<SUPER AGURI PANTHER RACING>
<2007 IRLインディカー・シリーズ 第11戦 ファイアストン・インディ200>
【日 程】7月13日〜7月15日
【開催地】テネシー州ナッシュビル
【コース】ナッシュビル・スーパースピードウェイ
【距 離】1.33マイル(2.140km)×200周=266マイル(428.085km)
■■■7月15日決勝■■■
天候:晴れ/気温:30〜32℃/時間:13時00分〜(日本時間15日3時00分〜)
<IRLインディカー・シリーズ7年ぶりの決勝雨天順延>
スタート前の突然の豪雨により、2007年IRLインディカー・シリーズ第11戦ファイアストン・インディ200は2000年6月のテキサス以来となる雨天順延となった。スーパーアグリ・パンサー・レーシングの松浦孝亮は、予選で13番グリッドを獲得した後にIRL技術員によりマシンの車両既定違反を指摘された。チームの出した抗議は却下され、松浦は最後尾の18番グリッドからレースへと出走。アグレッシブな走りを展開していたが、レース終盤の183周目、他車がピットへの減速レーンから本コースへと飛び出して来たのを避けようとして壁にヒット。悔しいリタイアを喫することとなった。
<不可解な事態発生で車検不通過>
金曜日に行われた予選で松浦は13位のグリッドを獲得していた。ところが、予選終了後の車検をマシンは通過できなかった。ルールに適合していない部分があるとの判定をIRL車検員から受けたのだ。その違反はまったくチームが意図したものではなく、違法と判断される状態に偶発的に陥っていた。また、それによってマシンが何らかのアドバンテージを得られるものでもないため、チームは即座に公式な抗議をIRLへと提出した。決勝日となるはずだった土曜日の午後にIRL首脳陣による審議が行われ、チームの主張は却下された。スーパーアグリ・パンサー・レーシングはその判定を受け入れ、グリッド最後列の18番グリッドからスタートすることとなった。
<オーバーテイクの難しいコースで最後尾からチャージ>
全長1.33マイル、コンクリート舗装のコースにおいて、出場全チームが用意するマシンは性能が激しく拮抗していた。予選ではポールポジションから17位までがコンマ5秒以内にひしめいていたほどだった。ここまでマシンのポテンシャルが接近した状況では、オーバーテイクが非常に難しくなる。最後尾までグリッドを5つも下げられたことは大きな不利だが、レースは200周と長い。その中でひとつでもポジションを上げてフィニッシュすべく、松浦はより大きな闘志を抱いてスタートに臨み、スーパーアグリ・パンサー・レーシングのクルーたちもピットストップでのポジションゲインを達成すべくモチベーションを高く掲げて持ち場についた。
<最高のスタートダッシュ>
正午過ぎに切られたスタートで松浦は見事なダッシュを見せ、一気に13番手までポジションを上げた。アンダーステアと戦いながらも松浦はそのポジションをキープ。1回目のピットストップではフロントウイングに調整を加え、ハンドリングの向上を図った。
しかし、レースが中盤を迎えてもなかなか目指すハンドリングは得られず、さらにウイングを調整し、タイヤの空気圧にも変更を施しての走行が続いた。ラインを外れるとタイヤかすが散らばっているという状況では、なかなか大胆なオーバーテイクを仕掛けることは難しい。それでも松浦はチャレンジを続けたが、後方に迫っていた2台にパスを許した。この位置でのポジションキープは何の意味もない。チャレンジして、それが失敗に終わることは仕方がない。松浦は15番手へと順位を下げたが、粘り強い走りを展開し続け、次なるチャンスが訪れるのを待った。
<レース終盤、全く予期せぬアクシデントが>
もうレースが20周を切った183周目、松浦がターン3を回った時、目の前にジェフ・シモンズのマシンが飛び出して来た。彼はピットインするべく減速レーンを走っていたが、そこでコントロールを失い、本コースとピットレーンを隔てている芝生のエリアさえも乗り越えて来たのだ。しかも、シモンズのマシンは全速力で周回している松浦のライン上まで上がって来た。松浦はギリギリをかすめるようステアリング操作したが、ライン外側のタイヤかすに乗ってステアリングが効かなくなり、外側の壁にヒットしてしまった。松浦は15位で、マシンを無傷に保ってフィニッシュできるレースを戦っていたが、開幕戦ホームステッド・マイアミ、第2戦セント・ピーターズバーグに続き、同じマシンによって今年3回目のリタイアを余儀なくされた。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「次戦のミド-オハイオでは思い切り戦いたい」
