INDY CAR

松浦孝亮、シーズンベストの6位フィニッシュ! ピット作戦が的中し、大幅なポジションアップを果たす

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第14戦
「アージェント/モーゲイジ/インディ/グランプリ」
【日時】8月28日
【開催地】カリフォルニア州ソノマ
【サーキット】インフィニオン・レースウェイ
【距離】2.26マイル(3.636km)×80周
■■■8月28日決勝■■■
天候:快晴/気温:26℃/時間:12時45分〜(日本時間:8月29日05時45分〜)
<思い入れの強いロードレース>—————————————-
IRLインディカー・シリーズでの2シーズン目を戦っている松浦孝亮は、今年からシリーズに加わったロードレースに大きな期待と意欲を持って臨んでいる。2年前までヨーロッパでロードレースを戦ってきた松浦は、チャレンジングなオーバルレースでも急成長を遂げながら戦っているが、やはりロードレースに対する思い入れは強い。
シリーズ史上初めての常設ロードコースでの戦いとなった第14戦「アージェント・モーゲイジ・インディ・グランプリ」。松浦の予選順位は15位と決して納得のいくものではなかったが、ファイナルプラクティスまでとは異なるセッティングでスタート、80周に及ぶロングレースを戦い抜き、今シーズンのベストリザルトとなる6位でゴールした。
<決勝前のセッティング変更によりハンドリングが改善>—————-
全長2.26マイルのインフィニオン・レースウェイは、個性ある12個のコーナーと、起伏に富んだレイアウトを持つ。ファイナルプラクティスまでのセッティングはメカニカルグリップが不足がしていたが、レースに向けてスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングのエンジニアたちは新たな変更を施すことを決定。それが功を奏し、パナソニックARTA/パノス・Hondaはレースで高いグリップを発揮した。
<作戦が的中し、ポジションアップを果たす>—————————-
スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングは、通常とは異なる作戦を採用した。序盤にフルコースコーションが頻発する可能性を考え、スタート時に燃料を満タンにしなかったのだ。そして、その読みは的中する。16周目に2回目のフルコースコーションが出て、松浦はその翌周に最初のピットストップを行った。これはチームの計画よりも4周早いだけのタイミングだった。スタート直後のフルコースコーションでピットストップを行った4人のドライバーがいったん先行したが、その後は彼らのギャンブルが効果を発する展開とはならなかった。
松浦は燃費にも十分な配慮をしながらレースを続けた。2回目のピットストップを行うまでの第2スティントで松浦は好燃費を実現。48周目までピットインを引っ張り、ポジションを5位まで上昇させることに成功した。
<圧し掛かるプレッシャーとの戦い>————————————
松浦が2回目のピットストップを終えた後に最後のフルコースコーションが発生。ここで燃費に不安を抱えるドライバーたちがピットへとなだれ込んだ。スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングはそのままゴールまで無給油で走ることを決断。松浦は順位を6位まで挽回した。
最後のリスタートが切られたのは、56周目を迎えた時点だった。松浦はリスタートで6位をキープ。先行するマシンとの間隔を縮めていきたかったが、すぐ後ろにブライアン・ハータ、スコット・ディクソン、ビットール・メイラ、ジョルジョ・パンターノ、ダリオ・フランキッティが連なり、ハータが激しくプレッシャーをかけてきた。
<シーズンベストの6位フィニッシュ>———————————–
ハータを先頭とする集団は凄まじいプレッシャーをかけてきたが、松浦は冷静さを保ち、キッチリと自分のラインを走り続けた。オーバーテイクを焦ったハータが何度かパナソニックARTA/パノス・Hondaをリヤから突付くシーンもあったが、松浦はそれに動ずることもなくポジションをキープした。
ハータがフロントウイングを壊してピットへと滑り込んだ後は、ディクソンが松浦を攻め立てた。ピットからは燃費にも配慮するよう指示が飛び続けていたが、強烈なプレッシャーを背後に感じながらも松浦は指示された数字を実現。ゴールまでひとつのミスも犯すことなく走り切り、今シーズンの自己ベストとなる6位でチェッカーフラッグを受けた。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「かなり激しいプレッシャーを受けましたが、絶対に抜かせないつもりでした」
「序盤はアンダーステアでしたが、ピットでのセッティング変更、路面コンディションの変化によって解消されました。ピットの作戦が良かったのと、好燃費で走れたのでポジションを上げることができました。最後はかなり激しいプレッシャーを受けましたが、絶対に抜かせないつもりでいました。ひとりに抜かれたら一気に何台にも抜かれて、これまでと同じような結果になってしまう。絶対にそんな結果にはしたくないと考えて走り続けました。フューエル・ミクスチャーを薄くして燃費をセーブしながら、なおかつポジションを保たなければいけなかったので、とても難しい戦いでしたね。最後は燃料切れになるか、6位を守り通せるかの勝負だと考え、フューエル・ミクスチャーを一番濃いレベルに変更して戦いました。燃料が持ってくれて良かったです。ロードレースは一度スタートしたらドライバーの占めるウエイトが大きいですよね。そういうレースでドライバーとしても頑張りを見せることができたし、チーム全体としても良い戦いぶりを見せられたからこそ得られた結果だと思います」
<サイモン・ホジソン:チーム・マネージャー>
「決勝前のセッティング変更が功を奏し、安定感のあるマシンで戦うことができた」
「ファイナルプラクティスから決勝に向け、ディファレンシャル・ギヤのセッティングを変更した。試したことのないセッティングであり、ギャンブルでもあったが、パナソニックARTA/パノス・Hondaのグリップレベルは上昇し、安定感の増したマシンを得たことで、コウスケはファイナルプラクティスまでよりも安定したブレーキングを行えた。今日はピットの作戦も非常に良かった。テクニカルディレクターのジョン・ディックが考え出した作戦により、レース中盤にポジションをどんどん上げていくことができ、終盤を迎えてもそれをキープできた。コウスケのドライビングも見事なものだった。終盤の20周ほどはハータやディクソンから凄まじいプレッシャーを感じていたはずだが、非常にフェアに戦いながらも彼らに抜くチャンスを最後まで与えなかった。今回得られたデータは次のロードレースであるワトキンスグレンでも役に立つことだろう。この勢いを保ってシカゴランドからの終盤3戦ではさらなる好成績を実現したい」
<鈴木亜久里:チーム代表>
「孝亮は一切ミスをせず、精神的に苦しいレースを戦い抜いた」
「クルマ自体のポテンシャルは決して高くはなかったが、最後の20周ぐらいはプレッシャーのかかる状況になりながら、孝亮は一切ミスをしなかった。オーバーテイクを仕掛けてくる場所を把握し、そこでキッチリと抜かせないラインを保ち続けていたし、それ以外の場所でもまったくミスをせずに走り通した。精神的に苦しいレースだったと思うが、孝亮は頑張っていた。チームの作戦も今回は当たったと言える。それほどセッティングの決まっていないレースで、6位を得ることができたのはチームとしての戦い方が良かったからだと思う。今日のマシンの実力から考えれば、とても良い結果だった」