INDY CAR

松浦孝亮、序盤からトップグループでレースを展開 激しいドラフティング合戦を戦い抜き、8位フィニッシュを果たす

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第12戦「アンバー・アラート・ポータル・インディ300」
日程:8月13〜14日
開催地:ケンタッキー州スパルタ
コース:ケンタッキー・スピードウェイ
距離:1.5マイル(2.414km)×200周
■■■8月14日決勝■■■
天候:快晴/気温:31℃/時間:15時45分〜(日本時間:15日05時45分〜)
<抜群のスタートでトップ10圏内で戦った序盤戦>————————
悪天候のため予選が行われず、プラクティスでのタイムによって決定したスターティンググリッド。パナソニックARTA/パノス・Hondaを駆る松浦孝亮は14番グリッドから「アンバー・アラート・ポータル・インディ300」に挑んだ。デビュー以来、スタートを得意としている松浦は、1周目にして11位までポジションを上げると、すぐさまトップ10入りを果たしてレース序盤を戦った。マシンのハンドリングは想定していた通りに安定しており、燃費も充分にセーブしながらトップグループでの走行を続けた。
<タイミング良く出続けたフルコースコーション>————————
このレースでは、燃料補給が必要になるタイミングに合わせるかのようにフルコースコーションが出された。1回目のピットストップは28周目に出されたフルコースコーション下で全員が行った。ここで松浦は10位をキープ。第2スティントでは短い間だけトップ10からこぼれ落ちることがあったが、71周目に行った2回目のピットストップには10番手で入った。今シーズンに入って着実に安定感とスピードを増したピットストップにより、松浦はポジションを9位へとひとつ上げた。
<マシンを蝕む高温多湿のコンディション>——————————
76周目のリスタートでも松浦はポジションを上げた。今度は9位スタートから一気に7位へジャンプ。その後いったん順位を落としたものの、ドラフティング合戦を続ける中で99周目には再度7位に浮上と、快調にレースを続けていた。しかし、ハンドリングがアンダーステア気味になり、エンジンのフィーリングが重くなったため、120周回を過ぎたあたりからペースが落ちてきた。30℃以上の気温と高い湿度がエンジンに悪影響を及ぼした可能性もある。しかし、サスペンション、ギヤボックス、ホイールベアリングなど、様々なトラブルによってリタイアするマシンが出る中、パナソニックARTA/パノス・Hondaはトップグループでの戦いを続けた。
<ピットとの連係で着実にポジションアップ>—————————-
トップ10圏内を保ったままレース終盤を迎えた松浦は、最後のピットストップでフロントウイングを立てるようにピットへとリクエストを出した。エンジニアと無線でディスカッションを行い、変更角度を松浦から指示。9位でピットインしたマシンを、クルーたちは2ポジションアップの7位でコースへと送り返した。チームの頑張りに応えるように松浦は次のリスタートでも見せた。スポッターが「グリーン、グリーン!」と叫ぶのと同時にアウト側へとラインを採ってアクセルオン。絶妙のタイミングで加速し、4位までポジションを上げた。
<今季5回目のトップ10フィニッシュ>———————————–
レース序盤は、トップグループで走ることのできた松浦だったが、ゴールまで残り25周で切られたリスタート後は、前を行くマシンについていくのが難しくなった。周回遅れに進路を塞がれることもあり、また、残り2周ではオーバーテイクを仕掛けた相手が突然インへとブロッキングをしてきたために急減速を余儀なくされるシーンもあった。ここで松浦はアクシデントを避けるためにコースイン側の白線をカット。なんとかクラッシュは避けたが、ポジションをさらに一つ下げる結果となった。しかし、トラフィックの中でもパノスシャシーは安定感を保ち続け、今シーズン5回目のトップ10フィニッシュとなる8位入賞を果たした。200周のレースを通してコンペティティブに戦い抜いたことは、松浦、そしてチーム全体の自信に繋がった。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「力を出し尽くせたので、非常にスッキリしています」
