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インディカー・シリーズ 第14戦 ケンタッキー【予選日】フォト&レポート

<US-RACING>

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2003年以来2度目のチャンピオン獲得に抜けて突き進むスコット・ディクソン。前戦エドモントンで早くも今シーズン5勝目を挙げたニュージーランド人は、このケンタッキーでも絶好調の走りを見せ、今季6度目のポール・ポジションを獲得した。この日17番目に登場したディクソンは、219マイルに迫る218.068マイルの予選スピードをたたき出し、それまでトップだったヴィットール・メイラを0.4マイル以上も上回って圧倒。最後のアタッカーだったチームメイトのダン・ウエルドンもこのスピードには及ばず、第7戦テキサス以来のポール・ポジションを確定させた。「チームにはとても感謝しているよ。彼らは素晴らしいマシンを準備してくれたんだ。特に予選ではほんとうに良かったね。レース・セットアップも予選と似ているから、僕達は多くのリード・ラップを獲れると思うよ」と自信を見せるディクソン。この勢いのまま決勝まで制してしまうのか、ディクソンの快進撃はまだまだ続きそうだ。

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パンサー・レーシングのヴィットール・メイラが、チップ・ガナッシ勢のワンツーを阻止してみせた。今シーズンの予選でトップ10入りを果たしたのはわずか2回というメイラだが、圧倒的なパフォーマンスを見せ付けるチップ・ガナッシを相手にプラクティスから善戦。218.409マイルを記録して武藤英紀をトップから引き摺り下ろすと、予選終盤までトップを死守する。結局ディクソンがこのスピードを上回るものの、メイラは2004年の開幕戦ホームステッド以来となるフロント・ローを獲得した。「ほんとうに良い結果が出せたね。ケンタッキーではいつも苦労していたんだけど、今日の予選は最高に良いマシンだった。このまま進歩を続けたい。明日も今日と同じくらい良い結果を出せると思うよ」と喜ぶメイラ。いまだ届かない勝利を今度こそつかみたい。

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ロード・コースで苦戦を強いられていたウエルドンは、オーバルで本来の速さを取り戻し、予選3位を獲得した。今週末はテキサスで大クラッシュさせたポラロイド・カラーで走行しているウエルドン。プラクティスからチームメイトのディクソンとともに上位につけ、好調ぶりを見せると、ラスト・アタッカーとして走った予選は218.332マイルを記録する。メイラには0.077マイル届かずチップ・ガナッシのフロント・ロー独占とはならなかったが、第8戦アイオワ以来の勝利を狙えるポジションを確保した。「良い走りが出来たと思うよ。残りの4レースでチームのためにも良い結果を残したいし、僕はそれに集中している。チームは明日に向けてさらに良いマシンに仕上げる努力をしているんだ」と意気込むウエルドン。チームメイトを下して今シーズン3勝目を挙げることができるか。

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昨年、インディ・プロ・シリーズのレースでケンタッキーを制している武藤英紀。マシンがインディカーになってもコースとの相性は変わらず、プラクティスを総合5位で終える上々の立ち上がりを見せる。予選ではトップ・バッターという不利を背負うが、217マイル台の安定したスピードで走行して217.696マイルを記録。11番目に登場したメイラが218マイル台を出すまではトップを守っていた。終盤はチップ・ガナッシ勢のディクソン、ウエルドンも武藤のスピードを上回り、最終結果は4位。第11戦ナッシュビル以来となる今シーズン3回目のセカンド・ローを獲得し、決勝が大いに期待できる結果を残した。

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「ポール・ポジションにはスピードが足りなかったです。コンスタントに遅かったですね。ダウン・フォースは削っているので、セット・アップは車高などのマシン・バランスを整えるだけになります。欲を言えばもう少しフロント・グリップがあればよかったです。今日は決勝に向けたセット・アップに一日を費やしたので、予選はあまり自信がなかったんですが、決勝は良いレースが出来ると思います」

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第5戦インディ500以来の出場を果たしたサラ・フィッシャー。このケンタッキーは2002年にシリーズ史上初の女性ポール・ウイナーとなる快挙を達成した思い出の場所であり、チーム発足当初から出場を目指していた。チームの初陣となったインディ500ではレース前にメイン・スポンサーが離脱し、決勝ではトニー・カナーンの単独スピンに巻き込まれるなどの困難もあったが、1ヶ月以上の準備期間を経て見事に復活。ショッピング・チェーン店ダラー・ジェネラルのスポンサーを受け、黄色に衣替えされたマシンは、明日の決勝を16番手からスタートする。サラ・フィッシャー・レーシングの2戦目で、どんなレースを見せてくるか彼女の走りにも注目だ。

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フィッシャーと同じくケンタッキーでポール・ウイナーの実績を持つダニカ・パトリック。1回目のプラクティスでは、チップ・ガナッシ勢についで3番手につける好調ぶりをみせる。ところが2回目のプラクティスでまさかのクラッシュを喫し、マシンの右サイドに大きなダメージを受けてしまった。チームはなんとかマシン修復を試みたが、予選には間に合わず、今季ワーストの26番手から明日のレースをスタートする。「コースの2段目を走っていたら、突然フロントがウォール側に滑り出したの。ターン・インしようとしても、マシンが曲がっていかなくて、何が起こったのかわからなかったわ」とパトリック。相性の良いコースで最後尾からの追い上げを誓う。

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アンドレッティ・グリーン・レーシングがトニー・カナーンとの契約を5年間延長したことを発表した。「この契約は僕が望んでいたことなんだ。すでに6年間このチームに在籍して、また5年間走れることになった。この契約を終えたときにはすばらしい引退パーティが出来るだろうね」と、現役生活の最後までこのチームで過ごすことを示唆したカナーン。チップ・ガナッシへの移籍が噂されていたカナーンだったが、2003年から同チームで活躍を続けるリーダーは、今後もチームの顔として残留することを決心した。チーム・オーナーのマイケル・アンドレッティは、「トニーはチームの要なんだ。看板選手であり、家族でもあるね」とカナーンの残留を歓迎。現在33歳のカナーンは、キャリアの最後までAGRを引っ張り続けてくれるはずだ。

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朝から快晴となったケンタッキー・スピードウェイ。昨年とは打って変わって蒸し暑さがなく、心地よい風も吹いていた。夕方から始まった予選では少し暑さを感じたが、気温は25度までしか上らず、一日を通して過ごしやすい天候となる。午後6時30分からのインディカーの予選が終了したあとは、お待ちかねのドライバー・サイン会が行われ、ファンは夜遅くまでイベントを楽しんでいった。明日の決勝はスリー・ワイドの豪快なバトルが期待できるため、観客の興奮がさらに高まるのは間違いない。