INDY CAR

ブライアン・ハータがポールポジションから今シーズン初勝利。Honda Indy V-8はシーズン7勝目を1-2フィニッシュで飾る

<Honda>
7月31日(日)・決勝
サーキット:ミシガン・インターナショナル・スピードウェイ 天候:快晴 気温:28℃
アメリカ自動車産業の拠点であるデトロイトの近郊、湖や池の点在する緑豊かなブルックリンにあるミシガン・インターナショナル・スピードウェイで、IRLIndyCarシリーズ第11戦ブリヂストン・インディ400が行われた。アイリッシュ・ヒルズと呼ばれるリゾート地に作られた歴史ある2マイル・オーバルで開催されたレースは、プラクティスと予選の行なわれた土曜日、ファイナルプラクティスと決勝の行なわれた日曜日の両日ともに雲ひとつない素晴らしい快晴に恵まれた。気温も30℃を越えることはなく、心地よい暑さの中で白熱したレースが展開され、ブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)が優勝を飾った。 200周のレースはゴール前167周目のピットストップ後に過熱し、6台による高速接近戦となった。ポールポジション・スタートだったハータは、200周のうちの159周をリードし、追いすがるチームメイト、ダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)を0.0374秒という僅差で下して今季初勝利。2003年のカンザス以来のキャリア2勝目を手に入れた。
真夏の3連戦第一弾を締めくくるレースは、コース全長2マイル、レース距離400マイルと、どちらもIndy500に次いでシリーズで2番目に長いミシガン・インターナショナル・スピードウェイが舞台。超高速を保っての長距離レースでは、エンジンのパワー、そしてエンジンの信頼性が試されるものとなるが、Honda Indy V-8勢は昨年に続いて2年連続でミシガンでの1-2フィニッシュを成し遂げた。
土曜日に行なわれた予選は、シーズン後半戦に向けてエンジンパワー競争がどのような状況となっているかを見極めるチャンスとなっていた。昨年度のマニュファクチャラー・チャンピオンであるHondaは、予選でハータが平均時速219.141マイル(約352.598km/h)を記録し、ポールポジションを獲得。予選3位には昨年度ミシガン・ウィナーのバディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)、予選5位にスコット・シャープ(デルファイ・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)が入るなど、トップ10に6人を食い込ませた。Hondaがインディカー・レースでエンジン・マニュファクチャラーとして初めてポールポジションを獲得して以来、ちょうど10周年となる日に、ハータは通算85個目のポールポジションを獲得したのだ。そして、レースでも彼は優勝し、Hondaは1-2フィニッシュを達成して、今シーズンもパワー・アドバンテージを保ち続けている。
この勝利はHondaにとって、今シーズンの7勝目となり、マニュファクチャラーズ・ポイントをまた伸ばすこととなった。
ウェルドンはポイントリードを伸ばしてランキングトップの座を守り、ポイント4番手に順位を下げていた昨年度チャンピオンのトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)も、今回の4位入賞によって3位へとひとつポジションを上げた。ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)の順位は、2番手から4番手へと下がったが、ハータは今回の優勝で9番手から4つアップの5番手までランキングを上げてきた。Hondaドライバーたち4人がポイントスタンディングでトップ5入りを果たしている。
昨年は予選でフロントロー・スタートとなる2番手グリッドを獲得した松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)は、今回は予選順位こそ12位だったが、レース中のセッティング変更でマシンを良くしていき、終盤には4位までポジションアップ。リスタートでトップに立つ元気な戦いぶりを見せていたが、スピンしたマシンを避けようとして、松浦の目の前を走っていたドライバーが急減速。避けようのないアクシデントに巻き込まれてリタイアを喫した。
ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング/Honda・ダラーラ)は予選18位。レース前のファイナルプラクティスでトップ10入りするタイムを出して仕上がりの良さを示したが、不運にも松浦と同じアクシデントに彼もまた巻き込まれた。

■ブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 優勝
「ご覧の通りに素晴らしい1日となった。チームは素晴らしいマシンを用意してくれた。スーパー・スピードウェイで走らせるマシンとしては、これまでで最高の仕上がりだった。たったひとつ起きた問題はリスタートだった。インディカーのレース、特にスーパー・スピードウェイでのレースでは、リスタート時にトップにいるのは決して有利ではないからだ。最後のリスタートでは、トップの座を誰かに譲ると再び取り戻すのが難しくなると考え、低いラインを絶対に獲得すべく神経を集中させた。チームメイトが自分の背後についてくれたため、最後の戦いは少し楽になった。アンドレッティ・グリーン・レーシングで自分たちだけが今シーズンは勝っていなかったので、何としてでも勝ちたかった。それが実現できて最高に嬉しい」
■ダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 2位
「今日はブライアン(・ハータ)の1日だった。勝利を収めるだけの力が今日のブライアンにはあった。マシンはファンタスティックで、Hondaエンジンも非常に強力だった。自分のレースについては、ライバル勢の何台かよりもスピードで劣っていた。それでも、幸運も味方につけてドラフティングを利用し、終盤の戦いでトラフィックから抜け出し、2位でゴールすることができた」
■トニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 4位
「ゴールを目前としたバトルの中で、前を塞がれる形となってしまった。チームメイト同志のバトルとなっており、絶対に彼らと接触することだけは避けたかった。ブライアン(・ハータ)の今日のマシンは最強だった。彼が勝つべきレースになっていた。自分のマシンは、今日のレースで2位を獲得できるだけのものに仕上がっていたかもしれない。悪いタイミングで前を塞がれた後は、再び前のマシンをパスしていくことができなかった。しかし、自分たちのパフォーマンス自体は決して悪くはなかった。アンドレッティ・グリーン・レーシングがまた勝利を飾り、僕らのチームはポイントスタンディングで3位へと浮上したんだから」
■松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング) 16位(リタイア)
「レース序盤は大アンダーステアでしたが、ピットストップで調整を重ねていき、マシンは次第に良くなっていきました。しかし、トラフィックの激しい中では依然としてアンダーステアが強く、自分の考えていた通りのレースを闘うことができずにいました。それでもトップ10を保っての走行は何とかできていたんです。残念なのは、ゴールまであとわずかというところになって、アクシデントに巻き込まれてしまったことです。スピンしたマシンがあり、自分のすぐ前にいたドライバーはイン側へ、自分はアウト側へとラインを取ったのですが、そこで2台が接触してしまったんです。レーシングアクシデントと呼ぶべきものだったと思います。トップ5は難しくても、トップ10入りは完全にできていたレースだっただけに悔しい結果です」
■ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング) 18位(リタイア)
「レース序盤はハンドリングが安定せず、周回遅れになってしまいましたが、ピットでセッティングを調整してマシンは良くなっていました。一度調整を大きくし過ぎてハンドリングが悪くなりましたが、そこからまたセッティングを戻して走り続けていて、トップ10入りが狙えるポジションで終盤を迎えました。1人のドライバーがスピンをして、何台かがインとアウトへと避けようとしていた状況で、自分はアウトから回り込んでアクシデントを避けようとしたのですが、2台がクラッシュして自分の進路を完全に塞いでしまいました」
■ロバート・クラーク: HPD社長
「土曜日にブライアン・ハータはポールポジションを獲得したが、ちょうど10年前の同じ日、我々はインディカー・レースでの初めてのポールポジションを獲得した。今回は85個目のポールポジションであった。そして、レースでもブライアンは終始トップを走り続け、勝利を飾ってくれた。パワーが重要なミシガンのコースでブライアンが今シーズン初勝利を挙げ、ダン(・ウェルドン)が2位に入賞する1-2フィニッシュを飾れたことは、Hondaにとって大きな喜びだ。11戦で7勝目を挙げたことにより、マニュファクチャラーズ・ポイントでもまた差を広げることができた。ウェルドンがポイント・リーダーの座を保ち、ダニカ・パトリックはルーキー・ポイントでトップを守っている。
 今日のレースでは、燃費での優位を我々Honda Indy V-8が依然として保っていることを見ることができたが、ライバル勢もその差を縮めてきている。今後も開発の手を緩めることなく、マニュファクチャラーズ・タイトルの防衛、そしてドライバーズ・タイトルも同じく防衛する目標に向かってまい進していく」