INDY CAR

高速ナイトレースで松浦孝亮は9位フィニッシュ

<SUPER AGURI PANTHER RACING>
<2007 IRLインディカー・シリーズ第7戦 ボンバルディア・リアジェット550K>
【日 程】6月7日〜6月9日
【開催地】テキサス州フォートワース
【コース】テキサス・モーター・スピードウェイ
【距 離】1.5マイル(2.414km)×228周=342マイル(550.278km)

■■■6月9日決勝■■■
天候:晴れ/気温:30〜31℃/時間:20時30分〜(日本時間10日10時30分〜)
<酷暑との戦い>
 テキサス州フォートワースの郊外にある全長1.5マイルのオーバル、テキサス・モーター・スピードウェイが第7戦ボンバルディア・リアジェット550Kの舞台。毎年恒例のナイトレースは、暑さとの戦いでもある。日中にレースを行うのは到底無理ということでナイトレースとされているのだが、スタートの切られた夜8時半でも気温は31℃に達しており、ゴール時でもまだ30℃を保っていた。
<第1スティントではポジションキープ>
 松浦孝亮の予選結果は15位だった。しかし、前方グリッドを獲得できなかった背景には、決勝セッティングに強くフォーカスするというチームの方針も大きく影響していた。超高速での接近戦が繰り広げられるテキサス・モーター・スピードウェイでのレースでは、とにかくトラフィック内でのハンドリングの良さが重要だ。湿度の高さも加わった酷暑はドライバーの体力を急激に消耗させ、集中力や思考力を低下させる。マシンに対する信頼感はレースでのパフォーマンスに対して大きな影響力を持っているのである。
 松浦は15番手スタートからポジションをキープ。ハンドリングはアンダーステア傾向にあったため、1回目のピットストップではタイヤの空気圧とフロントウイングの角度を調整し、第2スティントで順位を上げて行くことを目指した。
<不可解なペナルティ>
 テキサス・モーター・スピードウェイにおいては、フルタンクで走ることのできる周回数は45周から50周と計算されていた。最初のフルコースコーションが出されたのは、ちょうどそのタイミングと重なる47周目。松浦はこの時点でまだピットに入っておらず、燃料タンクが空になる少し前にピットロード入り口が閉鎖となった。すでにトップグループの大半のマシンがピットストップを終えていたため、ピットは閉鎖中だが、松浦はルールで許されている短い給油を行ってペースカーランを続ける隊列へと戻った。
 ところが、この際に松浦はペースカーを追い越したとしてペナルティを課せられた。ピット閉鎖中に同じように給油を行ったマシンと同じようにリードラップの後方へ追いつこうとしたのだが、松浦だけがペナルティを言い渡され、グリーンフラッグでレースが再開となった後に30秒のピットでの停止を命じられ、一気に3周もの遅れを松浦は背負うこととなった。
<苦しい中で大きな価値を持つ9位フィニッシュ>
 不可解なペナルティによって上位フィニッシュの可能性は消え去ったが、松浦もチームも諦めることはなかった。マシンを少しでも速くするようにタイヤの空気圧、フロントウイングの設定など、細かなセッティング変更の組み合わせを駆使。その結果、松浦の走行ペースは着実に向上して行った。そしてレース終盤に6台が巻き込まれる多重アクシデントが発生。松浦はこれを回避して走行を続け、3周遅れではあったが、9位でフィニッシュした。
 今シーズン初めてのトップ10フィニッシュは、決して理想的な形ではなかったが、第7戦テキサスで記録することができた。ピットストップでのセッティング変更によって、コースコンディションに合わせてマシンを向上させるというインディカーならではの戦いぶりにおいても、松浦とスーパーアグリ・パンサー・レーシングは確実に進歩を遂げている。シーズンはまだ10戦を残している。今後のレースでは、より高い戦闘力を発揮することに期待したい。

