INDY CAR

2008年開幕戦ウイナーはスコット・ディクソン

<Honda>

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2008年3月29日(土):決勝
開催地:フロリダ州ホームステッド
会場:ホームステッド・マイアミ・スピードウェイ

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08年のIRL IndyCarシリーズ開幕戦は25台のマシンが出場し、華やかにスタートを切った。12年間にわたってアメリカに2つ存在したトップ・オープンホイール・シリーズは、08年シーズンの開幕1カ月前にIRL IndyCarシリーズ1つへと統一されたのだ。グランドスタンドの向こうへと夕陽が沈んだ午後8時15分、ナイター用照明を浴びたインディカー群は300マイル先のゴールに向けてグリーン・フラッグを受けた。

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08年最初のレースで主導権を握ったのは、IndyCarシリーズに三強として君臨しているアンドレッティ・グリーン・レーシング、チップ・ガナッシ・レーシング、チーム・ペンスキーのドライバーたちだった。その中からマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)がレース中盤にライバル勢を突き放す速さを見せた。しかし、ゴールまで残り40周をきったところでチームメートのトニー・カナーンがトップを奪い取り、勝利に向けてリードを広げていった。
最後のピットストップもスムーズに終え、誰もがカナーンの優勝はほぼ間違いないと考えた。ところが、残り7周を迎えたところでカナーンの目の前を走っていた周回遅れのマシンがスピン。それをギリギリで避けきれなかったカナーンはフロントサスペンションにダメージを負った。右前輪が外れかけた状態となってもカナーンはトップを維持、フルコースコーションのままトップでチェッカードフラッグを受けることを目指した。しかし、レースは残り4周で再開された。

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2位につけていたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、ピットへと向かったカナーンをパスして難なくトップに立つと、食い下がるアンドレッティを0.5828秒差で振りきって開幕戦をポール・トゥ・ウインで飾った。3位でフィニッシュしたのはディクソンのチームメートのダン・ウェルドン。予選でアクシデントを起こしたために22番手スタートだったが、見事な走りで上位フィニッシュを果たした。

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今シーズンからフル参戦となる武藤英紀(アンドレッティ・グリーン・レーシング)は32周でアクシデントによるリタイアを喫した。7番手スタートからハンドリングの不調で18位まで後退した武藤は、1回目のフルコースコーション中にピットに止まろうとしたとき、ルール下では停止していなくてはならないマシンが飛び出して来たために、コースをもう1周して給油とタイヤ交換を行った。これで20位までポジションを下げたが、リスタート後にはスピードを取り戻し、順位を3つばん回。リズムに乗ってさらにポジションを上げようとしたとき、前車に進路を塞がれて外側の壁にヒットした。ダメージはサスペンション、ドライブシャフト、ギアボックスに及び、緒戦の成績は無念のリタイアとなった。
■スコット・ディクソン(優勝)

「アンドレッティ・グリーン・レーシングの2人は確かに速かったが、最後に逆転のチャンスが来るものと信じて走っていた。そして、カナーンは不運にも周回遅れのマシンのアクシデントに巻き込まれ、僕らが勝利を手にすることとなった。開幕戦を制することができて本当にうれしい。最高の形でシーズンのスタートを切ることができた」
■マルコ・アンドレッティ(2位)

「今回は開幕戦なので、絶対にフィニッシュまで走りきることを目標にしていた。シーズン・オフに行ったテストの成果が出て、僕らのマシンはレースを通して速さを保っていた。今シーズンの僕らはタイトル獲得を目標としている。だから、着実にポイントを積み重ねていこうと考えていた。2位は悪くない結果だ」

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■ダン・ウェルドン(3位)

「後方からのスタートだったが、新規参入のドライバーたちはフェアにレースを戦っており、僕の方が速いと分かればオーバーテイクさせてくれた。最後に決定力を欠いたのは、僕らのマシンがロングランでのスピードを備えていなかったからだ。しかし、予選でのアクシデントを考えれば、開幕戦での3位は満足のいく結果だと思う」

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■武藤英紀(24位)

「スタート直後はマシンがふらついていました。ピットストップでは自分に優先権があるはずのところでペンスキーのマシンが出て来たためにコースをもう1周してから作業を受けることになりました。リスタートのあとはハンドリングもよくなり何台かをパスできました。しかし、次に抜こうとしたマシンが思ったよりもアウトに膨らんで来て、自分に当たる風を遮られたためダウンフォースが失われ、壁にヒットしてしまいました。そんなにひどい接触ではなかったので走り続けることができると思ったのですが、マシンの内部が壊れていたためにリタイアとなりました。自分の中では、もう気持ちを切り替えているので、来週の第2戦はいい走りを見せ、いい結果を出すよう全力で戦います」

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■エリック・バークマン|HPD社長

「多くのマシンが出場したシーズン開幕戦は非常にエキサイティングなレースとなった。経験豊富なチームと新規参入のチームの間にはまだ差があり、いくつかのアクシデントも発生した。しかし、新しいチームはマシンを手に入れたのが開幕1カ月前以内という本当に難しい状況を乗り越えて開幕戦に準備を間に合わせた。彼らの仕事ぶりはすばらしいものであったと讃えたい。全体的に見てオープンホイール統一後初のレースは大成功であったと思う。Hondaエンジンは想定していた通りにトラブルを発生させることもなく、新しく導入されたパドルシフトも同様に何ら問題はなかった。次戦セント・ピーターズバーグはロードレースなので新規参入チームが今回よりも高い戦闘力を発揮し、さらに激しいレースが展開されることと期待している」