INDY CAR

武藤英紀、初めてのインディ500で予選9位に食い込む。予選初日のグリッド獲得はルーキーでただ一人

<Formula Dream Indy>
<2008 IRLインディカー・シリーズ 第5戦インディアナポリス92nd Indianapolis 500 Mile Race>
【日 程】2008年5月4〜25日
【開催地】インディアナ州インディアナポリス
【コース】インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
【距 離】オーバルコース:2.5マイル(4.023km)
【天 候】10日:晴れ/気温:17〜18℃
【時 間】午後0時00分〜(日本時間11日午前1時00分〜)
■■■5月10日予選(ポールデイ)■■■
<13人のルーキーがエントリー>
 シーズン開幕前にアメリカンオープンホイールが統一されたことで、今年で第92回目を迎えるインディ500は、実に13人ものルーキーが出場することとなった。
 日本がゴールデンウイークの真っ最中だった5月4,5日の2日間、武藤英紀はルーキー・オリエンテーションに参加し、全長2.5マイル(4.023km)の超高速オーバルでの桁違いのスピードに慣れることに努めた。
<1日ごとに着実にスピードアップ>
 走行初日、4段階が設定されたルーキーテストを武藤は43周走行しただけでパスした。そして、1周の平均スピードも初日のベストが時速219.824mph(353.772km/h)、2日目が222.600mph(358.240km/h)、ベテラン勢も走り出した走行3日目が223.225mph(259.246km/h)と、1日ごとに着々とスピードを上げていった。インディでスピードアップを急くのは御法度。武藤はチームのプログラムに従って一歩一歩スピードを高めていった。
<雨にたたられ走行不足に>
 ところが、水曜、木曜とインディアナポリスは2日連続で雨となり、誰一人として走行できなかった。ルーキーである武藤にとって、厳しい状況である。時間をかけてスピードを上げていく中で様々なセッティングをトライする計画だったが、合計12時間もの走行時間短縮でプログラムの変更を余儀なくされた。火曜までの走行で裏付けが得られているセッティングから、ダウンフォースを減らしてスピードアップを図らねばならないということだ。
<11番グリッドまでを決する予選初日>
 インディ500予選は2つの週末にわたる合計4日間で争われるのが伝統だ。そして、3年前からポールデイと呼ばれる予選初日にポールポジションを含むトップ11グリッドだけが決定されるルールに変更になった。
 武藤の目標は、このトップ11に入ることに定められていた。グリッドを翌日のセカンドデイまでに確定できなければ、次の1週間も予選通過のために労力を費やさねばならないが、初日で予選を通過すればその後の時間をまるまるレースセッティングに充てることができる。
<晴天に恵まれたポールデイ>
 予選初日の天候は幸いにも快晴。気温も高くはならず、風も弱い、まさに絶好の予選日和となった。マイナス要素といえば、2日間の雨のため誰もが十分に走り込んでの予選ではない点だけだった。
 武藤は6番目のアタッカーとしてコースインし、4周平均223.653mph(359.935km/h)を記録。最速ルーキーとして暫定的に5番手のグリッドを確保した。そしてほぼ全員がアタックを終えた午後2時40分、武藤の順位は10番手まで下がっていた。
<車検不通過で再度アタック>
 予選は午後6時まで続くため、10位では11位以下へと降格する可能性が十分にある。武藤は2回目のアタックを行うつもりでいた。1人につき1日に3回までアタックすることが許されているのだ。そう考えて準備を進めていた時、武藤のマシンが予選後の車検で搭載を義務付けられているテレビカメラ用バッテリーを積んでいなかったためにタイム無効との発表がなされた。
<残り1時間を切ってのアタック>
 予選を行うマシンがない時間帯はプラクティス用に開放されるため、武藤は2度目のアタックに向けて新たなセッティングをトライ。しかし、期待どおりの成果を引き出すことはできず、予選1回目のセッティングからダウンフォースを減らし、予選2回目への挑戦を宣言した。
 224mph台に届けば余裕を持ってグリッドを獲得できるという状況下、武藤は1周目に223.990mph(360.477km/h)を記録。2周目は223.942mph(360.400km/h)とほぼ同じものを維持し、3、4周目のスピードダウンも最小限に抑え、平均223.887mph(360.311km/h)で9番グリッドへと食い込んだ。
<ルーキーでただ一人、予選初日にグリッド確保>
 この後にも武藤たちをトップ11から弾き出そうとライバル勢のアタックが続いたが、午後6時に予選終了が告げられるまでに好タイムを出すドライバーは現れず、武藤の9番グリッド獲得が決定した。今日は22人がアタックを試みた。
■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「来週のプラクティスからはレースへと気持ちを切り替える」
「予選1回目のタイムが無効になったので、2回目はタイムを出さないと、というのが少しプレッシャーになっていました。しかし、1回目より良いタイムを出せました。トップ11を目指していたので、それを達成する予選9位という結果は良かったと思います。
 アタック2回目の前にはダニカのセッティングも試してみました。しかし、リヤのグリップが十分にあって乗り易かったものの、アンダーステアが強過ぎて全開では走れませんでした。あのセッティングでバランスを出せれば、その方が良かったのかもしれませんが、そんな時間もないので元に戻しました。
 予選2回目はダウンフォースを削ったことがタイムアップに繋がっていたと思います。路面のコンディションも良く、タイヤが3、4周目でも持ってくれていました。それでも、走行中はウェイトジャッカーをコーナー毎にいじって、タイヤのことを常に考えながら走っていました。
 明日からは3日間オフになるので、リラックスして来週のプラクティスに備え、レースへと気持ちを切り替えて走ります。雨が降らないことを祈ります。テストでやるべきことはたくさんありますから」
<レイ・ガスリン:レースエンジニア>
「予選では見事なドライビングをしてくれた。これからはレース用セッティングに集中できる」
「これだけ競争のレベルが高い出場者の中で予選9位、ルーキーで唯一のグリッド獲得は素晴らしい結果だ。ヒデキもこのことを誇りに感じて良いと思う。1回目のアタックでのスピードには満足できなかったが、車検不通過が結果的に良い方向に出た。2回目のアタックで1回目のスピードを上回れたのだから。 もう一度アタックすることが決定してからは、チームメイトのダニカ・パトリックのセッティングを試したが、ハンドリングが好みに合わず、予選1回目のセッティングに戻した。そこからダウンフォースとドラッグを減らして2回目のアタックに臨むこととしたが、ヒデキは今回が初めてのインディなので、どれだけ早く低ダウンフォースのマシンで走ることができるようになるかが心配だった。しかし、彼は予選2回目で見事なドライビングをしてくれた。これで来週、我々はレース用セッティングに集中することができる」
■■■予選(ポールデイ)結果■■■
2.5マイル(4.023km)            出走22台/計32アタック
順位 No. ドライバー    4周合計タイム   平均速度mph(km/h)
1位  9  S.ディクソン     2’39.0348   226.366(364.301)
2位 10  D.ウェルドン     2’39.2143   226.110(363.889)
3位  6  R.ブリスコー     2’39.2358   226.080(363.840)
4位  3  H.カストロネベス   2’39.4806   225.733(363.282)
5位  7  D.パトリック     2’39.8601   225.197(362.419)
9位 27  武藤英紀       2’40.7952   223.887(360.311)
※全車シャシー:ダラーラ/エンジン:Honda/タイヤ:ファイアストン