<US-RACING>
ダリオ・フランキッティが過去2戦の大クラッシュを払拭する会心のポール・ポジションを獲得した。このインフィネオンは昨年2位となっているだけあって、初日から好タイムをマークしていたフランキッティ。シングル・カー・クオリファイでは最後から2番目のアタッカーとして登場し、この日唯一の1分16秒台となる1分16秒7017をマークしてトップに躍り出る。上位6名で行われるファイアストン・ファスト・シックスでは、3人のドライバーがタイムを縮めるものの、誰もフランキッティのタイムを上回るものは現れず、そのまま今シーズン2回目のポールを守り抜いた。「感触は良かったね。コースのコンディションが今朝から結構変ってしまったけど、誰もが今週末で一番速く走っていた。僕たちもこのコンディション変化を計算に入れていたんだ。チームメイトが上位にきているのはすばらしいことだよ。スタートでのアドバンテージになってくれるはずさ」と喜ぶフランキッティ。タイトル争いで8ポイント差に迫っているディクソンは5位に沈んだことで、失いかけていた良い流れをぐっと手繰り寄せるポールとなった。
予選2位にはなんとダニカ・パトリックが飛び込んだ。ロード・コースでは前回のミド-オハイオに続く2回目のフロント・ロー・スタート獲得。もはや彼女のロード・コースでの速さがまぐれでないことを証明して見せた。シングル・カー・クオリファイを6位で通過したパトリックは、ファイアストン・ファスト・シックスで1周毎にタイムを更新する。最後のラップとなった5周目には1分17秒1486までタイムを縮め、2位に躍進。トップのフランキッティにはコンマ4秒届かなかったものの、ファスト・シックスでタイムを更新した3人のうち、唯一ポジションを上げたドライバーとなった。「ミド-オハイオでも言ったように、この10分間のセッションが私にとてもあっているみたいね。普段よりも上手くやれているわ。今週末の始めは12番手だったから、またフロント・ローになれたのはうれしい。決勝でもこのポジションを守れると良いわね」と話すパトリック。前回のミド-オハイオはスタート直後の同士討ちを演じてしまったが、今度はうまくスタートを切れるだろうか。
3位にはトニー・カナーンが入り、アンドレッティ・グリーン・レーシングが1位から3位までを独占した。昨年、このインフィネオンで史上最年少優勝を果たしたマルコ・アンドレッティが、トップ6に残れなかったのは残念だが、チームがこの1年で大きく進歩していることを改めて感じさせた。カナーン自身もタイトル争いに加わっており、逆転チャンピオンに向けて好ポジションを確保しているものの、本人にはその気がないようだ。「フロント・ローを獲るのは難しかったけど、AGRがワン、ツー、スリーのスタート位置を確保できたのは良いことだね。僕のマシンもとても調子が良いから勝てると思うよ。もしダリオが僕より良いポジションにいたら彼を助けるつもりだが、僕自身はまだ明日の優勝を狙っている。僕にはプレッシャーなんてないよ。ダリオとスコットはチャンピオンシップのことを心配するべきだけど、僕に関してはチャンピオンシップで3位や5位、8位になろうと人生が変わるわけじゃないんだ。でもコースに出れば、残りのどのレースも勝ちに行くつもりだよ」と余裕を見せる2004年チャンピオンのカナーン。明日のレースで優勝を狙うのか、チームメイトのフランキッティをサポートするのか、カナーンの動きが注目される。
昨日に続いて今朝のプラクティスでもトップ・タイムをマークしていたエリオ・カストロネベスは、AGRの壁に阻まれて4位に終わり、予選男の本領発揮とは行かなかった。「マシンは週末を通してかなり速さがあるんだけど、予選になったら風が強くなってしまったんだ。ある程度タイムに影響があることは予想していたが、僕たちが思っている以上の影響を受けたね。でもレースではとてもコンペティティブに戦えると期待しているよ。全力でプッシュして今シーズン2勝目を勝ち取りたいね」と話すカストロネベス。前に陣取るAGRの牙城を切り崩し、第2戦以来お目見えしていない金網のぼりのパフォーマンスを披露できるだろうか。
