INDY CAR

武藤英紀、初のショートオーバルはハンドリング不調で予選14位

<Formula Dream Indy>
<2008 IRLインディカー・シリーズ第6戦ミルウォーキーABC Supply/AJ Foyt 225>
【日 程】2008年5月30〜6月1日
【開催地】ウィスコンシン州ミルウォーキー
【コース】ザ・ミルウォーキー・マイル
【距 離】オーバルコース:1マイル(1.609km)
【天 候】31日:晴れのち曇り/気温20〜25℃
【時 間】午後3時45分〜(日本時間6月1日午前5時45分〜)

■■■5月31日予選■■■
<伝説のオーバル>
 シリーズ第6戦となるABCサプライ/AJ.フォイト225は、インディアナ州の北側に位置するウィスコンシン州ミルウォーキーで開催されている。ダートオーバルとしてスタートし、100年の歴史を誇る1マイルオーバル、ザ・ミルウォーキー・マイルは「伝説のオーバル」という別名も持つコース。コーナーのバンク傾斜角が6度と小さいのが特徴で、マシンセッティングもドライビングも難しい。こうしたコースではマシンの仕上がりの良し悪しでラップタイムに大きな差が生まれるため、トラフィックが発生しやすく、それを利用してのオーバーテイク合戦が繰り広げられる。
<ルーキープラクティスでトップタイムをマーク>
 第5戦までのオーバルはいずれも高速タイプだった。今回のミルウォーキーはまったく対照的にフラットでコーナー半径の小さいショートオーバルだ。そこでIRLインディカー・シリーズは公式日程の始まる1日前の金曜日に、夕方の1時間だけだがルーキー専用の走行時間を設けた。
 アンドレッティ・グリーン・レーシングはインディ500の前にミルウォーキーでのテストを計画していたが、あまりにも気温の低いコンディションとなったために、これをキャンセル。武藤英紀にとって金曜のプラクティスはインディカードライバーとなって初めてのショートオーバル走行となった。
 1時間で50周を走った武藤は、43周目に22秒7518の自己ベストをマークした。これは出走した11人のルーキーの中でトップだった。
<順調に進んだレース用セッティング>
 プラクティス1回目、武藤は3番手につける22秒0765(平均時速165.515mph=約266.369km/h)を記録した。武藤より速かった2人も、いずれもルーキーであった。ベテラン勢が1時間45分という長いプラクティスをレース用のマシンセッティングに費やし、タイムを出しに行かなかったことも影響しているだろうが、ルーキーがトップ3を占めたのは、1時間だけでも前日に走行できていたことがプラスに作用していたのは明らかだ。武藤はレース用セッティングを順調に進めた。
<プラクティス2回目に予選用シミュレーション>
 プラクティス2回目は、出走27台を2グループに分けて、それぞれが30分間の走行を展開した。ここでは直後に行われる予選に向けたシミュレーションを行うのがセオリーだ。しかし、武藤は22秒5372と、プラクティス1回目に出した自己ベストを上回れなかった。
 1回目のプラクティスから変更した車高は低過ぎたようで、思ったとおりにセッティングを進歩させることができなかった。そうした状況下で予選シミュレーションを行うことになったが、車高を上げないまま予選セッティングへと変更したため、ボディが路面と干渉し合っていた。
<青空が広がる中での予選>
 それでも武藤は予選前の2回のプラクティス総合で5番手につけていた。プラクティス1回目に自己ベストタイムを出したセッティングをベースとすれば、上位グリッドの獲得が期待できる状況だった。
 ところが、武藤の予選アタックでハンドリングの不調に見舞われた。「気温が上がったことによるコンディション変化の影響なのか、クルマが全然曲がらなかった。難しいですね、ショートオーバルは」とマシンを降りた武藤は話した。
 太陽の照りつけるコンディションで路面温度も上昇し、マシンのハンドリングが大きなアンダーステアとなってしまったのだ。ラインを変更してタイムロスを少しでも減らそうと走ったが、4周平均163.368mph(約262.915km/h)で予選順位は14位と決まった。
■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「レース用セッティングの仕上がりはよいので、いいレースができると思う」
「ミルウォーキーは去年インディ・プロ・シリーズで走っているコースですが、他のコースとは違ってインディ・プロと同じ感覚で走れます。インディカーの方がスピードが高いのは当然なんですが、もうインディカーに目が慣れているからか、インディ500の直後だからなのか、ミルウォーキーのコースでスピードの速さというものは感じていません。
 予選はマシンがすごいアンダーステアになっていたので、14位と結果は良くなかったんですが、レース用のセッティングは良い感じに仕上がっています。他のドライバーたちがどれだけのスピードでレースを走れるのかは今の時点ではわかりませんが、自分たちのスピードはそれと比べて高いはずだし、トラフィックに引っ掛かる状況も多くなると思うので、オーバーテイクもできるでしょう。
 14番手スタートなので、順位を上げていくにはピットストップのスピード、ピットの作戦なども必要になってくるでしょう。
 コース上での戦いについては、僕のマシンはターン3からターン4で速いし、ターン1側でイン側のラインを取ることもできます。アウト側の高いラインしか走れないドライバーも多いと思うので、順位を上げていく良いレースが戦えると考えています」
■■■予選結果■■■
1マイル(1.609km)×4周=4マイル(6.437km)        出走26台
順位 No.  ドライバー     タイム    平均速度mph(km/h)
1位 26   M.アンドレッティ  1’26.9591   168.079(270.497)
2位 06   G.レイホール    1’27.1796   167.654(269.812)
3位  9   S.ディクソン    1’27.1885   167.637(269.785)
4位  8   W.パワー      1’27.3822   167.265(269.186)
5位  3   H.カストロネベス  1’27.6957   166.667(268.224)
14位 27   武藤英紀      1’29.4667   163.368(262.915)
※全車シャシー:ダラーラ/エンジン:Honda/タイヤ:ファイアストン