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インディカー・シリーズ 第15戦 インフィニオン【初日】フォト&レポート

<US-RACING>

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タイトル争いもいよいよ大詰めを迎えたインディカー・シリーズ。チャンピオンシップのかかったレースはこの第15戦インフィニオンを含めてあと3戦となり、初日はタイトルの可能性がある4人のドライバーによる記念撮影が行われた。558ポイントでダントツのランキングトップを走るスコット・ディクソン。それを76ポイント差でエリオ・カストロネベスが追いかけ、ダン・ウエルドン(420ポイント)、トニー・カナーン(411ポイント)が続く。今のところディクソンが2003年以来2度目のチャンピオンに向けてひた走っているが、奇跡の逆転劇が起こるのか、今シーズンも最後まで目がはせない戦いが続きそうだ。また、4人のタイトル・コンテンダーは、このレースからファイアストンが用意した“マジック・リング”タイヤを装着して走ることになった。コンパウンド自体は他のドライバーと何ら変わりないが、サイドウォールが白くペイントされており、一目でタイトルを争うドライバーだと認識できるようになっている。

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初日の総合トップ・タイムをマークしたのはペンスキーのエリオ・カストロネベス。実はこのインフィニオンへ移動中の水曜日にチームのトランスポーターが火災に見舞われ、2台のマシンを含む全ての機材が焼失してしまう大事件が起きていた。先週のテストで使用し、当初デトロイトへ送る予定だったマシンを今週末使うことで、欠場という最悪のシナリオを回避できたが、ピットの機材が少ないという不安も残る。そんなチーム状況の中でベテランのカストロネベスが快走。1分17秒1703をマークし、堂々のトップでチームを勇気付けた。「復活の方法を知っているのがペンスキーなんだ。チームは素晴しい仕事をしてくれたね。タフな出来事があった二日間のあとでも良いスタートを切れている。今日トップになれたことは良かったが、明日の予選と日曜日のレースがもっと重要だから、僕たちはハードに作業し続けなければいけないよ」と気を引き締めるカストロネベス。可能性が薄らぐタイトル獲得へ望みをつなぐためにも、この力走を続けたい。

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今シーズン、ロードコースで不調が目立つアンドレッティ・グリーン・レーシング。今日はリーダーのトニー・カナーンがひとり奮闘を見せ、午前中のプラクティスでトップ・タイムをマークする。午後からは決勝のセットアップに集中したため、タイムを縮めることなく、カストロネベスの逆転を許して2位となったが、決勝への手ごたえをつかんで初日を終えた。「チームにとって良い一日になったよ。僕も今日の走りには満足しているんだ。僕たちはチャンピオンシップでできるだけ上位のフィニッシュを目指している。チームのためにも残りのレースで勝つことに専念するよ」とカナーン。ロードで不調続きだったチームを鼓舞するような活躍が期待される。

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ロード・コースではやはりチャンプ・カー勢が台頭し、KVレーシング・テクノロジーのオリオール・セルビアが3位に入った。このインフィニオンはチャンプ・カー勢にとってまったく初めてのコースだが、先週の合同テストで走り込みができたおかげで、インディカー勢との実力は伯仲。特にKVレーシングの活躍は目覚しく、明日の予選でファイアストン・ファスト・シックス進出が十分期待できそうだ。「先週テストしたことが大きな助けになっているよ。インディカー勢に近づいているし、僕たちの思い通りに走れているけど、まだまだやるべきことがある。とりあえず着実に進歩していることが嬉しいよ」と喜ぶセルビア。第2戦セント・ピーターズバーグ以来となるチャンプ・カー勢の優勝に向け、初日は好発進となった。

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このところ苦戦が続く武藤英紀は、今日も午前中に電気系のトラブルに見舞われ、1回目のプラクティスは17番手に沈んでしまう。午後のプラクティスでは、自らミスを犯してコース・オフ。幸いマシンにダメージはなく、その後の走行に影響はなかったが、ひやりとした場面だった。しかし、タイムは走行を重ねるごとに上がっていき、最終的にトップと0.8108秒差の1分17秒9811をマーク。明日につながる総合10位で初日を終えた。トラブルに不安が残こるものの、予選での好パフォーマンスを期待したい。

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「最後にようやくマシンがまとまってきた感じがありますね。前回までの流れに比べれば良い状況ですが、まだ思うように走れていないです。チームメイトとはデータを共有していますけど、マルコやダニカとはスタイルが違いすぎるので、トニー以外はあまり参考にならなかったです。予選に向けてはもう一度ミーティングをしなくてはいけないですね。今日トラブルがあった電気系統のパーツを総入れ替えしなくてはならず、その作業がうまくいって、明日のプラクティスで走りこめると良いですね」

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インディ500でインディアナ・ジョーンズとのコラボレーションを行ったマルコ・アンドレッティ。今週末はハリウッド・ムービーとのコラボレーション第2弾となる、スターウォーズのアニメ版、クローン・ウォーズのカラーリングをまとった。ブラックをベースにサイド・ポンツーン、ノーズやウイングに、クローン・ウォーズのロゴと登場するキャラクターが描かれ、タイロッドはノーズに描かれたアサージ・ヴェントレスが握るライトセーバーを模して赤くなっている。インディアナ・ジョーンズのときはインディ500に出場するマシンで最低のカラーリングと評されてしまったが、今回のスター・ウォーズ・カラーをファンはどう評価するだろうか?

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このインフィネオンには2戦ぶりの出場となるタウンゼント・ベルと、第7戦テキサス以来の出場を果たすトーマス・シェクターが加わり、全27台が出揃った。シェクターにとっては今シーズン初めてのロード・コース。これまで出場した3戦は全てオーバルで、どのレースでも常連チームを脅かすパフォーマンスを見せているが、このインフィニオンではいきなりの上位進出とはならなかった。コース・オフしてマシンを止めてしまう場面もあり、初日は20位に沈んでいる。

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カリフォルニアらしい青い空が広がったインフィニオン・レースウエイ。真夏とはいえ、 朝夕は上着が必要なほど肌寒く、今朝の気温は14度しかなかった。それでも日が高くなるにつれて気温は上り、午後には28度まで上昇。撮影中は汗がにじみ出るほどだったが、湿度なく乾燥しているためか、それほど暑さを感じずにすんだ。写真は改修されたターン7。昨年までは向かって右側から大きく回りこむ高速コーナーだったが、今年からはコース中央にあるドラッグ・ストリップを利用して鋭角なコーナーとなった。ブラインド・コーナーであるターン6の立ち上がりで速度差が生まれれば、オーバーテイクが十分可能となるので、今年のレースはぜひターン7に注目して欲しい。