INDY CAR

松浦孝亮 ギヤトラブルを抱えながらもレース終盤に猛チャージ 得意のロードコースで今季最高位タイの6位入賞を果たす!

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第16戦「ワトキンスグレン・インディ・グランプリ」
【日時】9月25日
【開催地】ニューヨーク州ワトキンスグレン
【サーキット】ワトキンスグレン・インターナショナル
【距離】3.37マイル(5.422km)×60周
【天候】曇り
【気温】23℃
<午後に入って路面は乾き、スリックタイヤ装着でスタート>
走行初日だった金曜日の午前中が雨で、その午後と土曜の予選日は晴れ。そして決勝日のワトキンスグレンは再び朝から雨に見舞われた。30分のファイナルプラクティスを通してコースはウエットコンディションとなり、松浦孝亮はパナソニックARTA/パノス・Hondaで雨のレースも想定しての走行を重ねた。
決勝のスタート時刻は夕方の3時45分すぎ。60周で争われるレースがウエットとなるのかが心配されたが午後になって天候は回復し、スタート前には雲を通して太陽の光が差し込むほどとなっていた。松浦の乗るマシンをはじめとして、出場全20台は前後ともファイアストンのスリックタイヤが装着し、伝統ある高速ロードコースにおける初めてのインディカー・レースがスタートした。<燃費を徹底的にセーブして戦った序盤戦>
予選15位というポジションからのスタートでは、雨が降るような展開も期待したいところだ。雨によってグリッド上位のマシンとの差を埋められる可能性もあるからだ。とはいえ、レースを前に空模様は回復傾向。残される戦い方は、燃費をセーブしてスマートに走り、フルコースコーションなどのレース展開を味方につけることだった。スタートで15位をキープした松浦は、燃費を徹底的にセーブする走りに徹し、虎視眈々とチャンスを待った。

<1回目のフルコースコーション利用は成功>
スタート後5周目という早いタイミングで最初のフルコースコーションは出された。ここでスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングは迷うことなく松浦をピットへと招き入れた。トップグループはピットインをせず、したがって彼らは1回目のピットストップをグリーン下で行わねばならない展開となった。最初のフルコースコーションで給油を行ったのは正しい判断で、上位陣との差を詰めることに成功。レースが折り返し点となる30周を迎えた時、松浦の順位は8位まで浮上していた。

<ギヤトラブルとの戦い>
しかし、レースが中盤〜後半戦に入ってから松浦のマシンはギヤボックスにトラブルが出始めた。ダウンシフトでリヤタイヤがロックする傾向になり、2台にパスを許してしまう。ここから松浦は慎重なギヤチェンジを行わざるを得なくなった。それでも丁寧な走りを続けるうちに走りのリズムを取り戻し、徹底した燃費セーブを行いながらレースを続けた。
ゴールまで7周というところでフルコースコーションが発生。松浦に最後のチャンスが訪れた。

<残り4周で見せた猛チャージ>
フルコースコーションが解消されてグリーンフラッグが振られたのはゴールまで4周という時だった。松浦はここで見事なリスタートを見せた。松浦はオーバルでもリスタートを得意としているが、ロードコースでより一層アドバンテージを生み出した。ターン1でチームメイトのスコット・シャープをパスした松浦は、その勢いを保って次の周にはパトリック・カーペンティア、さらにはサム・ホーニッシュJr.までをオーバーテイク。リスタート時には11位だったが、ゴール時には今季最高位タイとなる6位フィニッシュを達成した。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「多くのマシンをオーバーテイクしての6位は自分としても満足です」
「今回の6位フィニッシュは良い結果だったと思います。中盤からギヤチェンジでリヤタイヤがロックする状態になって、ブレーキも甘くなってきていました。最後のフルコースコーションが出たことでブレーキの熱が下がったのか、そちらは問題なくなったんですが、ギヤはまだ危ない状況でした。それでも最後のリスタートではチームメイトをまずターン1でパスして、次の周にはパトリック・カーペンティアをバックストレッチで、そしてサム・ホーニッシュJr.はゴール2周前でパスできました。最終ラップにはすぐ前を走っている2台がクラッシュし、6位でゴールすることができました。インフィニオン・レースウェイでのロードコースで得た6位に並ぶシーズン最高位タイとなるリザルトですが、インフィニオンでは6位のポジションを最後まで守り切る戦いとなっていました。しかし今回は多くのマシンをオーバーテイクしての6位です。とくに最後に抜いたサム・ホーニッシュJr.のマシンは自分より速ったのですが、その彼を抜くことができた。それは自分としても満足のいくものでした。ヨーロッパでレースをしていた経験が活かされ、リスタート直後に良い走りを見せることができたと思います」
<サイモン・ホジソン>:チームマネージャー
「とても良い戦いぶりで得た6位だけに、とてもうれしい」
「マシンはスタート直後からアンダーステア気味だったが、燃費をセーブしながら走り続け、ピットストップでハンドリングについては修正をしていった。1回目のピットストップでふたつポジションを落としたのは私の責任だ。リヤタイヤの交換を見ていて、フロントウイングの変更を行ったかどうかを確認するためにダッシュが遅れてしまったのだ。レースの終盤にはギヤボックスにも小さなトラブルの兆候があった。しかし、コウスケはギヤボックスを丁寧に扱い、そのリズムをつかむとラップタイムも良くなってきた。最後のリスタートの後は、燃料の心配も一切いらなくなり、思い切りアタックできる条件が揃っていた。そして、コウスケはゴールを前にして見事な走りを見せてくれた。リスタートの後の彼は飛んでいるかのように速かった。6位は本当に満足のできる結果ではないが、今日はとても良い戦いぶりを見せて手に入れた6位だけに、とてもうれしい。今後もネバーギブアップをモットーにチームの力を向上させていきたいと思う」