INDY CAR

スーパーアグリ・パンサー・レーシングが初のテストを実施 松浦孝亮、武藤英紀ともに2007年新体制への手ごたえをつかむ

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<SUPER AGURI PANTHER RACING>
【開催地】フロリダ州ホームステッド
【サーキット】ホームステッド・マイアミ・スピードウェイ
【距離】2.21マイル(3.560km)
■■■12月18日■■■
天候:晴れ/気温:27℃
<新チームでの初テスト>
 スーパーアグリ・パンサー・レーシングは、クリスマスシーズンを目前に控えた12月18日、フロリダ州マイアミ郊外にあるホームステッド・マイアミ・スピードウェイのロードコースを使ってのプライベートテストを行った。松浦孝亮は自身4年目となるIRLインディカー・シリーズ参戦に向けて新しいチームとの初仕事をこなし、07年からインディ・プロ・シリーズに日本人ドライバーとして初めてのフル参戦を果たす武藤英紀は、パンサー・レーシングが用意した3.5リッターV8エンジンを搭載するダラーラでの初走行を行った。
<温暖な気候の下、精力的に走り込む>
 北米大陸の北側半分はもうすっかり冬景色だが、大西洋とメキシコ湾を隔てるように突き出したフロリダ半島はこの時期でも温暖な気候に包まれている。この日も、12月中旬とは思えない暖かさの中で、午前9時に走行はスタート。カテゴリーの異なる2台での占有走行とあって、片方のマシンが走行している間、もう一方はピットで待機し、2台が同時にコースインすることがないようにしてテストは行われた。両ドライバーともに非常にスムーズにテストプログラムを消化していき、どちらも与えられた3セットをフルに使い切るまで精力的に走り込んだ。武藤は80周、松浦は87周という多くの周回数をこなしている。
<チームとのコミュニケーションを深めた松浦>
 松浦の担当レースエンジニアはまだ決定していないが、チーフエンジニア的存在であるビル・パッパスとのコミュニケーションは走行直後から淀みはなく、セッティングを変更する毎に着実にラップタイムを縮めていった。チームメイトとなるヴィットール・メイラも見守る中、松浦はテーマに掲げていた予選シミュレーションで大きな成果を挙げた他、テスト最後のプログラムとしてフルタンクでのロングランも行い、1日のテストを終えている。
 松浦がマシンを降りた時は、もう走行時間終了間近の夕方5時前となっていた。夕暮れの迫る中、ピットロードに集まったチーム首脳とドライバーたちは、充実感と来シーズンに向けての期待感を顔に浮かべてブリーフィングを行った。松浦サイドから見れば、今回のテストではチームのエンジニアリング能力の高さと仕事の確かさを感じ取ることができた。そして、チーム側は松浦のフィードバック能力の正確性や、コールドタイヤでもアグレッシブな走りの行えるマシンコントロール能力を確認し、2台体制への拡大が大きな成果をもたらしてくれる手応えをつかんだ。
<武藤もコンペティティブなタイムを記録>
 武藤は走行が始まってすぐに好タイムを記録したことでチームの信頼を勝ち取り、さらに走り込むほどにラップタイムをさらに縮めていった。コミュニケーションもスムーズに進み、3セット目のタイヤでコンペティティブなタイムと言える1分17秒台前半を連続して記録。こちらもドライバー、チームともに納得できる初テストとなった。
■■■コメント■■■

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<松浦孝亮>
「お互いを深く理解することができ、有意義なテストができました」
「今回は、今季使われたのと同じ3リッター・エンジンでの走行でした。来季からは3.5リッターに変更されますし、その上、マイアミのロードコースではレースを行いませんので、今回のテストの最大のテーマは自分とパンサー・レーシングがいっしょに戦っていくために、お互いをより深く理解することでした。今日は3セットのタイヤを使って90周近くを走ることができた上に、最後にはフルタンクから燃料が空になるまでのロングランも行い、そこでも非常に安定したタイムを記録できました。チームとして掲げた目標を達成することができたと思います。
 路面コンディションは合同テストなどの時に比べて決して良くありませんでした。ここでは、初日のトップが1分11秒台の前半ぐらいで、路面が良くなる2日目にコンマ5秒ほど縮めるというのがパターンですから、走行前にスタッフとは「今日は1分12秒を切れたら良いのでは?」という話をしていました。それが、2セット目のタイヤで走り出してすぐに1分12秒1という好タイムを出すことができ、3セット目を入れた後のアタックでは1分11秒6のベストを記録できました。今日のコンディションを考えれば、とても良いタイムが出せたと自分では考えています。このタイムには、チームも喜んでくれました。
 パンサー・レーシングはさすがにインディカー・シリーズでチャンピオンシップを2度も制しているチームだけあって、勝つためにすべきことに常に強く集中しています。オーナーのひとりであるジョン・バーンズはレースに対する深い知識を持ち、彼の強力なリーダーシップの下、チーム全体がフォーカスしていることを強く感じることのできたテストでした」

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<武藤英紀>
「マシンの印象も良く、レースがとても楽しみです」
「アメリカに来るのも初めてですし、インディ・プロ・シリーズのマシンは初めて走らせます。チームがどういう動きをするかも知りませんでしたし、乗る前には不安もありました。しかし、走行が始まってすぐに良いタイムを出せましたね。タイムが良くなるにつれてエンジニアもクルーもハッピーになっていくのを感じました。インディ・プロ・シリーズのマシンは、フォーミュラ・ニッポンとF3の中間ぐらいの動きをするマシンで、とても良い印象を持ちましたね。採用されているタイヤはほぼ同じグリップが長く続くので、レースはゴールまで激しい戦いが展開されることになると思います。今からレースが楽しみです。
 今回は単独でのテストのために比較対象がありませんでしたが、エンジニアのブレアー・パーチバッカーによれば、今日のタイムは非常に良いとのことでした。彼の言葉を信じるなら、とても良い初テストになったと思います。クルマを借りてのテストだったので、ペダルやステアリングが少し遠いなど、マシンは完璧とは言えず、アクセルペダルが重く、戻りが遅いといった症状も出ていました。それでも終了間際には自分の最高に近いパフォーマンスを見せることができましたし、いいタイムが出せました。次のテストには自分のマシンが用意されているはずなので、さらに良い走りができると思います。速いドライバーもいるでしょうから、彼らに負けないようがんばりたい。エンジニア、メカニックともに非常に仕事がやりやすく、来年1年間をいっしょに戦うのがとても楽しみです」