「昨日のスタート用と比べると、ダウンフォースを多めにしスターティング・グリッドにつきました。予選のタイムからしてどんどんオーバーテイクをしていくことは難しいと考えられた上、最後尾グリッドからのスタートとなってしまったので、大幅なポジションアップは難しいし、まずはゴールまで走り切ること。それを目標に掲げていました。
レースがスタートして見ると、少しダウンフォースをつけ過ぎたのかな? というマシンになっていました。燃料が重い状況ではアンダーステアも強く出ていました。そこでピットストップではフロントウイング調整をしていきました。
今日のレースではタイヤかすがひどくて、少しでも外のラインに出ると危ない状況になっていました。それにしても悔しいのは、最後のクラッシュです。僕がターン3へと入っていくと、ジェフ・シモンズがコースとの間の芝生の上で真横を向いていました。自分がもしあのままラインをキープし続けていたら、大変な事故になっていたと思います。僕としてはできる限り外側には行きたくなかったのですが、彼のマシンにぶつからないために外へ出て、タイヤかすに乗り、壁にヒットしてしまった。マシンへのダメージはそれほど大きくはなかったのですが、
リタイアは悔しい。次はミド-オハイオです。チャレンジのしがいがある難しいロードコースですが、僕はロードレースが好きですし、マシンのロード用セッティングは戦闘力が高いはずなので、思い切り戦いたいと思います」
<ロン・キャット:チームマネージャー>
「まずまずのマシンが得られた矢先のアクシデントだった」
「レースが延期されて日中になったことから、我々はダウンフォースの大きさをどの程度に設定すべきか、深く検討を行なった。天候や湿度、路面の状況などを総合的に考えた上でスーパーアグリ・パンサー・レーシングのエンジニアたちが導き出したセッティングは、方向性的には良かったと思う。スタート直後のマシンにはアンダーステアがあったため、1回目のピットストップではウイングを調整した。タイヤがフルに性能を発揮するまでに時間がかかっていたことから、タイヤの空気圧を上げる変更も行った。マシンのハンドリングは向上し、2回目のピットインでさらに空気圧を調整。レース終盤のマシンはまずまずのハンドリングとスピードを備えるようになっていた。それにしても、今シーズンの我々は不運から抜け出し切れない。しかも、また同じドライバーによって不運は巻き起こされた。カーナンバー55とカーナンバー17の間には、何かがあるとしか考えられない。我々としては、来週のミド・オハイオでのレースに向けて気持ちを切り替え、新たな戦いをスタートさせたい。テストで多くを学び取ることができ、貴重なデータも得られている。ロードレースはコウスケが得意とするものでもあり、今シーズンのベストリザルトを獲得したい」
■■■決勝結果■■■
1.33マイル(2.140km)×200周=266マイル(428.085km) 出走18台
順位 No. ドライバー 周回数 タイム差
1位 9 S.ディクソン 200 1:35’06.2515
2位 27 D.フランキッティ 200 +2.2400
3位 7 D.パトリック 200 +3.1884
4位 6 S.ホーニッシュJr. 200 +3.2914
5位 26 M.アンドレッティ 200 +4.1409
16位 55 松浦孝亮 182 アクシデント
※全車、シャシーはダラーラ、エンジンはHonda、タイヤはファイアストン
■■■ポイントスタンディング■■■
順位 No. ドライバー ポイント ビハインド
1位 27 D.フランキッティ 434 リーダー
2位 9 S.ディクソン 400 -34
4位 10 D.ウェルドン 337 -97
3位 11 T.カナーン 331 -103
5位 6 S.ホーニッシュJr. 329 -105
18位 55 松浦孝亮 171 -263