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インディカー・シリーズ 最終戦 シカゴランド 最終戦【決勝日】フォト&レポート

<US-RACING>

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シカゴランド史上最多となる7度のコーションが発生した大荒れの最終戦は、最後尾からスタートしたエリオ・カストロネベスが0.0033秒というシリーズ史上2番目の僅差で優勝した。昨日の予選でコース内側の白線をまたいだために予選タイムが取り消され、28番手から追い上げを強いられたカストロネベス。逆風の中始まった今日のレースは、グリーン・フラッグ直後からごぼう抜きを演じ、78周目にはついにトップに大躍進する。最後のピット・ストップでタイトルを争うディクソンにトップを奪われたカストロネベスだが、逆転チャンピオン獲得への執念を見せ、フィニッシュ直前でディクソンを刺し返す劇的な勝利を収めた。「やれることはすべてやりつくしたよ。僕達のマシンが良いということをまったく疑わずに走れたんだ。チャンピオンにはあともう少しだったけど、今日優勝できたことは最高に嬉しいよ」とカストロネベス。残念ながらタイトルを逃してしまったが、すべてをやりつくしたという彼の表情はとても晴れやかだった。

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スコット・ディクソンは2003年以来2回目のシリーズ・チャンピオンを、2位フィニッシュで確定させた。この日、2番手スタートのディクソンはこのポジションを守りきれば余裕でチャンピオンを決めるところができたのだが、レース中盤からマシン・バランスに苦しみ、ずるずると後退。一時はトップ10圏外となり、タイトル獲得に黄色信号がともっていた。しかし、4回目のピット・ストップから調子を取り戻したディクソンは、再びトップ・グループまで追い上げ、残り185周で行われたこの日最後のピット・ストップでは、燃料だけを補給する作戦を行ってリーダーに返り咲く。残念ながら2年連続でシカゴランドの勝利を逃したが、タイトルを争うカストロネベスとの直接対決は訪れた観衆を大いに盛り上げた。

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「ここ数年はほんとうにタフだったよ。つらい過去を忘れようとしたけど、この数年の経験が今のチームを作り上げたと思うんだ。オーナーのチップ(ガナッシ)にはとても感謝している。そしてチームメイトのダン(ウエルドン)にも感謝している。今日、彼は最高のサポートをしてくれたからね。2003年にタイトルを獲ったときは、チームが勝つことを良く知っていたけど、今回のチャンピオンはチームにとって感動的なものになったはずさ。チーム・ターゲットのみんなはどんなことがあっても一緒に働いてくれたんだ。彼らにはほんとうに頭が下がるよ」

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オーバルで初めてポール・ポジションを獲得したライアン・ブリスコー。2005年にこのシカゴランドで壮絶なクラッシュを経験しているブリスコーは、そんなことを微塵も感じさせない走りで、39周目までトップを走る。レース終盤はカストロネベスやウエルドンとともに、スリー・ワイドのバトルまで演じ、2005年の悪夢を完全に払拭。タイトルを争うカストロネベスをサポートするために、ディクソンよりも前でフィニッシュしたかったブリスコーだが、最後は勢いに乗るディクソンを抑えることができず、3位でレースを終えることになった。

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ルーキー・オブ・ザ・イヤーを目指し、11番手からスタートを切った武藤英紀。課題としてあげていたスタートでは8番手までポジションを上げ、幸先の良い出だしとなったが、マシンのアンダー・ステアが強くなり、徐々に後退してしまう。クルーによる迅速な作業で、ピットのたびになんとか順位を取り戻すものの、その順位を維持できず、一進一退を繰り返した。そしてレース中盤の177周目、今度は電気系のトラブルが発生してしまい、万事休す。無念の戦線離脱でルーキー・タイトルも危ぶまれたなか、ルーキー・ランキング2位のジャスティン・ウイルソンが11位に終わったため、わずか6ポイント差で2008年のルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。シーズン後半戦は苦戦ばかりが続いたが、一戦一戦諦めずにフィニッシュまでマシンを持ち込んだことで、目標としていたルーキー・タイトルを手にした武藤。2009年シーズンは、まだ見ぬ勝利を目指して突き進んでほしい。

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「すごいアンダーステアで、全然予想とは違うマシンでした。かなり乗りづらくて大きく順位を落とすことになりました。でも、スティント中にやるべきことはやったと思います。課題としていたスタートとリスタートでは順位を上げられましたから、来年につながる走りにはなりましたね。最後はエンジンが失速し、まったく噴けなくなってしまいました。おそらく電気系のトラブルですが、詳しい原因はわかりません。ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲れたことに関しては、まだ実感がわきませんけど、チャンプ・カー勢などのタフなメンバーがいるなかで獲れたことは良かったと思います。今シーズンはうまく回らないことが多かったですが、AGRで走らせてもらってチームに溶け込めた感じもしましたし、すごく成長した一年でした」

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ダン・ウエルドンの加入によって、パンサー・レーシングのシートを失うことになったヴィットール・メイラ。レース・デイの今日は3年間過ごしたチームから感謝の気持ちがこめられ、ピット・ウォールに“サンキュー・ヴィットール”とメッセージが書かれていた。2006年から所属するチームの最後のレースを何とか良い結果で終わらせたかったメイラだが、75周目にサスペンション・トラブルからターン2のウォールに激突。幸いメイラに怪我はなかったものの、パンサー・レーシング最後のレースは残念な結果に終わった。

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クラッシュ・ショーはエド・カーペンターの壮絶な単独クラッシュから始まった。13番手からスタートしたカーペンターは、抜群のスタートでポジションをあげ、序盤からトップ争いを演じる。しかし、37周目にトラブルに見舞われ、火花を散らしながらターン2のウォールへ一直線。右サイドから激しくウォールに当たったマシンは炎をあげてバンクを駆け下り、インフィールドの芝生でようやく止まる。カーペンターは自らマシンを降りることができたが、ひやりとする一瞬だった。その後、75周目にヴィットール・メイラ、117周目にサラ・フィッシャー、137周目にEJヴィソ、182周目にマリオ・モラエス、そして残り10周でグラハム・レイホールが続々と単独クラッシュを喫し、コーション回数はシカゴランド史上最多となる7回におよんだ。高速の1.5マイル・オーバルにも関わらず、誰もけが人が出なかったのが不幸中の幸いといえる。

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シリーズ最終戦にふさわしいきれいな青空が広がったシカゴランド・スピードウェイ。空からは強い日差しが照りつけるものの、気温は23度と涼しい中でレースが行われた。午後2時51分にスタートが切られたレースは、6人のドライバーによって22回のリード・チェンジ繰り返される白熱した接戦となり、最後はシリーズ史上2番目の僅差で決着。レース・ウイナーのカストロネベスと、シリーズ・チャンピオンとなったディクソンには、スタンドを埋める大観衆から惜しみない拍手が送られた。12年ぶりにシリーズが統一され、新時代を迎えた2008年のインディカー・シリーズ。新たな時代の幕開けにふさわしく9名ものウイナーが誕生する混戦の一年となった。インディアナポリス・モーター・スピードウェイの開業100周年となる2009年は、いったいどんなドラマが用意されているのか、来シーズンの開幕が早くも待ち遠しい。