<US-RACING>
昨年、フェルナンデス・レーシングがIRLに参戦し、初めて優勝を飾った記念すべきコースで、再び勝利を手にすることに成功した。昨年はチーム・オーナーのフェルナンデス自身が優勝したが、今年は新たにチームに加わったシャープが自身9度目、2003年のもてぎ以来となる優勝を飾った。チーム、ドライバーにとって今シーズン初の優勝となったが、昨年はこのケンタッキーからフェルナンデスが合計3度優勝している。シャープもこのケンタッキーから勢いにのっていければいいが、今度はチームメイトの松浦の手によって、チームのシーズン2度目の優勝を飾って欲しいところだ。
2度目のポール・ポジションからのスタートを切ったパトリックは、2周目から徐々に後退するも最初のピットストップまで5位から6位を走行した。その後トップ10内を走行し続けたパトリックだが、2回目のピット・ストップで20番手まで後退。このときにギアボックスのトラブルが発生したため、再びピットに戻ったパトリックは修復作業のために更なる後退を余儀なくされた。コースに戻ったときには十数周ものラップ・ダウンとなったが、粘り強く走り続け16位でフィニッシュ。今回はマシン・トラブルが発生したが、レース序盤はトップ・グループについていける走りだっただけに残念な結果となった。
ファイナル・プラクティスが行われた午前10時30分の時点で気温23度となったケンタッキーだが、昨日雨が降ったために、湿度は83パーセントもあった。レースが始まる3時45分の時には気温30度まで上昇し、湿度は55パーセントまで下がるが、やはり蒸し暑い一日となった。心配されていた雨は結局降ることもなく、無事レースは定刻どおりに始まり終了。今シーズンは、決勝日に雨が降ると予報されることが多いが、降ることもなく毎回レースは無事終了しているのは、ファンにとっても嬉しいことだ。
28周目、ディクソンのマシンが突然白煙を上げ、コースサイドに止まった。レースを断念せざる終えなくなったディクソンは、今シーズン6度目のリタイアとなった。2003年のチャンピオンは、今季アクシデントやメカニカルトラブルでのリタイアが多い。最高位フィニッシュも6位と当時の勢いを感じることができない。チーム自体もレースを重ねるごとにその勢いが下がってきているような感じを受けるが、トップ争いに絡む走りが復活すればいいのだが。
レース中盤まで、ウエルドンとトップ争いを演じていたカナーンは、ホイール・ベアリングが破損し、再びコースに戻ることが出来ずにリタイアとなった。ランキング2位のホーニッシュJr.に、1ポイント差で3位だったカナーンだが、今回ホーニッシュJr.が7位で完走したことで、その差は15ポイントまで広がった。昨年はマシン・トラブルでリタイアすることなどなかったカナーンだが、今年は今回で2回目のメカニカル・トラブルとなった。まだ5レース残っているが、シリーズ・チャンピオンを獲得するには、もうリタイアは許されないだろう。
4番手で1回目のピット・ストップに入ったフランキッティだが、ピット・アウト後にターン2で右側のリアタイアが外れるアクシデントが起こってしまった。再びピットインを余儀なくされ、最後尾までポジション・ダウンしたフランキッティだが、そこからの追い上げが凄かった。追い抜くのが他のスーパースピードウエイより難しいといわれているこのケンタッキーで、レース中盤には再び4番手までポジション・アップを果たした。その後レース終盤までトップ争いを演じ、優勝の可能性も高まってきたのだが、バンピーなコースだけに、足回りにくる負担が大きいせいか、170周目にサスペンションのトラブルが発生。カナーンと同様、ピットに戻るが走行を断念することになった。
予選14位からスタートした松浦は、確実にポジションを上げて行き、レース終盤の最後のリスタートでは7位から4位までジャンプアップした。「自分達の力を全部出し尽くしたって感じで、すごくすっきりしています。最初の100周までは、トップグループについていくことが出来たんですけど、それからアンダーステアが出始めて、エンジンが少し重くなってきたような感じになりました。最後のリスタートでは4位まで順位が上がったんですけど、そのあとついていくことが出来なかったのは残念でした。でも、今日は今シーズンのベストとなるレースができて、すごく満足しています」と、今日のレースを振り返った。
まさに昨年のレースを見ているかのような走りとなり、松浦自身も今回のレースで自信を取り戻せたような印象を受けた。あとは、これまでの問題点となっているチームメイトとのコンマ2秒の差を縮めることが出来れば、優勝の可能性も高くなるだろう。
ファイナル・プラクティスで3位のタイムを出した安川だが、本人はあまり浮いた顔もせず、「抜くことが出来ない」と、話していた。レース後のインタビューでは「今回はちょっと離されても追いついていける車でした。特に後半戦はトップグループに追いついていけるスピードもありました。バランスも良くなっていったので最後に勝負をかけようと思っていたのですが・・・・・」と、レースの後半戦までを振り返った。しかしレースの中盤からギアの調子が悪くなり始めていた安川のマシンは、最後に勝負をかけることができず、ギアボックスのトラブルでリタイアとなってしまった。「ターン1の出口くらいで6速から5速に落としていたんですけど、それが4速まで勝手に落ちるようになったんですね。それからどんどんギアがおかしくなってきたんだと思います。残念ですね」と、リタイアの原因を話した。チームの状況も徐々に良くなっており、やっとスピードが出るようなマシンにまでこぎつけたのだが、結果を残せずとても残念がっていた。いい方向に向かっている兆しも見えてきただけに、今後の活躍に期待したいところだ。
昨日、今シーズン自身最高予選順位となる12位を記録したフォイト?。エンジンが換わり、レースではどうなるかと思っていたが、なんと自身の過去最高位となる9位でレースをフィニッシュした。これには正直驚いたが、チーム、本人もこの結果には大喜びとなった。2006年からシボレーはIRLにエンジンを供給しなくなるが、来年チームがトヨタを使うことは常識的に無理だとすると、ホンダを使うことになるのだろうか?
ファイナル・プラクティスの終了後のひとコマ。上の写真で矢印の射しているのは、現在大人気のパトリック。彼女が移動すれば、パトリック目当てのファンも一緒に動くといった感じで、常に人だかりが出来ている。ファンが減少しているIRLにとっては、まさに救世主となるドライバーだ。下の写真は、チーム・クルーとガレージに向かうライスだが、昨年のインディ500ウイナーには、誰も気づかない。もちろん、パトリック目当てなのは分かるが、ちょっとは振り返って欲しいなと思った。今シーズン、ライスは昨年のような勢いもなく、11戦中6戦もリタイアしている。チームメイトの影響が結果にも出ているように感じられるが、昨年ランキング3位だった意地を残り5戦で見せて欲しい。