<US-RACING>
IRLのシーズン最多記録となる、7回目のポール・ポジションを獲得したエリオ・カストロネベス。得意とするベル・アイルのコースで、予選男が本領を発揮した。シングル・カー・クオリファイのラスト・アタッカーとして登場したカストロネベスは、3番手のタイムをマークし、難なくファイアストン・ファスト・シックスの出場権を得る。迎えた10分間の最終予選は、ダリオ・フランキッティとの一騎打ち。2.070マイルのコースをコンマ1秒以内で争う白熱した予選は、残り2分にカストロネベスが1分12秒0688を記録し、フランキッティを逆転してポール・ポジションを勝ち取った。「僕ひとりの力ではないよ。チームみんなの信じがたい努力のおかげなんだ。ロジャー(ペンスキー)とクルーのみんなにはとても感謝している。かなり細かい点に集中し、ごくわずかな変更を加えたらあのラップを走れた。説明できないほど気持ちが高ぶったね。ほんとうに嬉しいんだ」と喜びを爆発させるカストロネベス。7年前にこのベル・アイルで初めて披露したフェンス登りのパフォーマンスを、再び観客に見せることが出来るだろうか。
シングル・カー・クオリファイをトップで通過しながら、0.0742秒という僅差でポール・ポジションを逃したダリオ・フランキッティ。今朝のプラクティスではターン6の立ち上がりでウォールにヒットするアクシデントを犯し、チームが大急ぎでマシンを修復する事態に陥っていた。なんとか予選までに修復が間に合い、フランキッティはチームの努力を裏切らない走りを見せた。ポール・ポジションこそカストロネベスに明け渡したものの、タイトルを争うスコット・ディクソンの前はしっかりキープ。逆転チャンピオンに向けて順当な位置を確保した。「良い走りができたよ。コンマ1秒以内でポールを逃したことを考えると、もっと速く走れたはずだと思ってしまうね。でもタイヤが一番良い状態であのタイムだから、精一杯だったんだ。イエロー・フラッグが振られていたのに、エリオがどうやってタイムを更新したのかはちょっと疑問だね。今朝はクラッシュしてしまって、クルーのみんなが一生懸命直してくれた。彼らを凄く誇りに思うし、明日のレースがほんとうに楽しみだよ」と話すフランキッティ。レースをリードし、ポイント・リーダーとなって最終戦を迎えたいところだ。
今朝のプラクティスでトップ・タイムをマークしたポイント・リーダーのディクソンは、予選では振るわず、3位に留まった。やはりCARTで優勝経験を持つ上位二人とは、わずかだが差があるようだ。4ポイント差で迫りくるフランキッティを、自分より前のグリッドに出してしまったのは手痛いが、フランキッティのサポート役となるカナーンを切り崩したのは好材料。直接対決に持ち込んで、フランキッティを攻略したい。「今朝のセッションは良い感触だったけど、予選では慎重になりすぎたかもしれないね。そのあと少しセット・アップを変えたら、ものすごいアンダーステアになってしまった。幸いフロント・ローの近くからスタートするし、エリオがポールを獲ったことは良いことだね」と予選を振り返るディクソン。抜きどころの少ないベル・アイルで、どこに突破口を見出すのか注目される。
昨日のプラクティスでトラブルの原因を突き止めた松浦孝亮。今日のセッションはどんどんタイム・アップを図っていきたいところだったが、結局タイムを上げることが出来ず、予選を14位で終えた。「アタック自体はそれほど悪くなかったですけど、ターン3でミスしたのが大きかったですね。マシンはだいぶ良くなりましたが、まだ遅いです。ドライバーが頑張らないといけない部分と、マシンに頼らなくてはいけない部分の両方があるから、改良の余地がまだまだあります」と語る松浦。依然として厳しい戦いが続いているが、粘り強い走りで上位進出を期待したい。
二日目を迎えたデトロイトでは、来年以降のインディカーに関するプレス・カンファレンスが開かれた。マシンに関しては2008年からパドル・シフトが導入されることになり、これによってドライバーの負担が減るだけでなく、安全性やトランス・ミッションのライフ向上にも貢献する。また騒音削減のために、2008年からF1で採用されるものと同様のサイド・ポッドと、アンダー・ウイングの装着が義務づけられることになった。さらにFIAの新しい安全基準を満たす21インチのコックピットを、2009年〜10年の間に導入することも発表された。計画では2010年ないし11年に新シャシーを導入することも明かされたが、その詳細は未定。カンファレンス会場ではアート・センター・カレッジの学生がデザインした未来的なコンセプト・カーのイラストがあり、これがどこまで洗練されていくのか今後が楽しみだ。一方、レースに関しては将来的に、国内外問わず20戦まで拡大することが明らかにされている。