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インディ・カー・シリーズ 第2戦セント・ピーターズバーグ【決勝日】フォト&レポート

<US-RACING>

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スタート直前に降り出した雨は、めまぐるしくトップが入れ替わる劇的なレースを演出し、アメリカン・オープン・ホイール史上最年少となる19歳93日のウイナーを誕生させた。このセント・ピーターズバーグで優勝した青年の名は、グラハム・レイホール。1986年にインディ500を制し、チャンプ・カーのタイトルを3度獲得した伝説のドライバー、ボビー・レイホールの息子だ。レース中盤のアクシデントで23番手に後退する苦しい展開から、諦めることなく前進し続けたレイホールは、19歳と思えない安定した走りを披露する。この日いちばんの山場は、ベテランのエリオ・カストロネベスからトップ・ポジションを守らなければならなかった最後のリスタート。ここでもレイホールは、完璧なリスタートを決めると、そのまま初勝利のチェッカード・フラッグを受けた。最年少ウイナーは、史上4人目となるインディカー初出場、初優勝の快挙も同時に達成。歓喜の初優勝に、レイホールは両手を力強く空に突き上げる。アメリカン・オープン・ホイール・レーシングに、また新たなスターが誕生した瞬間だった。

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「タフなレースだったよ。ウィル(パワー)に追突されたのもそうだし、すべてがタフだった。最初のレースで勝てるなんて、これ以上すばらしいことはないだろうね。僕たちには速さがあり、ライバルを引き離せると思っていたから、これはラッキーな勝利ではないんだ。ほんとうに最高の気分さ」と語るレイホール。まだ19歳の青年が、これからどれだけ勝利を重ねていくのか楽しみでならない。

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セント・ピーターズバーグを連覇していたエリオ・カストロネベスは、惜しくも3連勝を逃した。4番手スタートから69周目に2番へ浮上したカストロネベスは、最後のコーションでレイホールを捉える絶好のチャンスが回ってくる。しかし、今日はレイホールの方が一枚上手で、完璧なリスタートを決められると、為す術なく2位でフィニッシュした。「惜しかったね。スロー・コーナーでアンダーステアになってしまい、パスするチャンスを作れなかった。もちろん勝ちたかったけど、いつか勝てるさ。まだシーズンが始まったばかりだから、2位には多くの価値があるよ」と話すカストロネベス。TV番組のダンス・コンテストは制覇したが、レースでは昨年のセント・ピーターズバーグ以来となる優勝は、果たしていつ訪れるだろうか。

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ポール・ポジションからスタートしたトニー・カナーンは、ピット・タイミングに翻弄され、3位に終わった。一時は11番手まで順位を下げてしまうが、ポール・ポジションを獲得した速さで、徐々に挽回していく。圧巻だったのは最後のコーションが明けた残り3周。5番手からまずアーネスト・ヴィソを捉えると、すかさず次のラップでハンター-レイをかわし、わずか3周で2つもポジションを上げてみせた。優勝を狙える速さがあっただけに、ピット・タイミングだけが悔やまれる。「セント・ピーターズバーグに呪われているみたいだよ。いつも表彰台に乗るのに、1回も勝った事がないんだ。リスクを犯せば、うまくいく日もあるし、うまくいかない日もあるってことだね」と嘆くカナーン。開幕戦から2戦連続で不運に見舞われたため、昨年優勝したインディ・ジャパンから流れを変えたい。

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昨日の予選は、14位という不本意な結果に終わった武藤英紀。挽回を誓った決勝当日は、朝のウォームアップ・セッションで2位を記録し、レースに向けて期待がかかった。開始直前に降り出した雨にセット・アップをあわせる間もなく、レースがスタートしたという武藤。完全なドライ用のセッティングだったため、雨の中でペースを上げられず、順位を落としてしまう。しかし路面が乾き始めると、本来の速さを取り戻してペースアップ。ピット戦略がしっかり決まり、最後のコーションが発生したときには、9番手まで躍進していた。残り2周からダン・ウエルドン、オリオール・セルビアといったベテラン勢を攻略する力強さもみせ、自己ベストを更新する6位フィニッシュ。次の母国レースに期待がもてる結果を残した。

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「2時間のレースがすごい長く感じましたね。雨の中では、車高が低いためにハイドロプレーンに悩まされ、なかなかペースが上げられませんでした。雨が降ってもすぐに止んでしまうことを予測していたので、あえてドライのセット・アップでスタートしたという部分もあります。ドライ・タイヤに替えてからのペースは良かったですし、マシンが良かったおかげで、追い上げることが出来ました。作戦も良かったですね。残り2周で2台をかわし、6位に入ったことで、収穫の多いレースとなりました。このままの勢いで、もてぎに乗り込みたいと思います」

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予選に引き続きチャンプ・カー勢が躍進した決勝。合併からわずか2戦で、ニューマン/ハース/ラニガン・レーシングが勝利を勝ち取り、トップ10には6台のチャンプ・カー勢が入った。改めてチャンプ・カー勢のポテンシャルの高さを認識するとともに、今後のシーズンがより激しいレースになることは必至だ。

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レインコーションからスタートした今回のレースは、その後4回のアクシデントが発生する波乱のレース展開となった。レースも終盤となり、残り10分間のタイムレースとなった矢先、77周目に最後のクラッシュが発生した。ターン10で8位を走行していたメイラのインサイドにペレラが半ば強引に突入した。ペレラの右フロントタイヤがメイラの左リアタイヤに接触すると、コントロールを失ったメイラとペレラのマシンが重なるようにしてタイヤバリアに突っ込んできた。2台のマシンは向き合うような形で止まり、両ドライバーはお互いに手を上げジェスチャーでクラッシュの原因を抗議しだした。そうこうしているうちになんとメイラのマシンに、今回からエントリーしているベルが突撃。危うく大惨事になるところだった。マシンから無事降りることができたメイラとペレラは納得できず、エスケープゾーンまで非難すると口論を始めた。「間違いなくストリートコースの経験が少ないルーキーミスだよ」と怒り心頭のメイラに対し、「自分より遅いクルマに引っかかっているのが嫌いだから、追い抜こうとしたんだけど、メイラにブロックされちゃったよ」と、それほど反省している様子もないペレラ。状況を見ていた立場から言えば、ターン10というタイトなコーナーで痺れを切らしたペレラの強引な追い抜きに難があったのではと感じた。次回からのレースでお互いに同じ間違いが起こらないことを願いたい。

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朝から厚い雲が立ち込めたセント・ピーターズバーグ。雨の予報があったものの、朝のプラクティスとインディ・ライツ、スタート・セレモニーまでは何とか持ちこたえていた。しかし、今日は予報通りにスタート直前になって、バケツをひっくり返したような激しい雨が降り出した。思わずドライバーもチームに関係なく、グリッドの目の前にあるテントに駆け込むほどだった。雨はレースが始まって4周目に止み、ドライバーにとってはレース中に路面コンディションが変化する難しいレースとなったが、訪れた観客は誰が勝つかわからないレースを心行くまで楽しんだ。また、レース前のセレモニーでは、セント・ピーターズバーグ市長から開催契約が5年延長されたという発表があった。発表と同時に客席からは大歓声が上り、地元ファンにとってもうれしい報告となった。今後もこのレースが長く続き、セント・ピーターズバーグいちのイベントになることを願う。