「力を出し尽くせたので、非常にスッキリしています。レース序盤はアンダーステアとオーバーステアの両方が出て難しかったんですが、終盤にはアンダーが出るだろうとセッティングをいじらずに走り続けました。そして、最後のピットストップ前あたりから予想通りにアンダーが出てきたので、ピットストップでフロントウイングを少し立てて対処しました。100周を超えたあたりからエンジンの感触が重くなり、スピードが少し下がってしまいましたが、それでも最後までエンジンは持ってくれましたね。最後のリスタートはキャリアベスト、4位までポジションを上げることができました。そこからトップグループについていこうと頑張ったのですが、追いつけませんでした。原因はまだ分かりませんが、アクセルを全開にしてもついていくことができなかった。チームメイトのスコット(・シャープ)には「おめでとう」と言いたいです。彼が勝ったことでチーム全体のモチベーションが上がるのは間違いありません。まったく同じセッティングにしても、彼のマシンの方がコンマ2秒ほど速いという問題を早く解決したいですね。それができれば、自分たちにも勝てるチャンスが出てくると思います。今回はトラフィックの中でも安定したマシンに仕上がっていたので、シカゴ、フォンタナはケンタッキーと似たコースですし、いいレースができると思います。思い切り勝負したいです」
<サイモン・ホジソン:チーム・マネージャー>
「安定したパフォーマンスを発揮することができた」
「ファイナルスティントの前からコンマ2秒ほどペースが落ちてしまったが、その原因はまだ分かっていない。テレメトリーをチェックしていたが、そこからは何の問題も見出だすことはできなかったからだ。しかし、コウスケは素晴らしいリスタートを見せ、思う存分に戦っていた。レースを通じて戦い抜けたのは嬉しいことだ。今シーズンのベストレースと言えるだろう。今回はレース序盤からアンダーステアに悩まされることもなかった。興味深いのは、レース中にセットアップ変更をほとんど行わなくても走り通せた点だ。エンジニアは安定したタイムを刻み続けられると自信を持っていたが、実際、マシンバランスはスタートから非常に良かった。実はスタート前にフロントウイングを少し立て、ダウンフォースを増やした。同時にリヤのダウンフォースを減らすべきか検討したが、それはしなかった。リーダーと同じペースで走り続けることができ、エンジニアの判断はそこでも正しかったことが証明された。今週のレースは安定したパフォーマンスを発揮し続けることができた。ファイナルプラクティスでのタイムは良くなかったが、不思議なことに同じ状況だったテキサスでもレースで好パフォーマンスを見せた。ほんの小さなセッティングの違いがレースでのパフォーマンスに大きな影響を与えており、その部分で正しい判断を下せていなかったのだろう。我々のマシンは、戦闘力のあるセットアップから大きく外れてはいなかったのだ。今回のレースで得られたデータ、そして勢い、自信を持って、次戦からは今日以上の内容あるレースを戦っていきたい」
<鈴木亜久里:チーム代表>
「ドラフティングの中でもしっかりとレースを戦うことができた」
「今日はしっかりとレースを戦うことができた。実はレース前にフロントウイングをハーフターン上げるように伝えたんだ。孝亮は3クリックぐらいと言っていたが“3クリックでは足りない。ハーフターンは行け”とね。そうしたら、スタートからトップ集団のパックについていけて、セッティングを変えずに走り続けることができた。最後のピットストップではコースコンディションが変わったようで、もう3クリックほどフロントウイングを立てた。その後は、エンジンが重くなってきたのか、ペースが上がらなくなってしまったが、今年初めてスタートからゴールまでドラフティングの中でもポジションを落とさずに戦うことができた。しかし、このぐらいのレベルのレースがいつでもできるようにならないといけない。今日のようなレースをすれば、ドライバーもチームもモチベーションが上がる。チームメイトのスコットが優勝したこともプラスになるはずだから、シーズン終盤の残り5戦はこのようなレースを戦っていきたい。今回はパノスシャシーのバランスも悪くなかった。コースとの相性もあるだろうが、今後は前向きなレースを戦えそうだ」