<US-RACING>
真夏の6連戦第5ラウンドは、オハイオ州レキシントンのミド-オハイオ・スポーツカー・コース。昨年からインディカーに新しく加わったこのイベントは、アメリカン・ル・マン・シリーズとの併催となる。初日の朝から雲ひとつない快晴に恵まれ、インディカーは午前と午後に2回のプラクティスが行われた。午前中は強い日差しが照りつけ、汗がにじむような暑さだったものの、日中は雲が太陽を遮り、涼しい風も吹いたことで過ごしやすくなった。週末の天候は雨模様のようだが、この陽気が続くことを祈りたい。
初日のトップ・タイムをマークしたのは、ここ数戦クラッシュが続いていたマルコ・アンドレッティ。ただ一人1分7秒台に入る1分7秒9102をたたき出した。昨年は予選4位を獲得しながら、スタート直後にチームメイトのトニー・カナーンとからんで横転するほどの大クラッシュを演じ、1周もすることなくレースを終えている。クラッシュ続きの汚名を返上するためにも、結果を残したいところだ。「今日のプラクティスは最速タイムを記録できたから、悪くなかったね。でもまだ作業が必要な部分がいくつかある。マシンはかなりアンダーステアなんだけど、簡単にオーバーステアになってしまいそうだから、もっとグリップが必要だ。メカニカル・グリップを得られれば、タイムは良くなっていくと思うよ」と慎重なアンドレッティ。明日の予選に向けた調整がまだまだ続く。
総合2位にはトニー・カナーンが入り、アンドレッティ・グリーン・レーシングが初日のワンツーを独占した。この日カナーンは午前中のプラクティスでトップとなる1分8秒0301を記録する。だが、午後からはタイム・アップに苦しみ、自身のタイムにコンマ3秒以上遅れた。記者会見では、「違うシリーズがまったく異なるタイヤ・ラバーをつけるから、コースが常に変化してしまう」と、その原因を指摘。今週末はインディ・カーのほかに、アメリカン・ル・マン、IMSA-GT3、SPEEDワールド・チャレンジ(2クラス)など、ファイアストン・タイヤを履かないシリーズが多く行われている。カナーンが指摘する“変化していくコース”に、いかに対応するかが勝負のカギとなりそうだ。
昨年のポール・ウイナーであるエリオ・カストロネベスは、総合3位で初日を終えた。レース・セットアップに集中していたというカストロネベスは、この日トータルで50周を周回。ベストタイムは午前中にマークした1分8秒0731が最高となるが、どちらのセッションも2番手につける、上々の立ち上がりを見せた。「今日はタイム・チャートのトップを狙っていたけど、午後のセッションはコーションで短くなってしまった。セッションが再開されたときには、速いタイムを出すためのトライが数周しかできなかったね。渋滞につかまったのも不運だったけど、初日で3位になれたのは週末のスタートとしては良いことだし、ここから前進していくよ」と意気込むカストロネベス。前戦のナッシュビルは今シーズン初めて予選を戦った末のポール・ポジション獲得であり、今度こそ今季初勝利を手に入れたい。
ミド-オハイオでは2003年までチャンプ・カーのイベントが行われていたため、チャンプ・カー勢の健闘も期待されたが、結果はジャスティン・ウイルソンの6位が最高だった。しかしチャンプ・カー勢の中でこのコースの経験があるのは、オリオール・セルビアとブルーノ・ジュンケイラのみ。2004年デビューのウイルソンは初走行にも関わらず6位を獲得し、ロード・コースでの適応能力の高さを見せつけた。「このコースを心から楽しんでいるよ。とてもクールなコースだね。最初のセッションでいくらか進歩して、4番手になれたときはとても嬉しかったんだ。セッションの合間に2、3箇所変更を加えたけど、それほどよくならなかったから、2回目のセッションでは元の状態に戻している。レース終盤を想定したユーズド・タイヤでのタイムにはとても満足しているよ」とウイルソン。明日の予選でインディカー勢を相手に、どこまで順位を上げるだろうか。
前戦ナッシュビルは、予選3番手を獲得しながら14位という悔しい結果に終わった武藤英紀。このミド-オハイオは昨年初めてインディカーをテストした地であり、インディ・ライツのレースでも経験があるため、午前のプラクティスから好調を見せて6番手で終える。午後のプラクティスも順調に周回を重ねていたが、セッション中盤にギアトラブルからターン1でストップ。その後、もう一度コースに戻ることはなく、思わぬトラブルによって、総合7位でプラクティスを終えることになった。「今朝のセッションはとても良くて、午後のセッションでもマシンは良い状態でした。ですが、ギアにちょっとしたトラブルがあったため、思っていた以上にタイムを上げることができませんでしたね」と武藤。明日の予選ではこれまでの不運を払拭するような、快走を期待したい。