<Formula Dream Indy>
<2008 IRLインディカー・シリーズ第14戦ケンタッキーMaijer Indy 300>
【日 程】2008年8月8〜9日
【開催地】ケンタッキー州スパータ
【コース】ケンタッキー・スピードウェイ
【距 離】オーバルコース:1.5マイル(2.414km)
【天 候】9日:快晴/気温24〜26℃
【時 間】午後6時30分〜(日本時間10日午前7時30分〜)
■■■8月9日決勝■■■
<トップグループでのバトル>
2列目アウト側からスタートした武藤英紀はそのポジションを保ち、1周目のコントロールラインへと戻って来た。マシンのハンドリングはまずまずだった。2周目に出されたフルコースコーションの後、リスタートでエリオ・カストロネベスにいったんパスされたが、すぐさま抜き返し、4位をキープ。トップ3を追う展開となった。
しかし、この頃からハンドリングはアンダーステアが強くなり、後続からチームメイトのマルコ・アンドレッティ、エド・カーペンターらがハイペースで武藤の背後に迫ってきた。彼らに先行を許した武藤だったが、カーペンターをパスし、5位に戻って、最初のピットストップを迎えた。スタート前の想定よりもレース内容は若干劣ってはいたが、トップ5を保って戦い続ける中でマシンを良くできれば、さらに上位へと食い込んでいける感触はつかんでいた。
<周回遅れに進路を阻まれ後退>
フロントウイングの小さな調整で、武藤のマシンはハンドリングが向上。
レースが中盤に差しかかっても武藤は5位で走り続けていた。武藤の前は、スコット・ディクソン、ダン・ウェルドン、ヴィットール・メイラ、そしてアンドレッティの4人という強豪ばかり。2回目のピットストップ後も5位を保っていた。
89周目のリスタート以降に7位に下がった武藤は周回遅れに引っかかり、その1台をパスするのに手こずった。武藤のラインをブロックする走りはフェアなものではなく、危うくアクシデントを起こすところだった。マシンはラインを外れ、タイヤかすを拾って振動が出始めた。ラップタイムも落ちたため、チームはここで早めのピットストップを行うことに決めた。
<タイミングの悪いフルコースコーション>
武藤がピットへ向かおうとバックストレッチから誘導路へと入った時、ミルカ・デューノがアクシデントを起こし、フルコースコーションが出された。IRLインディカー・シリーズのルールでは、フルコースコーションとなった途端にピットロードは封鎖される。武藤はすでにピットへ入るべく誘導路を走っていた。当然、コース上よりもそのスピードは遅く、スピード制限がある長いピットロードをドライブスルーして、何の作業も受けることなくコースへと戻るしかなかった。これで順位は一気に13位まで下がってしまった。
<まさかのマシントラブルでリタイア>
142周目、武藤はフルコースコーション中に再びピットに向かった。トップグループはコース上を走り続けており、武藤はこのタイミングで給油を行えば、燃費セーブの走りに徹することで200周のゴールまで走り切ることがなんとか可能な状況だった。
しかし、あとはゴールまで走り切るのみ、というところでマシンにトラブルが発生。先のピットストップ前に武藤が感じ取っていた振動はタイヤかすによるものだけではなく、ドライブトレインのボルトが破損していたことによるものも含まれていた。異常を感じた武藤がピットインし、リアホイールが外されると、5本あるハブのボルトのうちの3本が欠落していた。これ以上走り続けるのは危険なため、武藤はリタイアすることとなった。このトラブルは非常にまれなもので、武藤のマシンに起きたのは今シーズン初めてだった。
■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「作戦で不運を取り返したと思ったのですが……」
「フェアじゃないドライビングをするドライバーがいたために、壁にぶつかりそうになりました。その後にチームの採った作戦はとても良いもので、あのまま行けば2位か、もしかしたら優勝もできていた、というレースになっていました。マシンは序盤にアンダーステアが出たのですが、1回目のピットストップでフロントウイングの角度を少し変更してからは、ハンドリングはとても良いものになっていました。トラフィックの中でも安定した走りができるようになっていたと思います。ピットストップのタイミングが悪かった不運を作戦で取り返したと思ったんですが、マシンから振動が出てきて、ドライブシャフト付近のピンがなくなっていることが見つかりました。リタイアは本当に悔しい結果です」
<レイ・ガスリン:レースエンジニア>
「不運がなければ上位でフィニッシュできたはずだ」
「序盤の戦いぶりは良く、ヒデキは上位をキープしていた。アンダーステアが強かった点については、我々のセッティングに改良の余地があるということではあるが、その後のセッティング変更でハンドリングを向上させることもできた。リスタートが悪く、順位を落とした後に早めのピットストップを行う作戦に出たが、それも悪くなかったはずだ。しかし、ちょうどそのタイミングでフルコースコーションが出され、大きく順位を落とすことになった。もし、あそこでピット作業を行うことができていれば、ヒデキはトップに立っていた。スコット・ディクソンを抑え続けるのは無理だったかもしれないが、悪くとも4位か5位でゴールできていたと思うし、それだけの力を持つマシンを我々は手にできていたと思う。今回は不運が重なり、最終的にはマシンのトラブルでリタイアという結果になってしまった。残り3戦、何とか1勝をマークするべく全力を挙げる」
■■■決勝結果■■■
1.5マイル(2.414km)×200周=300マイル(482.803km) 出走26台
順位 No. ドライバー タイム 平均速度mph(km/h)
1位 9 S.ディクソン 1:36’42.3467 183.650(295.556)
2位 3 H.カストロネベス +0.5532 183.632(295.527)
3位 26 M.アンドレッティ +0.5707 183.632(295.527)
4位 4 V.メイラ +0.9102 183.621(295.509)
5位 10 D.ウェルドン +2.1472 183.582(295.447)
18位 27 武藤英紀 43周遅れ メカニカル
※全車シャシー:ダラーラ/エンジン:Honda/タイヤ:ファイアストン
■■■ポイントスタンディング■■■
順位 No. ドライバー ポイント ビハインド
1位 9 S.ディクソン 558 リーダー
2位 3 H.カストロネベス 480 -78
3位 10 D.ウェルドン 420 -138
4位 11 T.カナーン 411 -147
5位 6 R.ブリスコー 350 -208
9位 27 武藤英紀 298 -260