INDY CAR

インディ・カー・オープン・テスト セブリング【最終日】 フォト&レポート

<US-RACING>

画像

4日目の最終日を迎えたセブリングのオープンテストは、今日もペンスキーが1-2を独占する圧倒的な強さを見せ付けて終了することになった。トップ・タイムは前日に引き続きライアン・ブリスコーがマーク。見た目にもコースアウトと紙一重というぐらい、アグレッシブな走りでコースを攻めていた。昨日のタイムをコンマ4秒近く更新する52秒4202が記録されたのも納得がいく。「午後からコースの状況が急に良くなったね。エリオがセッション中盤に速いタイムを出したから、僕もいけるかなって思ったんだ。ニュー・タイヤをつけた時はあまりバランスが良くなかったので、ピットでセッティングを変える必要があったんだけど、小さな変更でもラップに大きく反映されたのには驚いたね。セッション終盤には良いパフォーマンスを引き出せたし、今日はとても多くの点で進歩できたと思うよ」とテストを振り返るブリスコー。インディ参戦時からブリスコーは一発の速さに定評があったが、持続力に欠ける面があった。昨年、アメリカン・ル・マン・シリーズという耐久レースで誰もが目を見張る活躍をしただけに、彼の成長振りが今シーズンに活かされることを期待したい。

画像

ブリスコーとは対照的にスムーズな走りを見せていたエリオ・カストロネベス。見ていてスリリングなブリスコーの走りに比べ、ベテランらしい落ち着きのある走りが印象的だった。タイムもブリスコーとほとんど変らない52秒4531をマークし、ようやくチームメイトに肉薄した感がある。「チームが素晴らしい仕事をしてくれたから今回も内容の濃いテストになったね。最後に雨が降ってしまい、セッションが短くなったのは残念だけど、プログラムはほぼこなせたから満足しているよ」と語るカストロネベス。チームメイトの活躍に奮起し、スパイダーマンもいよいよ本領を発揮してきた。

画像

前日よりタイム・アップできたものの、ペンスキーとは溝を開けられたままのチップ・ガナッシ勢。ペンスキーの2台は軒並み52秒台のタイムを記録するなか、チップ・ガナッシの二人は53秒の壁を越えられずにいた。セッション終盤にタイム・アタックを試みるが、ダン・ウェルドンは自己ベストを更新できず、スコット・ディクソンも攻めすぎてコース・アウト。その5分後には無常の雨が降り出し、チップ・ガナッシにとってほろ苦い最終日となった。「セッティングの面で色々試せたのは良かったけど、ペンスキーとは明らかに差があるよね。今回のデータをしっかり分析して、開幕戦までにこの差を埋めないといけないよ」と危機感を募らせるウェルドン。残された数週間でなんとしてもこの差を埋めたいところだろう。チップ・ガナッシのファクトリーは明日から忙しくなりそうだ。

画像

ペンスキーとガナッシの2強に続いたのは、A.J.フォイト・エンタープラズのダレン・マニング。昨日は周回数が25周にとどまり、タイムも振るわなかったが、今日はガナッシのスコット・ディクソンに0.0147秒まで肉薄した。「昨年みたいな走りができたよ。ようやく冬の間の成果がでたね。もしかすると今年はポテンシャルをフルに発揮できないかもしれないと思ったけど、僕はチャンスがあればレースにだって勝てると思っているんだ」と強気のマニング。果たしてA.J.フォイト御大をビクトリー・レーンに導くことはできるだろうか?

画像

ドレイヤー&レインボールド・レーシングはミルカ・デュノに替わって、ベテランのタウンゼント・ベルがテストを行った。合わせて、同チームから今シーズン7戦でベルを起用することも発表され、デュノとシートを分け合うことになる。インディ500に関しては二人に別々のマシンが与えられることになり、3台体制を敷くことが発表された。ベルにとっては2006年のインディ500以来、久々の実戦復帰となるが、本人は「準備は出来てるよ」と余裕。さすがに今日は2年ぶりのインディカーということもあって、いきなり結果を残すことは出来なかったものの、良い感触を得てテストを終えた。ベルの実戦復帰1戦目は、第2戦のセント・ピーターズバーグとなる。

画像

今日は雨の予報が出ていたセブリング。いかにも雨が落ちてきそうな雲が上空を覆っていたが、午後のセッションに入ってしばらくしても雨は降らなかった。予報どおり今日初めて雨粒が落ちだしたのは、午後2時30分。雨はすぐに止んでしまったものの、路面を濡らすには十分な量だったため、全車が走行を見合わせた。コースが乾きだした午後3時から、セッションが再開。そこからしばらく雨の気配はなかったが、巨大な雨雲が風に乗って運ばれ、スコールのような雨が午後4時15分から降り、セッションは45分を残して終了となった。結局、初日を除く三日間は冴えない天候が続いた。4日間にわたって行われたテストは、第2グループのペンスキーの走りが印象的だったが、総合結果を見ると第1グループのAGRもペンスキーと僅差につけている。日本期待の武藤英紀は総合4位につけ、残すは3月29日の開幕戦に備えるだけとなった。