<US-RACING>
ついに開幕した2006年のインディ・レーシング・リーグ。例年どおりホームステッドを舞台にした初日は曇り時々晴れといった天候となり、気温も3月上旬に行われたテストのときよりは上がらず、過ごしやすい一日となった。この日トップ・スピードをマークしたのは、先のテストでもトップだったダン・ウエルドン。さすがにテスト時の218マイル台から、スピードは215.561mph(24.8004)秒と3マイル近くもダウンしているが、相変わらずの好調ぶりだ。「ルールでリア・ウイングの角度が低くなり、ウィッカーも少し強くなった」と言うウエルドンは、「限られた時間の中で、エンジニア(アンディ・ブラウン)とうまくやっていけてる」と、新しいチームでも存分に力を発揮しているようだ。
2年前、ペンスキーへの移籍直後の開幕戦で、チームメイトのカストロネベスを従えてみごと優勝したホーニッシュJr.。オーバルでめっぽう速いチャンピオン(2001−2002)は3位だったが、「期待どおりの一日だったよ」と語る。「2回のセッションでレース・セット・アップを試したけど、今シーズンの1.5マイル・オーバルでキーポイントとなるだろう、トラフィックの中でのハンドリングは良かった。決してベストな状態ではないけれど、レースまでには何とかなると思う」と語ったホーニッシュJr.が、レースでどんな走りを見せるか楽しみ。
午前のセッションで10位だったメイラが午後のプラクティスでは開始早々ターン4でクラッシュした。「本当に何が起こったのか分らなかったよ」と話すメイラ。ターン4の手前でスピンすると、マシンを立て直すことができずに左後ろタイヤからセーファー・バリアに接触した。マシンはインフィールドの方に緩やかに進んで停止。その後なかなかマシンから出てこなかったので少し心配したが、セーフティ・チームが駆けつけるとマシンから自力で脱出した。メディカル・チェックも無事通り、明日から再び走行するが、明日のプラクティス、予選ではクラッシュがないことを祈りたい。
ホンダのワンメイクとなり、オフィシャル・ペース・カーも今年からホンダ車が使用されることになった。ホンダが用意したペース・カーは、ホンダ・アコード・ハイブリット。メジャーなレース・シリーズで、ハイブリット・カーがペース・カーをすることは初めてとなる。また、デルファイIRLセーフティ・チームのクルマもホンダ・リッジライン(ピックアップトラック)とホンダ・パイロット(SUV)の2台が使用されることになった。ということは、インディ500のペース・カーもとうとうホンダ車(日本企業のクルマ)になるのかというと、インディ500だけは契約が別で、今年は走ることができないそうだ。ホンダ・エンジンのマシンしか走っていないのに、ペース・カーは他社のクルマというのも、なんだかしっくりこないところだ。
3年目の開幕戦を迎えた松浦。初日は午前のセッションで12位となったが、午後には10位のタイムを記録した。総合タイムでは12位となり、トップとのタイム差はわずか0.3秒に留まっている。ホンダのワンメイクとなった今年、トップから18位のまでのタイム差は0.5秒と混戦。松浦もその中で健闘しているのは確かだ。「空力のパーツなどが揃って、やっとレースができる体制になったという感じです。テストのときはあんな感じだろうと思っていましたので、今回からやっと評価してもらえるようになると思います。ダラーラでトラフィックの中に今回初めて入って走行したんですけど、Gフォースに比べるとはるかにのりやすいです。今日は燃料を積んでレースに向けてのセットアップが中心でしたから、明日のプラクティスでは予選のタイムアタック的なこともやりますね。あと、全車で走行しますので、トラフィックでの走りをつめていきたいです」と、初日の走行を終えた松浦は話した。チームメイトとなるシャープも開幕戦からシャシーを急遽ダラーラに変更。シャープもGフォースのハンドリングに悩まされていただけに、チームがダラーラを共有することで松浦にとってもプラスとなる方向になった。