朝のうちは雲が空を覆っていたインフィネオン・スピードウエイ。時間が経つにつれて雲は流れていき、プラクティスが終了する頃には青空が広がった。朝早くは12度と冷え込んでいた気温も、午後には25度まで上昇。昨日より暑くなかったが、カリフォルニアの強い日差しと少しばかり高い湿度のため、気温以上の暑さを感じた。ストックカーのコースとして有名なインフィネオンで、IRLが開催されることになったのは2005年のこと。過去2年の優勝者は異なるが、いずれもアンドレッティ・グリーン・レーシングのドライバーが勝利を手にしている。今日もAGRがトップ3を独占し、決勝の大本命となるだろう。
今週末はスピードが上がらず、苦しい戦いが続く松浦孝亮。今日は予選前に行った大幅なセッティング変更が功を奏し、チームメイトのヴィットール・メイラを上回る12位で予選を終えた。「昨日のセッションでマシンがすごいオーバーステアだったので、いろいろ変えてみました。マシンはだいぶ良くなって、まともに走れるようになりました。レース展開がどうなるかわからないですが、粘り強く走りたいです。トップ6の後ろでがんばることが出来れば良いですね。ポイント・ランキングが良くないので、少しでもポイントを稼ぎたいです。トップのマシンと比べて1秒ちょっと差がありますが、とにかく楽しいレースをしたいですね」と予選を振り返る松浦。後方からの追い上げを期待しよう。
IRLの予選前に行われたIPSの第1レース。10番手スタートの武藤は力強い走りで一時7番手まで順位を上げる。ところが17周目のターン11、武藤は果敢にジェイミー・カマラをオーバーテイクしようと試みたが、あえなく接触してしまう。両者に大きなダメージはなかったものの、カマラが走り続ける一方で、スピンした武藤はその場で痛恨のエンジンストールを喫してしまう。再び走り出したときにはすでに周回遅れとなってしまっていた。だが、武藤は諦めることなく猛プッシュ。最終ラップにはファステスト・ラップとなる1分23秒8829をマークする意地をみせ、明日の第2レースに向け良い流れを作ってレースをフィニッシュした。「予選順位が悪かったので、ポジションを上げていくのは厳しかったです。17周目には接触でエンジンが止まってしまい、2周遅れになりました。クラッシュは僕も相手もホイールをロックさせて、二人一緒に当たったという感じでした。レースの後に話しかけたんですけど、お互いに『ゴメン』と言い合う形になりました。ファステストも出ていたし、走りは悪くなかったですけどね」と悔しがる武藤。シリーズ・チャンピオンはアレックス・ロイドの手に渡ってしまったが、明日の第2レースではIRL参戦の手土産となる優勝を狙いに行く。
IRLと併催されるグランダム・シリーズへ参戦したロジャー安川。決勝はチームがエンジンを交換したため、ピットからスタートすることになった。予選アタッカーが決勝のトップ・バッターとなる規定により、スタート・ドライバーを任されることになった安川は安定した走りを見せ、第2ドライバーのトーマス・エンゲにしっかりと繋いだ。残念ながらチームは再びエンジン・トラブルを起こし、リタイアとなってしまうが、安川は急遽参戦でもきっちり仕事を全うした。「セッションが終わった後にエンジン・トラブルがあり、エンジンを交換しなければなりませんでした。エンジン交換をするとレギュレーションによって、ピットスタートなってしまうんです。作戦上、トップと30秒の差が付いたらトーマスと交代したほうが良いということになっていたので、ようやく車に慣れてきたなという時でしたが、グリーンの状態でもピットへ入ることになりました。今回、いきなり乗ってくれと声が掛かって、ほんとうにレースに出ることができたのは嬉しいです。もう少しプランニングしてレースに出たいなとは思いますけどね。この車の特性を100%掴みきれなかったので、そういう意味ではがっかりしました。最終的に順位が上がっていけば良かったんですけど、またエンジン・トラブルが起きてリタイアになったのも、すごく残念な結果ですね」とレースを振り返る安川。チームは悔しい結果に終わったが、この走りが次戦以降のシート獲得に繋がることを願う。