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インディカー・シリーズ 第3戦 もてぎ【初日】フォト&レポート

<US-RACING>

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週末の天候不良が伝えられるなか、幕が開けた2008年のインディ・ジャパン。いつ降るとも知れぬ雨を心配しながら、初日のテスト・セッションが行われた。総合トップ・スピードをたたき出したのは、昨年のウイナーであるトニー・カナーン。200.842mphのトップ・スピードを記録し、もてぎ最多出場記録を持つ男が今年も好調をアピールしている。「全体的に良い状態だよ。一日中走ることが出来たし、明日も走ることが出来れば状況はもっと良くなるだろうね。マシン・バランスに納得がいかない部分もあるから、決勝までの残り2日間で多くの作業をこなさなくてはいけない。特に問題を抱えているターン4の走りが良くなるように、マシンを仕上げようとしている。ターン3とターン4でのマシン・バランスは、レースの鍵になると思うね」と話すカナーン。まだまだ煮詰めるところはあるようだが、2年連続優勝に向けて良い出だしとなった。

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開幕戦を制したスコット・ディクソンは2位につけた。午前のプラクティスでトップになったものの、マシン・バランスに納得がいかないディクソンは、セッションのインターバルを利用してセット・アップを変更する。その甲斐あって、ディクソンの狙い通り午後のセッションでは午前のスピードを更新し、200.390mphを記録した。さらにスピードを上げたいディクソンだが、セッションが残り10分を切ったところでタイヤを使い果たしてしまう。終了間際に大粒の雨が降り出したこともあり、これ以上のスピード・アップは叶わなかった。「タイヤを使い切ってしまってからは、フラストレーションが溜まる走行になったね。天候の影響もあってスピードが上げられなかった。もてぎは他のコースと違うところが多くあるから、まだまだやらなくてはいけないことがあるんだけど、悪くはないよ」と振り返るディクソン。カナーンとの0.4マイル差はまだ射程圏内か。

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ダン・ウエルドンがディクソンに続き、チップ・ガナッシはAGRをしっかりマークしている。開幕戦は予選中にクラッシュし、第2戦ではパドル・シフトに問題を抱え、ここ2戦思った通りのレースが出来ていなかったというウエルドン。もてぎは2004年にキャリア初優勝を挙げた思い出の場所であるため、悪い流れを断ち切るには絶好のコースとなりそうだ。初日はまずトップ3に入り、会見でも終始上機嫌。「割と良い一日だったんじゃないかな。午後のセッションで2セット目のタイヤを使えなかったのが残念だったけどね。もう少し鋭い走りが出来るかも知れないけど、タイヤをセーブしているんだ。明日は走れるかどうか分からないけど、雨が降っても5番グリッドには入れるから、それほど影響はないよ」と話し、決勝に向けてまだまだ楽観的だ。

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武藤英紀が待ち望んでいた初めての母国レースがついに開幕した。明日の予選を雨と見越し、初日からレース・セット・アップだけに集中していた武藤。午前のプラクティスは路面状況が悪く、本格的なセット・アップは午後のプラクティスから行い、レースを想定したフル・タンク状態での走行を行うなど、ちゃくちゃくとレースに向けた準備を整える。セッション途中に雨が降り出し、マシンを降りてしまうドライバーがいるなか、武藤がじっとマシンで再開を待ち続ける姿は印象的で、凱旋レースに掛ける強い思いが伝わってきた。197.794mphの10位という結果に留まったものの、武藤はマシンの感触に手ごたえを感じたようだ。

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「初のレーシング・スピードで走るもてぎだったので、一日楽しめました。欲をいうと、もう少し走りたかったというのが本音です。レースに向けたセット・アップで走ったため、順位は下のほうですが、それは気にしていません。セット・アップを煮詰めるには、もっと時間があればよかったですね。マシンのフィーリングは、今日トップ・スピードを出したトニー・カナーンと近いので、方向性は良いと思いますし、仮に明日走れなくても良い状態でスタート・ラインに並べるのではないでしょうか。一年通して考えると、開幕戦のオーバルで納得のいくレースが出来なかったので、完走を目指すと言いたいところですけど、やはりはじめての凱旋レースですから、小さいことを気にせず、思い切って良いレースをしたいと思います」

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3年ぶりにインディ・ジャパン出場を果たすロジャー安川。セッション開始前にはチームのフォト・セッションが行われ、日本人最多タイとなる4度目の出場に気合が入る。シェイクダウンも出来ないままもてぎ入りとなったため、初日から電気系のトラブルによりデータが一切取れないという厳しい一日となる。セット・アップ変更にも大きな時間が割かれ、午後のセッションは17周に留まり、午前にマークした190.571mphがベスト・スピード。しかし、これまでの経験と勘を頼りにしたセット・アップで方向性は見えているということで、明日以降の巻き返しが期待される。

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「タイムだけ見ると18位という結果で、フラストレーションが溜まる走行でした。昨年のインディ500以来、久々にインディカーに乗るということで、最初は楽しめましたが、シェイク・ダウンもしていないので、セット・アップには苦しみましたね。電気系のトラブルでセッションの最後までデータが取れず、山勘で走らなくてはいけません。セッティングを大きく変えたことで良かった部分と悪かった部分両方ありますけど、まだまだ直すところが沢山あります。根本的なセット・アップが出来ていないので、出来れば明日は晴れて欲しいですね。それでも方向性は見えたので、収穫のある一日でした。あるものだけでやるしかないので、頑張ります」

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今週末は雨の心配がされており、初日から曇天がツインリンクもてぎを覆っていた。午前のセッションは予定通り行われたが、午後のセッションが始まった直後から、天気予報どおりぽつぽつと雨粒が落ち始めた。走行には影響がないためセッションは続けられたが、午後2時23分に雨脚が強まりイエロー・フラッグ。そのままセッションは一時中断となる。しばらくすると雨が止んだため、当初の予定を延長し、3時5分から走行が再開した。するとセッション終了間際になって再び雨が降り出し、3時25分に午後のプラクティスは終了した。明日は一日中雨という予報となっており、午前のプラクティスはもちろん、午後の予選も中止になる可能性が高い。インディ500と同じ予選方式となっただけに予選だけでもなんとか行われればいいのだが……。

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もてぎでは恒例となっているひとコマ。結婚してさらに男前になったウエルドンがピットからガレージに戻る間、多くの日本のファンにサインをしていた。アメリカでドライバーの移動中にこれほど多くのファンに囲まれるという光景はあまり見たことがない。もてぎでホンダが初優勝したときのドライバーだったウエルドンの人気は高いなと改めて感じた。もちろん、わずかな間でもサインに快く対応するウエルドンの人柄の良さも日本のファンの心をぐっとつかんでいるようだ。日本では毎年一回だけの開催ということもあり、ファンもこのチャンスを逃さないよう一生懸命だった。

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今年のもてぎは3年振りに日本人ドライバーが二人参戦することになった。武藤英紀とロジャー安川は安川が日本で過ごした小学生時代に、よく練習していたカート場で知り合ったというからその付き合いは長い。その当時、今こうして握手を交わす二人が同じタイミングでインディ・カーのレースに参戦するとは夢にも思っていなかったのでは。お互いにトップ・カテゴリーのレースで走りたいという夢をあきらめずに努力してきた結果が、この一枚の写真を生むことになった。これまで多くの日本人ドライバーが参戦してきたインディ・カー。日本人ドライバーの優勝という夢を我々もあきらめずに待ち続けたい。