INDY CAR

雨のため翌日に順延されたレースでスコット・ディクソンが2連勝

<Honda>

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2007年7月15日(日)・決勝
会場:ナッシュビル・スーパースピードウェイ
天候:晴れ一時雨
気温:30〜32℃

2007年のIRL IndyCarシリーズはすでに後半戦に入っている。全17戦のうちの第11戦目は、アメリカ南部のケンタッキー州ナッシュビルでナイトレースとして開催される予定だったが、スタート直前まで晴天に覆われていたナッシュビル・スーパースピードウェイは、急転、豪雨に襲われ、レースは日曜日に延期された。IndyCarシリーズのレースが雨によって順延されたのは、実に2000年6月のテキサス以来である。

全長1.33マイルのナッシュビル・スーパースピードウェイで行われるファイアストン・インディ200は、ナイトレースから一転、午後1時にグリーンフラッグが振られる日中のレースとなった。これは出場チームにとっても、ドライバーたちにとっても、非常に大きなチャレンジとなった。チームは涼しいコンディション用にセッティングしてあったマシンを、気温、路面温度ともに高いコンディション用のものへと変更を行う必要に迫られ、ドライバーたちは通常のレースよりもマシンコントロールに苦労させられることになるからだ。雨によって路面のタイヤラバーが流され、レース序盤のグリップは低くなる。また、レース中の路面コンディションの変化もいつも以上に大きなものとなる。

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このようにマシンセッティングが難しいレースにおいて最速のマシンを手にしていたのは、予選と同じくスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)だった。ポールポジションからスタートした彼は、序盤こそダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)にトップを譲り、チームメートのダン・ウェルドン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)にも先行を許して3位まで後退したが、89周目のバックストレッチで2人をまとめてオーバーテイクしてトップを奪回。その後は徐々に後続を突き放しにかかった。
さらに154周目に行われた最後のピットストップで、素早いピット作業の助けもあってディクソンはフランキッティとの差を3秒にまで広げることに成功。そこから一時は8秒以上という大差を築き上げるほどの速さを見せた。
レースは終盤、松浦孝亮(スーパーアグリ・パンサー・レーシング)の不運なアクシデントによってフルコースコーションとなり、195周目に最後のリスタートが切られたが、ディクソンはゴールまでの5周という短い間にフランキッティに2.2400秒もの差をつけて、第10戦ワトキンス・グレンに続く連勝を飾った。今シーズン2勝目は、ナッシュビルでの2年連続優勝ともなり、ディクソンはビクトリーレーンでギター型トロフィーを高々と掲げた。
3位にはダニカ・パトリック(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が入賞した。昨年までの彼女の最高位は4位だったが、これで今年はテキサスでの第7戦に続いて2度目のトップ3フィニッシュである。
2連勝を飾り、最多リードラップも記録したディクソンは、シリーズポイント争いにおいてフランキッティとのポイント差を47点から34点へと縮めた。序盤にリタイアを喫したトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)はランキング4位へと後退し、ウェルドンが3位に浮上している。残るは6戦。チャンピオン争いは再び激しさを増して、これからの一戦一戦の重要性はとても高いものとなる。
松浦は予選で13番手となったが、車両違反があったために最後尾の18番グリッドからスタート。そのスタートで13位までポジションアップするアグレッシブな走りを見せたが、レース中盤のマシンのハンドリングが苦しく15番手へ後退した。それでも順位をひとつでもばん回してゴールすべく走り続けていた松浦の前へ、ピットへの減速レーンでコントロールを失ったジェフ・シモンズ(レイホール・レターマン・レーシング)が芝生のエリアを乗り越えて飛び出してきた。そのマシンを避けようとして松浦はタイヤかすに乗り、アウトサイド・ウォールに接触。リタイアを喫した。
なお、前日14日に開催されたIndyProシリーズ第11戦で、武藤英紀(スーパーアグリ・パンサー・レーシング)は予選4番手からスタートし、6位でフィニッシュした。

■コメント

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■スコット・ディクソン(優勝)
「スタート直後のマシンはオーバーステアが強く、ポジションを落とした。その後もアンダーステア傾向が出たりとマシンセッティングをコンディションに合わせるのが難しかったが、レースの終盤ではすばらしいハンドリングになり、ダリオ(フランキッティ)を下しての勝利を飾ることができた。自分たちとしては考えられるベストの結果だ。レース中盤にトップに立ったときのオーバーテイクは、とてもスリリングだった。ダリオは1台分のラインを空け、クリーンに戦ってくれた。シーズン前半は2位ばかりで苦しかったが、ここへきて2連勝を挙げることができ、僕らは勢いに乗っている」

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■ダリオ・フランキッティ(2位)
「スタートからマシンのハンドリングがとてもよく、すぐさまスコット(ディクソン)をパスしてトップに立つことができた。先頭を走っているときの僕らのマシンは非常に速かったが、トラフィックがでてきてからは、自分たちのマシンは安定感を欠いていた。周回遅れにつかまった瞬間を逃さなかったスコットにパスされると、そこからは彼についていくことができなかった。レース終盤もトラフィックに追いつくタイミングがとても悪く、スコットとの差を縮めることができなかった」

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■ダニカ・パトリック(3位)
「スタートしてすぐに、私たちのマシンはハンドリングがとてもいいと感じることができた。そこからレースを通してコンディションにより合ったセッティングとするべく調整を加え、レース終盤のマシンはさらに速くなっていた。最終的にとても満足のいくマシンに仕上げることができていたと思う。それでも、トラフィックの中ではアンダーステアが出ていて、スピードを保ち続けるのはとても難しかった。今日のレースでは周回遅れになるマシンも多かったので、終始トラフィックと格闘する展開になっていた」

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■松浦孝亮(16位)
「日中のレースになったこと、予選でトップグループに対抗できるスピードがなかったことから、レースにはダウンフォースを多めのセッティングで臨み、1つでも上位のポジションでフィニッシュできるようにと考えていました。レース序盤は燃料を多く搭載している状態でアンダーステアが出ていましたが、ウイングとタイヤの空気圧調整でハンドリングをよくしていくことができていました。それだけにピットレーンから飛び出してきたマシンを避けようとしてのアクシデント、そしてリタイアは悔しくてなりません。次はミッドオハイオでのロードレースです。テストを一度行っていますし、今年のロードレース用マシンのセッティングは戦闘力があるので、ミッドオハイオでこそいい結果を残せるようがんばります」

■ロジャー・グリフィス(HPD テクニカル・グループ・リーダー)
「雨で延期となったレースはとても速いペースとなった。そして、Honda Indy V-8エンジンは今週も全くのトラブルフリーだった。スコット・ディクソンがすばらしい戦いぶりで2連勝を挙げ、チャンピオン争いはポイント差がまた縮まった。トニー・カナーンはリタイアしたものの、まだまだタイトルが誰の手に渡るのかは全く予想がつかない状況だ。次戦はミッドオハイオのロードコースでのHondaグランプリだ。ミッドオハイオのすぐ近くにはHondaの工場があるので、我々にとってはホームレースとなる。とても多くのファンがサーキットに集まり、テクニカルなロードコースでの戦いは、エキサイティングなものとなるだろう」