INDY CAR

予選最終日に1人がバンプアウトされ、第91回Indy500出場33台が決定。予選第2週目にロジャー安川が自身5回目の出場を決める

<Honda>
2007年5月19日(土)、20日(日)
予選3日目/バンプデイ
開催地:インディアナ州インディアナポリス
会場:インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
天候:両日ともに快晴
気温:21〜23℃/26〜27℃

インディアナポリス500マイル・レース(通称Indy500)は今年で91回目の開催を迎える、世界で最も長い歴史を誇る自動車レースである。毎年の5月、ほぼ1カ月にわたる長期間のイベントとして開催されてる伝統のレースは、今年も5月6日にルーキーの走行で開幕し、8日からエントリー全員による走行が始まった。そして、2度の週末、4日間にわたる予選が行われ、出場33台が決定した。今年エントリーしたマシンは35台。予選アタックを一度も行わないマシンが1台あったため、34台が33個のグリッドを競い合った。
予選1週目の2日間では、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が獲得したポールポジションをはじめとする22個のグリッドが決定した。その後、3日間のプラクティスのあと、予選2週目には残る11個のグリッドをめぐる戦いが繰り広げられた。

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ロジャー安川は2005年にフル・シーズンをともに戦ったドレイヤー&レインボールド・レーシングの3台目に乗り、プラクティス2週目に走行をスタートさせた。すぐさまスピード・アップを果たした安川は、予選3日目の最速ドライバーとなって23番グリッドを獲得した。2度の優勝経験を持つアル・アンサーJr.(A.J.フォイト・レーシング)、女性ルーキーのミルカ・デュノー(サマックス・モータースポーツ)もこの日に予選アタックを行い、ほぼ決勝進出間違いなしのスピードをマークした。
結局、予選3日目に埋められたグリッドは32個。最後の1グリッドが予選最終日(=バンプデイ)で争われることとなった。Indy500の予選ルールでは、いったん全33個のグリッドが埋められたあと、最も遅いスピード記録を上回るドライバーが現れると、最も遅いスピード記録保持者がグリッドから弾き出される(=バンプアウト)こととなっている。このため、予選最終日はバンプデイと呼ばれている。
午後2時40分にリッチー・ハーン(ヘメルガーン・レーシング)が予選アタックを行い、33個目のグリッドが埋められた。この約1時間後、予選3日目にアクシデントを起こしたルーキーのフィル・ギブラー(プラヤ・デル・レーシング)がアタック。ジミー・カイト(PDMレーシング)をバンプアウトし、初めての決勝進出をほぼ決定づけた。
ギブラーのがんばりにより、次にグリッドから弾き出される候補(=オン・ザ・バブル)となったのは、アクシデントで負傷したステファン・グレゴワールの代役に起用されたロベルト・モレノ(チャステイン・モータースポーツ)となった。ところが、モレノは予選3日目に記録した自らの予選記録を放棄し、アタックをやり直すことを決めた。このようなチャレンジもIndy500の予選でのみ許されている。
モレノのアタックが始まったのは、予選の残り時間が1時間を切ったところだった。オン・ザ・バブルで居続けると、誰かが予選終了間際まで待ってアタックを行い、そこで速いスピードを記録された場合には逆転のチャンスを失ってしまう。それを懸念したモレノ陣営は、再アタックを敢行することに決めたのだ。
モレノは予選通過間違いなしの平均時速220マイル・オーバーのアタックに成功。オン・ザ・バブルはマーティ・ロス(ロス・レーシング)へと変わった。
この時点まで予選アタックを一度も行っていなかったPJ.ジョーンズ(チーム・リーダー)は、スピードアップを目指してプラクティスを続けるがそれを果たせず、予選に挑むことを断念。バンプアウトされたカイトは、予選時間終了間際になって最後のアタックのためコースイン。しかし、計測1周目ですでに逆転に必要なスピードを出せず、決勝進出はならなかった。この結果、ロスは33番目のスピード記録保持者として決勝へと駒を進めることが決まった。

