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インディカー・シリーズ 第13戦 エドモントン【予選日】フォト&レポート

<US-RACING>

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初日インディ・カー勢を圧倒したチャンプ・カー勢を振り切り、ペンスキーのライアン・ブリスコーがポール・ポジションを獲得した。今日の予選ではコースを熟知したチャンプ・カー勢とコース経験のないインディ・カー勢との実力は伯仲。ファイアストン・ファスト・シックスには両陣営からちょうど3台ずつ勝ち残り、激しいタイム合戦を繰り広げた。その中でブリスコーは第2セグメントをギリギリの6位で通過するが、ファイアストン・ファスト・シックスではいっきにペース・アップ。セッション開始から間もない3ラップ目に1分0秒7311をマークすると、他の追随を許さず今シーズン2回目のポールを手中に収めた。「ファイアストン・ファスト・シックスでは、自分が持てる全ての力を出し切ったよ。セッションを通してセットアップを変更し、最後の10分間はほんとうにうまくいった。ペンスキーがワンツーを獲得したことは、完璧なことだね」と満面の笑みで話すブリスコー。前戦ミド-オハイオで取り戻した良い波に乗り、このまま快進撃を続けたい。

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2位にはチームメイトのエリオ・カストロネベスが入り、ペンスキーが2戦連続のフロント・ロー独占を達成した。初日からチャンプ・カー勢の強力な対抗勢力だったペンスキーの二人。だてに5年もシャシーを使い込んでいるわけではなく、たった一日でエドモントンのコースに合わせ、午前のプラクティスでカストロネベスがただ一人1分台に入る最速タイムをたたき出す。プラクティスの好調そのままに迎えた予選は、出走がなかった第1セグメントのグループ2を除き、すべてのセグメントでトップを奪うほど、ペンスキーの走りは冴えていた。残念ながらポールを逃したカストロネベスだが、チームの成績には大満足のようだ。「素晴らしい一日だったね。ペンスキーは信じられないほどの仕事をやり遂げ、2週連続でフロント・ローを独占できた。もちろん僕がポール・ポジションでスタートできれば良かったんだけど、ライアンは最高の走りを見せたんだ。限界までプッシュしたが、ポールには届かなかったよ」とカストロネベス。明日訪れるエドモントンの大観衆の前で、今度こそスパイダーマンを披露することができるか?

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チャンプ・カー勢は地の利を活かせず、KVレーシング・テクノロジーのオリオール・セルビアが、トップと0.1273秒差の3位に終わった。昨日インディ・カー勢を圧倒した速さは今日も健在で、予選第1セグメントを終えたトップ12には、過半数以上の7人が入る。激しいタイム・バトルのすえ、ペンスキーを超えるドライバーはなかったが、過去3年エドモントンを盛り上げたチャンプ・カー勢の健闘に、訪れた観客からも大きな声援が飛んだ。「KVレーシング・テクノロジーのパフォーマンスには、とても満足しているよ。チャンプ・カーから移ってきたチームでは唯一、トップ5に二人のドライバーが入っているからね。マシンは週末を通してほんとうに良い感触なんだ。やれることは全部やりつくし、良い結果を手にしてエドモントンを離れたい」と自信を見せるセルビア。ペンスキーとのわずかな差を埋めて、第2戦セント・ピーターズバーグのグラハム・レイホール以来となる、チャンプ・カー勢の優勝を狙う。

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未体験の空港仮設コースで悪戦苦闘が続く武藤英紀。午前に行われたプラクティスでは、始まって間もなくスピンを喫し、走行周回はわずか3ラップに留まってしまう。悪い流れを引きずったまま、予選でもリズムに乗れなかったという武藤は、第1セグメント開始から7分後にまたしてもスピン。間一髪ウォールとの接触を避けて再びコースへ戻っていくが、アタック・ラップをコーションで妨げられるなどの不運も重なり、今シーズン・ワーストの22位に沈んだ。

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二日目を終えた武藤は、「何をやってもバランスが変らず、タイムが縮まりませんでした。セッティングを変えて悪くなると、元に戻すという繰り返しで、マシンのグリップ感はほとんどないです。路面コンディションが悪いときに感触が良く、コースのグリップが上っていく時にマシンがついていかないように思います。ターン8まではトニーよりも速いんですが、そこから先のターン9まででコンマ5秒も遅く、わけがわからないほどフロント・グリップがありませんでした。コースはおもしろいですけど、マシンが決まっていないのですごく難しく感じます。今のままではコントロールするのが精一杯で、明日のレースは最後まで走りきれるかわかりません」と戸惑い気味。インディ・カー・デビュー以来、これまでにないほどの苦戦を跳ね除け、ひとつでも順位を上げてフィニッシュして欲しい。

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ターゲット・チップ・ガナッシが始めたスペシャル・カラーが、他チームにも波及している。今週末はアンドレッティ・グリーン・レーシング(AGR)のトニー・カナーンが、いつものセブン・イレブン・カラーから真っ青に。日本でお馴染みの某コンビニ・チェーンに乗り換えたのかと見間違うほどだが、これはオーストリア産のフランクズ・エナジー・ドリンクの特別カラーということだ。インディ500の公式エナジー・ドリンクにもなったフランクズは、北米を中心に販売展開しており、今回はキャンペーンギャルも引き連れて大々的なPRを行っている。一方で今週末のAGRは、エドモントンのコースに大苦戦。キャリア11年目の大ベテランであるカナーンでさえ、第1セグメントを通過するもセッション中のコース・アウトが影響して第2セグメントは走行できず、トップ10圏外の12位。フランクズのエナジー・ドリンクを飲み干して、明日の決勝ではパワー・アップを図りたいくらいだ。

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予選日を迎えたエドモントは朝から快晴。雲ひとつない空から、昨日と同様の強い日差しが照りつけ、ビール片手の観戦には最高の陽気となる。今日も熱心なレースファンが午前中のプラクティスからグランド・スタンドに集まりだし、午後3時15分から始まった予選時には8割ほどの席が埋まってしまうほどで、地元観衆はお目当てのトレイシーのタイムが上るたびに歓声を上げた。残念ながらトレイシーは第1セグメントで敗退してしまったが、明日は今日以上の観衆がトレイシーを後押しするに違いない。

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舞台となるエドモントン・シティ・センター・エアポートは、かつて国際空港として利用されていたが、エドモントン郊外に新たな国際空港が建設されて以来、小型機やセスナ機の離発着をメインとしている。レース・ウィークとなる今週末もコース以外の滑走路は閉鎖されておらず、セッション中にも航空機の離発着が行われ、優雅に飛んでいくセスナ機をバックに、猛スピードでインディ・カーが滑走路を駆け抜けるという光景が観客を楽しませた。このほか、コース脇に小型ジェット機をディスプレイする工夫も凝らされ、このコースが空港であることを常に思い出させてくれる。

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カナダといえば、昔からアメリカではあまりお目にかからないキャンペーン・ガールがコース内に出没する。このエドモントンも然りで、パドックを歩いていると多くのキャンギャルを見かけた。写真はキング・オブ・ビアー、バドワイザーのキャンペーン・ガールズ。カナダではチャンプ・カーのレースを昔からサポートしてきたモルソンというビール・メーカーが有名だが、今回はアメリカン・ビールのバドワイザーが協賛していた。また、カナダで大人気のミス・コンテストで、今回はミス・エドモントン・インディも募集されており、容姿端麗な多くのカナダ美人がレース前のグリッドに花を飾るだろう。