INDY CAR

インディ・カー・オープン・テスト セブリング【初日】 フォト&レポート

<US-RACING>

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インディカーのオープン・テストは第2クールに入り、場所はホームステッドから北西240kmにあるセブリング・インターナショナル・レースウェイへと移った。このセブリングは来週末に行われる伝統のレース、セブリング12時間の開催地として有名なのはもちろんのこと、1959年にはF1のホスト・コースにもなった経歴をもっている。だが、もともとはアメリカ陸軍航空部隊所有の飛行場で、第二次世界大戦中は“空飛ぶ要塞”とよばれたB17爆撃機のパイロットを養成するための施設として使われていた。施設は戦後の1945年12月31日に役目を終え、1946年にセブリング市へ権限が委譲されたあと、1950年からレースが開催された。今なお滑走路は残されており、コース脇は現在でも空港として利用されている。

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4日間にわたって行われるテストは前半と後半に分けられ、参加するチームも2つのグループ分けられることになった。前半はアンドレッティ・グリーン・レーシング(AGR)、レイホール・レターマン・レーシング、ヴィジョン・レーシング、ロス・レーシングの全4チーム9名が参加した。初日のトップ・タイムをたたき出したのは、やはりAGRのトニー・カナーン。経験豊富なベテランはアグレッシブにコースを攻め、最後のタイム・アタックで53秒5174をマークした。1周が短いコースで2位以下をコンマ3も引き離して見せたのはさすがだ。「僕たちは多くのことをテストしたよ。とても重要なシミュレーションもいくつかこなして、良くなってきていると思うね。1時間から2時間かけてマシンを大幅に変えることもあったんだ。開幕戦とセント・ピーターズバーグとの間がないから、今ここでセント・ピーターズバーグのことをテストしているのさ。たった今初日が終わったところだけど、開幕戦とセント・ピーターズバーグまでにあと2日しかテストが出来ない。でも、全てはうまくいっているよ」と話すカナーン。今年もしっかりチームを牽引してくれることは間違いない。

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カナーンに続いたのは、こちらもAGRのマルコ・アンドレッティ。53秒8378を記録し、2位に入った。今年からニューヨーク証券取引所のスポンサーが、インディアナポリスのスーパーマーケットであるメイジャーに変更。昨年までの赤と青のマシンが、一転して黒ベースのマシンとなったため、このカラーリングに慣れるまでには時間がかかりそうだ。「今日は僕たちが望んでいたほどの結果は得られなかったね。全体的なメカニカル・グリップを得るために、まだ働かなくてはいけないよ。でも、テスト自体はうまくいっているんだ。もし明日もう少しのメカニカル・グリップとマシン・バランスを見つけ出せたら、うれしいと思うね」とテストを振り返るアンドレッティ。不発に終わった2年目のシーズンを払拭し、この新しいカラーリングで挑む3年目に躍進を誓う。

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AGRの武藤英紀は3位となる53秒8716を記録した。結局AGRは1位から3位までを独占することになった。今日のテストはチーム・メンバーがそれぞれ違うメニューをこなしていたため、コース上へ出るタイミングもバラバラ。午後からの限られたテスト時間ということもあってか、ロングラン走行はなく、6〜8周程度の短いスティントを重ねていた。武藤も積極的にラップを重ね、この日トータルで56周を走行。タイム・アタック中に細かいミスを喫し、カナーンのタイムに迫ることが出来なかったが、武藤は良い感触を得て初日を終えた。

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「コンディションが良くないということで、それを考慮すると悪くないのかなと思いますね。タイムもミスをするまでは53秒5あたりの勢いで走っていたから、感触は悪くないです。ただチームメイトの3台に比べてブレーキがロックしやすいということがありました。セッション中に色々なことを試しましたし、タイムもそれほど悪くないので、良かったと思います」

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今日のセブリングは雲の量が多く、太陽が隠れてしまうこともあったが、一日を通して青空が見えていた。ホームステッドより北に位置しているにも関わらず、気温は蒸し暑いほど。ドライバーもレーシング・スーツが汗でぬれ、暑そうな表情を浮かべていた。オフ・シーズンでは恒例となったセブリングのコースは、そのバンピーな特性からストリート・コースを想定したテストが行われている。ストリート・コースは当然のことながら事前テストができないため、このセブリングのコースが重宝されているわけだ。2005年からカレンダーにストリート・コースが加わり、チャンプ・カーとの合併でさらに増える可能性もあることから、ここでのテストは大きな意味を持つことになるだろう。