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インディ・カー・シリーズ第10戦ミルウォーキー[決勝日]フォト&レポート

<US-RACING>

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これまでペンスキーとターゲット・チップ・ガナッシの2チームによる優勝が続いていたインディ・カー・シリーズだが、第10戦目にしてやっとアンドレッティ・グリーンの2004年チャンピオン、カナーンの手によって途絶えることになった。予選4位セカンドローからスタートしてカナーンは、スタートで2位にポジションアップすると、32周目にカストロネベスをパスしトップに。その後チームメイトのフランキッティ、アンドレッティに一旦、トップを明け渡すが、180周目には再びレースをリードし、今季初優勝を飾った。アンドレッティ・グリーンのマシンは一時、トップ4を独占するほど今日のこのミルウォーキーのレースでセットアップが決まっていた。事前に行われたテストの成果が今日のレースで証明されることになった。そういう意味では、他のチームよりもアドバンテージはあったのは確かだろう。しかし、ペンスキーとターゲット・チップ・ガナッシの連勝を止めることに成功したのは、シリーズにとってもいい結果になったと思う。

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フロントローを独占したペンスキーの2台。これまでの結果から見てもレースはこの2台が中心となってリードしていくかに思われた。しかし、ポール・ポジションからスタートしたカストロネベスがトップをリードするも序盤にはカナーンに抜かれてしまい、ホーニッシュJr.と共に徐々に後退していく。レースも中盤となり、6位を走行していたカストロネベスは、110周目に周回遅れのカーペンターをパスしようとしたが接触。カーペンターはこの接触でリタイアとなり、カストロネベスは左フロントのサスペンションにダメージを負ってしまった。このためカストロネベスはピットに入り、サスペンションの修復を行うと大きく後退。なんとか走行を続けるが、170周目にはとうとうマシンをガレージに戻すことになった。14位となったカストロネベスはポイントランキングで3位のままだが、トップのホーニッシュJr.と30ポイントも差が広がってしまった。次戦のミシガンで挽回したいところだ。

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昨年はポール・トゥ・ウインを飾ったホーニッシュJr.だが、ペンスキーの今日のレースセッティングは珍しく外れており、一時周回遅れとなってしまう。ピットインのたびにマシンのセッティングを改善していったホーニッシュJr.は、レース中盤にイエロー・コーションのタイミングを利用して同一周回復帰。その後は、徐々にポジション上げると2位でフィニッシュした。このミルウォーキーで周回遅れから2位でフィニッシュするところは、さすがペンスキーとホーニッシュJr.だと思う。ポイントランキングでトップを守り、2位のディクソンとの差を25ポイントまで広げた。

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140周目に最後のピットストップに入ったアンドレッティは、トップでコースに戻ることに成功。その後レースをリードするが、ベテラン・ドライバーのチームメイト、カナーンに179周目に抜かれてしまった。2位をキープして走行するアンドレッティだが、レース終盤から徐々に後退。結局5位でフィニッシュし、初優勝はお預けとなってしまった。一方、予選でこそ14位からスタートとなったパトリックは、ホーニッシュJr.同様、周回遅れとなるも確実にポジションアップを果たし、ナッシュビルに続き2戦連続4位でフィニッシュ。このミルウォーキーで、上位フィニッシュはなかなか難しいだけに、パトリックの実力が確実に上がっていることを評価されるレース結果となった。

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フェルナンデス・レーシングの松浦とシャープのマシンは、このミルウォーキーでトップと同一周回を走行できるセッティングではなかった。2台は徐々に後退し、周回遅れを余儀なくされる。松浦は40周目にはピットインし、セッティングの変更を試みるもののマシンは一向に良くならなく、85周目にレースを終えることを決断した。「タイヤのプレッシャーを落としたり、レースに向けてセッティングの結構変更をしました。スタートしたときは、いけるかなと思ったんですけど、ニュータイヤのグリップがなくなると、もうどうにもならなかったです。最後まで走りたいと思っていたのですが、チームからの指示でピットに戻り、レースを終えることになりました。悔しい結果になりました」と、レース後に話した松浦。次戦のミシガンでこの悔しさを晴らす活躍に期待したい。

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快晴となったミルウォーキー。気温は26度まで上昇し、過ごしやすい天候となった。ザ・ミルウォーキー・マイルは、年間に唯一チャンプ・カーとインディ・カーが行われているコースで、NASCARのネクステル・カップが行われていないだけに、インディ、チャンプ・カーのレースが年間でも一番大きなレースとなっている。今日の観客動員数は3万610人と、約4万席あるグランドスタンドは満員とまでいかないもののこれまで以上に観客が入っていたような気がした。1903年から自動車のレースが開催されている伝統あるコースで、100年以上もの歴史があるコース。今後もオープン・フォーミュラーのレースが根強く地元のファンに浸透してくことを願いたい。