

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トップ・タイムを記録したのは、地元レースに燃えるKVレーシングのウィル・パワー。予想通りチャンプ・カー時代にコースを経験したドライバーや、昨年までレースを行っていたチャンプ・カー勢が上位を独占したなかで、パワーはプラクティスから鬼気迫るアタックで1回目のプラクティスでトップ・タイムを記録する。2回目のプラクティスでも手を休めることなく攻め続けるパワーは、さらにタイムを削り取り、1分34秒8084秒をマーク。2位以下を1秒以上引き離す快走で、凱旋レースの初日を制圧した。「チームにとって素晴らしい一日になったね。予選は明日だから期待するのはまだ早いし、全てを集中するのは明日と日曜日なんだ。マシンが速いことは嬉しいけど、僕達はまだ進歩が必要だね。とても激しい戦いになっているから、明日はさらに速くならなくてはいけないよ」と気を引き締めるパワー。この調子を維持して決勝まで突き進みたい。

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初日2位につけたのは、コース外でなにかと話題のエリオ・カストロネベス。脱税容疑で係争中のカストロネベスは当初アメリカ国外への渡航が認められていなかったものの、保釈条件が変わったためになんとか出場にこぎつけた。裁判の行方は予断を許さない状況だが、ひとたびコックピットに納まると、さすがベテランの集中力。インディカー勢のトップとなる1分36秒1609の2位をマークした。さらにタイム・アップを狙ったラップでは、タイミング悪くイエローが出てしまったため、今日はウィル・パワーを追い詰めることができなかったが、明日の予選で巻き返しを狙い、チャンプ・カー時代を通じて1勝もしていないサーファーズで初勝利を目指す。

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1年ぶりのインディカー復帰を果たしたダリオ・フランキッティは、まったくブランクを感じさせない走りで、いきなり3位に入ってみせた。昨シーズン終盤からNASCARに参戦していたフランキッティだが、今シーズン途中にスポンサーが離脱するという憂き目にあい、無念の撤退。再び走りなれたインディカーへ復帰を決意し、今日の走りはNASCARで溜まったフラストレーションを爆発させるようだった。「今日はどこまでできるか確信がなかったんだ。何しろ一年間ストックカーや他のマシンに乗っていたからね。良いマシンを用意してくれたクルーに感謝しているよ。サーファーズには5、6年来てなかったと思うけど、こんなに早く勘を取り戻せたのには驚いたね。走りはじめからそれほど違和感がなかった。今日のパフォーマンスにはほんとうに満足している。明日も攻め続けるよ」と気合を入れるフランキッティ。復帰第1戦目から1999年以来のサーファーズ優勝を勝ち取ることができるか大いに注目だ。

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見事、2008年のルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した武藤英紀は、未経験のコースに苦しい立ち上がりとなったが、順調にタイムを縮めて1回目のプラクティスは1分39秒4673の15番手。2回目のプラクティスではさらにタイムを削って、1分38秒8353の14位で初日を終えた。コース経験をもつドライバーが当然上位にひしめく厳しい状況でも、コース経験のないドライバーの中では2位のタイム。チームメイトのマルコ・アンドレッティやダニカ・パトリックが、19位と20位に位置していることを考えれば、武藤のポテンシャルの高さが証明されている。明日の予選と決勝を通したタイム・アップに期待しよう。

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「路面のミューが低く、コーナーの数が多いので、コース経験のあるドライバーとない人の差が大きく出てしまっていますね。マシンの状態は徐々に良くなっていって、ラップ・タイムも1回目のプラクティスから上がっていました。ただ最後のニュー・タイヤでのアタックは曲がりきれず、まっすぐ行ってしまったのでそれが悔やまれますが、トップ10に入れるかどうかという位置まで来ていると思います。久々のレースになるので、やはり新鮮ですね。約2ヶ月ぶりのレースということで、1セッション目の走り出しは、フィーリングが違いました。セッティングは悪くないと思いますが、今週末はチャンプ・カー勢に追いつけないかもしれません。走りはじめから全然違いましたね」

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パワーと同じく凱旋レースとなるライアン・ブリスコー。今年はシリーズ初優勝を達成するなど、いちやくインディカー・シリーズのスターとなったため、自然と地元観衆の注目があつまる。2006年にチャンプ・カーで経験したコースだけに、ブリスコーも自信を見せていたが、初日は思った以上にふるわず、パワーから2.7099秒遅れの9位。パワーVSブリスコーを期待していた観客にとっては、少し期待はずれの初日になってしまった。

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フランキッティと同様、来シーズンの移籍が決まったドライバーがすでに今週末から走り出している。フランキッティ加入によりチップ・ガナッシを去ったダン・ウエルドンは、古巣パンサー・レーシングからの出走。すでにインディアナポリスとセブリングでテストを済ませ、ウエルドンは自信を持ってサーファーズに乗り込んできたが、初日は18位に沈んでしまった。2005年シリーズ・チャンピオンの意地を見せて上位に食い込めるか、ウエルドンの真価が問われる。

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一方、パンサー・レーシングを離れたヴィットール・メイラは、AJフォイト・エンタープライゼスに新加入。すでにチームとも打ち解けている雰囲気があり、リラックスしてレースに臨んでいるようだ。チームのポテンシャルを考えてもいきなり上位進出とはいかないが、まずは古巣パンサー・レーシングを抑えて17位。パンサーでは何度もトップ争いをするまでチームを活気付かせたメイラは、AJフォイト・エンタープライゼスでも同じことが再現できるだろうか。

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オーストラリアといえば、キャンギャル! パドック内を歩いていると、いたるところで見かける。インディカーのセッションが終了し、メディアセンターに戻ると、そこに待ち構えていたのは、日焼け止めのプロモーションをしているキャンギャル達。迷わず写真を撮らせてもらい、キャンペーンの一役買おうと思った次第だが、この日焼け止めが 日本で販売されているかは分からない・・・。