<US-RACING>
ポール・ポジションからスタートしたフランキッティが、今シーズン2勝目を飾った。自身にとって4度目の優勝となった。チームメイトのカナーンとトップ争いを演じていたのだが、最終ラップのターン4までトップを走行していたカナーンのマシンがフロントストレートで急に減速。フランキッティがカナーンを追い抜き優勝となった。カナーンいわく、「シフトアップをしたときに何かが起こって、減速してしまった。多分、シフトチェンジのミスだったと思う」とコメントしていた。現場では、チーム・オーダーが出て、カナーンがフランキッティに優勝を譲ったのではと噂になっていたが、本人達は否定している。単純にカナーンのミスだと思うが、インディ・カー・シリーズでは、チームのオーダーで順位が決まるようなことが無いことを願いたい。
午前に行われた最終プラクティス中までは、晴れていたカリフォルニア・スピードウエイ。しかし、次第に雲行きは怪しくなりセッション終了から20〜30分後、とうとう雨が降り出した。雨は直ぐ止むものの定刻どおりのスタートは無理かと思われたが、懸命な乾燥作業が功を奏し、12時50分にレースはスタートした。相変わらず空は雲に覆われたままとなったが、400マイルの走行を終え、今シーズン最後のレースは無事終了した。今回最終戦となったカリフォルニア・スピードウエイは、残念なことに来年のスケジュールに入っていない。チャンプ・カーのレースも3年前を最後に開催されておらず、オーバルを使用したオープンフォイールのフォーミュラー・カーのレースは、今後開催される予定が無いようだ。確かに観客は決して多いとはいえないが、地元のファンにとって残念な決定となった。
確実にポジションを上げレースも終盤に指しかかろうとしていた168周目、7位を走行していた松浦は、最後のピット・ストップをするためにピットに戻った。しかし、ピット・ロードの手前で突然スピンを喫し、アイランドのコンクリートウォールに接触。リタイアを余儀なくされた。「バディとポジションを争っていて、抜き返すにはピットで出来るだけ早く出て行くしかないなと思い、ピット・ロードに入るぎりぎりまでブレーキを遅らせたんです。そしたらシフトロックしてスピンしちゃって・・・・・・」と状況を語った松浦。来年に関してのことを聞くと、「まだ、全然わからないですね。これからです」と語った。昨年は最終戦に来シーズンの参戦を発表していたが、今年はまだ契約が決まっていないようだ。ホンダがインディ・カー・シリーズとの契約を延長しただけに、来年からも日本人ドライバーの参戦はもてぎの開催も含め必要不可欠だろう。今シーズンの松浦はランキング14位となったが、多くの経験をつんでいるだけに来年度の参戦に期待したい。
今シーズン最後のレースとなった安川だが、やはりマシンのバランスは悪く、完走するのが精一杯といった状況となり、16位でフィニッシュした。「週末の始まりからバランスが悪く、原因を見つけて直していくというより、応急処置しかできない状況でした。それが響いて、全くレースにもならなかったです。1回目のピット・ストップで、イエローコーション中だし、タイヤの空気圧やダンパーを直そうということになったのですが、全部一気に出来ないからエンジンカバー外したままで1回コースに出て、戻ってきてまた閉じようと話していたのですね。でも、話がみんなに伝わってなくて・・・・・・。それで周回遅れになりました。完全にミスコミュニケーションですね。悔いが残る一年でしたね」と、レースを終えて語った安川。「来年はまだどうなるかわからないです。チームは一緒にやろうといっていますけど・・・・・・。ちょっとゆっくり考えたいですね」と、来年のことに関して話した。今シーズンはランキング17位となった安川だが、チームの状況や体制を考えれば、致し方ない結果だと思う。来年こそは良い体制のチームで走れることに期待したい。
184周目、8番手と9番手を争っていたラジアとパトリックが接触。ターン4のコンクリート・ウォールに両者とも激しく衝突した。クラッシュ時の映像のリプレイを見たが、ラジアのマシンが先にパトリックのマシンに接触していた。二人とも無事だったのは不幸中の幸いとなったが、マシンから降りたパトリックは、明らかに怒っていた。現場では怒ったパトリックがその後、ラジアを殴ったという噂が広がっていた。本当かどうかは分からないが、それくらい頭にきていたのだろう。
レース終了後、恒例のチャンピオン・セレモニーがスタート&フィニッシュライン上で行われた。今シーズン、6度の優勝を飾り見事チャンピオンに輝いたウエルドン。チームにとっては2年連続シリーズ・チャンピオンを獲得したことになった。昨年のチャンピオン、カナーンはランキング2位となり、フランキッティはランキング4位、ハータは8位でシーズンを終えた。2003年からインディ・カー・シリーズに参戦し、僅か3年で2回ものシリーズ・チャンピオンを得るまでに成長したアンドレッティ・グリーン・レーシング。いまやシリーズでもトップ・チームの名を不動のものにしている。日本人ドライバーがいつかこのチームから参戦することが出来れば、日本人ドライバーの初優勝を見ることが出来るのだろう。