INDY CAR

開幕間近、18台のHonda Indy V-8勢がホームステッド・マイアミ・スピードウェイで最終の合同テスト

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<Honda>
■開催日 : 3 月5 日(日)
■開催地 : フロリダ州ホームステッド
■サーキット : ホームステッド・マイアミ・スピードウェイ・オーバルコース (全長1.5 マイル)
■天候 : 晴れ
■気温 : 26 度
 IRL IndyCar シリーズは、 3 月26 日決勝の開幕戦、そして年間14 戦で争われるシーズンに向けて最終の合同テストを行なった。場所はフロリダ州マイアミ郊外のホームステッド。今シーズンも開幕戦の舞台となる全長1.5 マイルのオーバルコースだ。
 フロリダ州は大西洋とメキシコ湾を隔てるようにアメリカ大陸から突き出した半島で、ホームステッドはそのほぼ突端に位置している。島々が連なるリゾート地、キー・ウェストの玄関口だけに、3 月初旬というのに気候は夏を感じさせるものとなっていた。雲ひとつない青空の下、朝9時に走行はスタート。この時点ですでに気温は摂氏19 度に達していた。
 ロードコースでのテストと同様、集まったマシンは18 台。夕方の4 時半まで、1 時間のランチ・ブレイクを除いた6 時間半もの走行時間が与えられたテストでは、2 人のドライバーが最多の235 ラップを走り、最も周回の少なかったドライバーでも115 周を走行し、データ収集に努めていた。
 今回のオーバル・テストで最速ラップを記録したのは、昨年度チャンピオンで、今年からターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングで走ることになったダン・ウェルドン。24 秒5088 という彼のラップタイムはドラフティング利用によるものとはいえ、昨年度のポールポジション・スピードを上回るものだった。2 番手には24 秒6150 でウェルドンのチームメイトのスコット・ディクソンがつけ、3、4 番手にはマールボロ・チーム・ペンスキーのサム・ホーニッシュJr.、エリオ・カストロネベスの順で並んだ。コンマ2 秒の中に4 人がひしめく接戦ぶりである。
 2005 年に3 度のポールポジションを獲得し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた女性ドライバーのダニカ・パトリックは、今年も強豪レイホール・レターマン・レーシングからの出場。彼女のベスト・ラップは9 番手となる24 秒8741 だった。

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・photo by Honda
 IRL IndyCar シリーズへの参戦3 年目を迎えるスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングの松浦孝亮は、今年からシャシーをパノスからダラーラへとスイッチしている。ダラーラでのオーバル初走行は、1 月に行なわれたアリゾナ州フェニックスの1 マイル・オーバルでの合同テストだった。全長1.5 マイルの高速オーバルをダラーラで走るのは初めてだった松浦は、24 秒9182 で14 番手という結果だった。
トップのウェルドンから18 番手のドライバーまでが0 秒6507 のタイム差の中に収まった。2006 年からIRL IndyCar シリーズは出場全車がHonda Indy V-8 を搭載することとなっているが、今回のテスト結果でHonda が全員に対してフェアに、まったくイコール・コンディションのエンジンを供給していることは証明された。エンジン・パフォーマンスの差がチーム間でなくなったことにより、IRL IndyCar シリーズは昨年までを大きく凌ぐ接戦がどのレースでも繰り広げられることになる。エキサイティングなレース・シーズンの開幕は、3 週間後に迫っている。
●ダン・ウェルドン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング) 1 位(24 秒5088)
自分たちのチームが用意したプログラムをこなすことに徹していた。ベストタイムを出そうと努力をしたこともなかった。しかし、自分たちのタイムが最速だった。シリーズ・ポイントも賞金ももらうことはできないが、チーム全体が勢いづくことは間違いない。ハードワークを重ねて来たHonda が、イコール・コンディションのエンジンを全員に対して用意してくれ、そのエンジンの性能向上に向けても努力を続けている点に感謝したい。ロードコース、そしてオーバルと続いたテストは我々のチームにとって非常に有意義なものとなった。マシンのパフォーマンスをさらに向上させることが可能な部分も明らかになった。今日から開幕の日まで、我々は集中して性能アップ実現を目指して行く。
●スコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング) 2 位(24 秒6150)
最後は多くのマシンが集団を作って走っており、ドラフティングを利用して好タイムを記録していたドライバーもいたので、ラップタイムだけでライバルたちの仕上がり具合を判断するのは難しいが、自分たちとしては非常に大きな成果を上げられたテストとなった。Honda エンジンにはパワーがあるし、テストを通じて上位に居続けることができたので、とても満足している。
●サム・ホーニッシュJr. (マールボロ・チーム・ペンスキー) 3 位(24 秒6494)
ロードコースでの2 日間、そしてオーバルでの1 日、どちらも非常に良いテストとすることができた。チーム・ペンスキーのマシンはとても安定していて、充分に競争力のあるスピードも確保できていた。今年からの空力ルールの変更により、マシンはトラフィックの中で安定感が減ってしまうことも考えられた。しかし、我々のマシンは安定感が高く、前を行くマシンとのタイミングを計ってパスを実現することが可能だった。今年もIRL IndyCar シリーズのレースはトップグループが接近した状態で優勝を競い合うスリリングなものになるだろう。今から開幕が待ち遠しい。

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・photo by Honda
●松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング) 14 位(24 秒9182)
タイムは悪いと感じられるかもしれませんが、テストの内容は良かったと思います。多くのセッティングを試すことができました。最後にはトラフィックの中も走ることができ、良い感覚を手にすることができました。昨年のようにアンダーステアが大きく出てスピードが下がってしまうということはありませんでした。走行終了後にエンジニアと話をして、今のマシンをさらに良くすることに対して、2 人とも同じ考えを持っていることが確認できました。今回得られたデータを基にして、開幕戦で競争力を発揮できるセッティングを用意することができると思います。
●ロバート・クラーク:HPD 社長
ロードコースでの2 日間、今日のオーバル、各マシンにつき1 基ずつのエンジンを供給して3 日間のテストを行なったが、走行を続けることができなくなるようなエンジントラブルは一切発生せず、成功裏に開幕前最後の合同テストを終えることができた。多くのドライバーから貴重なフィードバックを得ることもできた。今日走った18 人のドライバーたちのラップタイムは、トップから0.65 秒以内に収まっていた。我々は全チームにプラス・マイナス1 パーセント以内のパワー差しかないエンジンを供給することを約束しているが、その通りの供給を行なえたことが実証された。開幕に向けて準備は万端整った。昨年まで以上にマシン間の性能差が縮まったことによって、かつてないほどにエキサイティングな接近戦が展開され、激しい競争はシーズンを通して続いて行くことだろう。