<コメント>

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●ロジャー安川(予選23番手)
「去年は本当に遅いタイミングで走り出しましたが、今年は予選第1週目が終わった時点でチームが決まりました。それも自分が2005年に走ったことのあるチームで、エンジニアは2003年に僕を担当してくれた人だし、スポッターも聞き覚えのある声とあって、何もかもがスムーズに進みました。チームメートのバディ(ライス)とサラ(フィッシャー)がマシンのベース・セッティングを出してくれていたことも、自分の負担を軽くしてくれました。とてもいいプラットフォームができているため、レース用セッティングを最初から行い、予選に向けては少しのプラクティスだけでOKでした。予選アタックでもマシンは本当に安定していて、予選3日目の最速スピードをマークできました」

●ミルカ・デュノー(予選29番手)
「予選を通過できて本当にうれしい。私は今月のはじめにインディアナポリス・モーター・スピードウェイで走り出したばかり。とてもスピードが高く、とても難しいコースだと知った。先週にはアクシデントを起こしてしまったが、クルーがマシンを驚くほど短時間で直してくれ、予選に出ることができた。アドバイスをくれた多くの人々にも感謝している。11個のグリッドが残っている状況で私は予選に臨み、こうして1つを手に入れられた」

●ロベルト・モレノ(予選31番手)
「予選3日目は、まだセッティングがよくない状態で予選アタックを行った。バンプデイの天候が雨になった場合などにも備えてのことだった。今日になってセッティングを最初からやり直し、マシンを大きく向上させることができた。その後もダウンフォースを削っていったが、ある時点でハンドリングが悪化した。そこで、1ステップ戻したセッティングで再度予選アタックを行い、自分たちが予選通過を確実に果たせるスピードを出そうということになった。そして、予選では目指した通りの時速220マイルを出すことができた。正しいセッティングを出してくれたエンジニア、ハードワークをこなしてくれたクルー、そして、今回チャンスを与えてくれたチームに感謝する」

●フィル・ギブラー(予選33番手)
「昨日のアクシデントでマシンに大きなダメージを与えてしまい、クルーたちは真夜中過ぎの1時までガレージで働いていた。そして、今朝ガレージがオープンになった時間にはすぐさま仕事を再開していた。今日もアタック3周目で大きなアンダーステアが出ており、4周目も同じだった。今日の風の影響もあったのだと思う。しかし、何とか4周を走り切ることができ、予選通過を果たせた。絶対に昨日と同じミスは犯したくなかった。一生懸命に働いてくれたクルーたちのためにも決勝に進みたかった。それをかなえられてうれしい」

●ロバート・クラーク(HPD社長)
「とてもすばらしい、エキサイティングな4日間の予選となった。今年は出場チーム全体のレベル・アップが図られており、33台の中で最も遅いドライバーが218.9マイルを記録している。これは昨年よりも時速3マイルも速い。エンジンの仕様が変わり、燃料もエタノールとなってポールポジションのスピードは下がったが、33台の力はより接近し、平均スピードは昨年よりも高くなっている。今年は女性ドライバーが史上初めて3人出場するレースにもなる。彼女たちは33台の中の1台として争うと同時に、女性同士の戦いという興味をファンに提供してくれる。予選2週目から走り出したロジャー安川は、まる1年インディカーに乗っていなかったというのに、走り出してすぐに高いスピードを出し、見事なパフォーマンスで決勝進出を果たした。ドレイヤー&レインボールド・レーシングというチームが、また一段、実力をステップ・アップさせてきていることも彼の予選通過に大いに貢献していた。
今年のIndy500は天候に恵まれ、どのチームも非常に多くのプラクティスを行うことができている。このこともまたレースをよりエキサイティングなものとするだろう。特にフロントローから3〜4列目のドライバーたちの実力は伯仲しており、彼らはすさまじいバトルを見せてくれることが期待できる。
Honda Indy V-8はプラクティスを通してトラブルを一切出していない。我々が今年中に達成したいと考えている1400マイルへのエンジンライフの延長は、この分でいけばテキサスでの第7戦以降からスタートさせることができそうだ」