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インディ・カー・シリーズ 第5戦 インディ500【サード・デイ】フォト&レポート

<US-RACING>

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薄い雲が上空に広がったインディアナポリス・モーター・スピードウェイ。サード・デイの今日はお昼から小雨の予報があり、オリオール・セルビアのアタック中に雨がぱらついたものの、その後は快晴へ向かった。気温はみるみる上昇し、この一週間で一番となる最高気温22度を記録。昨日は冷たかった風も今日は温かく、Tシャツでも過ごせる絶好の観戦日和だった。セカンド・デイが雨で流れたことで、今日のサード・デイで12位から33位までのグリッドを決めることとなる。雨の予報があったためにセッション開始の午後12時から続々とアタックが行われ、2時20分までにはほぼ全車が1回目のアタックを終了。その後セッションはプラクティス・モードへ変化し、各車が決勝に向けてそれぞれの走行メニューをこなしていた。

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予選12位を獲得したのは、ドレイヤー&レインボールド・レーシングのタウンゼント・ベル。2006年に一度インディ500を経験しているベルは、222マイル台をコンスタントにマークし、222.539マイルで予選を通過する。ポール・デイではトップ11争いに加われなかったものの、マシンの扱いやすさに重点を置いたセッティングに取り組み続けたことが、この結果につながったようだ。「僕たちは最初のラップで飛ばしすぎず、4ラップを安定して走ろうとしたんだ。チームの頑張りにはほんとうに満足している。特にチームメイトのバディ・ライスの協力には、感謝してもしきれないくらいだよ。彼は積極的に僕のマシンを正しい方向にするための仕事を一緒にしてくれた。今までよりほんとうに良いね。今日は力強い走りを見せることが出来て嬉しいよ」と喜ぶベル。決勝でもベテランらしい老練な走りが見られるだろう。

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先週のポール・デイにトップ11を争い、周囲を驚かせるパフォーマンスを見せたグラハム・レイホール。セント・ピーターズバーグで勝利した19歳は、まだまだ進化を続けている。残念ながら今日のトップ・ポジションとなる12位は、ベテランのベルに0.008マイル差で奪われてしまったものの、チャンプ・カー勢トップとなる13位を獲得。バック・アップ・カーがなくクラッシュが許されない厳しい状況を強いられているチャンプ・カー勢だが、リスクをいとわず果敢にアタックする姿勢は評価に値する。「とても良い走りだったと思うね。最初は223.6マイルという手堅いラップを刻めたけど、その後毎週ターン2で強い風を感じていたから、少しタフなドライブになったよ。マシンが曲がらなくて、浮いてしまうような感じだった。結構多くのタイム・ロスがあったと思う。この点に関しては残念だね。今日のトップを狙っていたし、それが僕たちの目標でもあったから」と少し残念がるレイホール。この位置からどれだけ上位に進出できるか注目だが、本人が目指すのはもちろん1986年に父ボビー・レイホールが成し遂げた優勝だ。

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A.J.フォイト・エンタープライゼスのダレン・マニングは予選14位を獲得した。インディ500に入ってからは波に乗れず、試行錯誤の連続だったマニングだが、ここに来てようやく復調の兆しを見せた。「かなり良かったよ。今月に入ってからバランスに苦しんでいて、ずっとルーズだったのが、ちょっとの変更で突然アンダー・ステアになったりしていた。だから今までと比べるとベストの状態といえるね。今日のような風や気温はスピードを上げるのに良い状況ではなく、ダウンフォースを付けざるを得なかったけど、それにもかかわらず速かったからとても驚いたよ」とマニング。いつもの粘り強い走りで、気が付けば上位にいる侮れない存在となるかもしれない。