■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「諦めずに走り9位でゴール。次戦はさらに調子を上げていきたい」
「スタートからの第1スティントではクルマがアンダーステアで、タイヤの内圧も上がり過ぎていたので、1回目のピットストップでセッティングを変更しました。その後にコースに戻ると、オフィシャルからペナルティだと言われ、ピットで30秒停止し、周回遅れになってしまいました。
 今日のレースでは、スティントの中でのマシンのバランスの変化が大きく、とても走るのが難しかった。走り始めがアンダーステアで、中間のスティントはオーバーステア。そして、タイヤが消耗してきたスティント終盤には、またアンダーステアが出るという具合でした。レース終盤はオーバーステアが一気に強くなりました。その理由が何だったのかはわかりませんが、気温なども影響していたのかもしれません。カウンターステアを当てながら、何度もスピンしそうになるマシンを何とかコントロールし続けました。
 ペナルティを受けた時には、もうマシンを停めてしまうことも考えました。あの時は無線が混乱していました。ピットと自分が同じタイミングで話してしまうことで、一番聞きたい情報を聞けないという事態が起こってしまいました。自分としては、チームが言うようにリードラップにいると信じてたのですが、なぜペナルティを受けなければならなかったのか納得ができません。
 しかし、そうしたレースでもあきらめずに走り続けたことにより、9位でフィニッシュすることができました。今年初のトップ10だからといって喜んでいられるレースではありませんが、ポイントを獲得できたことは大きいし、次からは、前回好調だったショートオーバルでのレースが続きますから、調子をさらに上げて行って、トップ争いへと加わりたいと思います」

<ロン・キャット:チームマネージャー>
「ペナルティについては調査を行い、さらに前進する努力を続ける」
「1回目のフルコースコーションが、給油を行うピットストップのタイミングにちょうどひっかかって出されたために混乱が起きた。我々のマシンはリードラップを走っており、ピットアウトしたときにはヴィットール・メイラとコウスケと、パンサー・レーシングが1-2体制になるはずだった。しかし、コウスケはペースカーを追い越したとしてペナルティを課せられた。
 コウスケと同じように出場台数の半数も同じようにペースカーを追い越したが、我々だけがペナルティの対象となった。この点についてはIRLと話し合い、何が起こり、どうしてペナルティとなったかについてを明らかにするつもりだ。 序盤のマシンはアンダーステアが出ていたが、ピットストップでセッティング変更を重ね、レース終盤にはトップグループと同じか、それ以上のペースで走れるマシンとすることができた。しかし残念なことに、ペナルティによって周回遅れに陥っていたため、上位で戦うことはできなかった。
 コウスケは諦めることなく懸命に走り続けた。だからこそ9位という結果を我々は手にすることができた。これからも決して諦めることなく、自分たちの目指すとおりのレースを戦い、目指す結果を獲得するべく前進を続ける」
■■■決勝結果■■■
1.5マイル(2.414km)×228周=342マイル(550.278km) 出走20台
順位 No. ドライバー    周回数  タイム差
1位  6  S.ホーニッシュJr.  228  1:52’15.2873
2位 11  T.カナーン     228     +0.0786
3位  7  D.パトリック    228     +0.3844
4位 27  D.フランキッティ  228     +3.9765
5位  4  V.メイラ      228     +4.0019
9位 55  松浦孝亮      225     3周遅れ
※全車、シャシーはダラーラ、エンジンはHonda、タイヤはファイアストン

■■■ポイントスタンディング■■■
順位 No.  ドライバー    ポイント   ビハインド
1位 27  D.フランキッティ  253     リーダー
2位 11  T.カナーン     241        -12
3位  9  S.ディクソン    234        -19
4位 10  D.ウェルドン    233        -20
5位  6  S.ホーニッシュJr.  226        -27
18位 55  松浦孝亮      105       -148

※全車、シャシーはダラーラ、エンジンはHonda、タイヤはファイアストン