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日本人最多となる6度目のインディ500決勝進出を目指すロジャー安川。午前のプラクティスでは今週にはいって初めてとなる220マイル台を記録し、予選通過に期待が膨らんだ。1回目のアタック順が回ってきたのは午後1時47分。ウォーム・アップ・ラップを211.079マイルで走ると、218.073マイル、218.046マイル、218.011マイルとコンスタントに218マイル台をそろえていく。4ラップ目は217.910マイルにスピードを落とすが、4ラップ平均218.010マイルを記録し、予選通過圏内の31位でサード・デイを終えた。「やっと全開でいけると思っていたら、遅かったという感じです。コンディションを見て、ダウンフォースを付けすぎていたということもあるんですけど、ギア比も正しいものではなかったですね。219.1マイルから219.5マイルの間を想定していたので、5速のままでいきましたが、4速に落としても良かったかもしれないです。確かにスピードが出なかったことに関してはがっかりですけど、方向性は間違いなく見えてきています。昨日よりは確実に良いですし、4周全開で走れたのは初めてでした。明日は朝のプラクティスを走るかどうか分からないですが、予選が始まったらいつでもプラクティスが出来るように準備をして、必要であればアタックに出て行くという感じですね。目標としている219.5マイルをどうやって出すか考えています」と話す安川。明日のバンプ・デイを生き延び、なんとか決勝に駒を進めたい。

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予選初日のポール・デイで9位を獲得した武藤英紀は、今日も決勝に向けたプラクティスに取り組んだ。しかし走行直前、ハンドリングに問題が発生して修復を余儀なくされ、ようやくコース・インできたのは午後4時前。ところが、今度は走り出して間もないイン・ラップ中にレコード・ラインを外れ、なんとターン2のウォール接触してしまった。接触した角度が浅く、幸い武藤本人に怪我はない。マシンもサイド・ポンツーンをウォールに当てずにすんでいるものの、ダメージの状況を見たチームはエンジンを載せかえるそうだ。「100%の原因が定かではないんですけど、おそらく風にあおられてウォールに当たってしまったのではないかとしか言えないです。あの周はイン・ラップでゆっくり走っていたんですよ。それでダウンフォースがなくて、余計に風に押されてしまったのか、ステアリングを切っても反応しなかったとしか考えられない。いきなり外側に行ってしまいました。走る前にステアリング・ラックを変えていたことが気になる点ではあります。角度が良かったせいで痛くは無かったんですが、思ったよりもマシンが壊れていて、エンジンも載せ変えなくてはいけないそうです。明日も走りますが、まずトニーが僕のマシンに乗って、悪いところがないか確認してくれるって言っていました」と分析する武藤。決勝に向けて不安が残る内容だが、原因を究明して明日のプラクティスから本来の走りを取り戻すことを祈る。

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木曜日から天候が回復し、サード・デイは無事に行われることとなったが、今週は強い風がコースに吹きつけ、クラッシュが続出している。昨日もEJ.ヴィソ、ウィル・パワー、ライアン・ブリスコーがウォールの餌食となり、今日はマリオ・ドミンゲスを筆頭に、マックス・パピス、武藤、フィル・ギブラーがクラッシュした。特に予選中のプラクティス・モードでウォールに激突したギブラーは、マシン・カウルがバラバラになり、エンジンやラジエターが剥き出しとなるほどの大クラッシュ。ギブラー本人も胸を強打し、病院へ向かうこととなった。

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予選は3日目までを消化し、33台のグリッドが決まった。しかし、インディ500の予選はここで終わらず、4日目のバンプ・デイが最終日。“バンプ=はじき出す”という言葉が示すとおり、翌日の残された6時間の間に、最も遅い33番目のスピードを上回れば、そのドライバーを“バンプ”アウトして33位のポジションに割り込むことが出来る。アメリカらしい、“敗者復活枠”だ。現在、そのバンプ・アウトされる可能性がある“オン・ザ・バブル”のポジションにいるのは、215.506マイルに留まったマーティ・ロス。今日、33台に入れなかったフィル・ギブラー、マリオ・ドミンゲス、マックス・パピス、A.J.フォイト4世などはもちろん、バンプ・デイだけを狙って出場するドライバーが、最後の席を争うことになる。33台の中で最も遅いスピードが“オン・ザ・バブル”の対象となるため、バンプ・アウトしたドライバーのスピードが高ければ、“オン・ザ・バブル”に付くドライバーも変わってしまう。そのためロスだけでなく、バディ・ラジアーやロジャー安川のポジションもまだ安泰とはいえない。最終日のバンプ・デイも緊張感あふれる熾烈な戦いとなることは必至だ。