<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第11戦 「ファイアストン・インディ400」
日程:7月30〜31日
開催地:ミシガン州ブルックリン
コース:ミシガン・インターナショナル・スピードウェイ
距離:2マイル(3.219km)×200周
■■■7月31日決勝■■■
天候:快晴/気温:28℃/時間:15時15分〜(日本時間:8月1日04時15分〜)
<松浦孝亮、残り20周で悔しいリタイア>——————————–
アメリカ自動車産業の中心地、デトロイトの郊外にあるミシガン・インターナショナル・スピードウェイで開催されたIRLインディカー・シリーズ第11戦ファイアストン・インディ400。パナソニックARTA/パノス・Hondaに乗る松浦孝亮は、予選12位から超高速コースでの手に汗握る白熱した接近戦を戦い、200周=400マイルのレースで一時はトップに立つ戦いぶりを見せたが、ゴールを目前にした181周目、10位を走行中に他車のスピンに巻き込まれ、悔しいリタイアを喫した。
<スリリングな高速バトル>——————————————–
全長が2マイルのミシガン・インターナショナル・スピードウェイは2台が常に並走可能で、時としては3台が横一線に並んでのスリリングな戦いが繰り広げられるコースだ。最高速度350km/hに迫る高速での戦いは、ドライバーに最大限の集中力を保ち続けることを求める。集団を形成して疾走する車群は乱気流を生み出し、その影響を常に受けながらマシンコントロールを続けなくてはならないからだ。ライバルのマシンがどこを走っているかによって自らのマシンが受ける空力的影響を予知するには多くの実戦経験が必要となるが、松浦はこうした戦いをデビュー年であった昨年のうちに素早くマスターした。
<レースを通してセッティングを改善>———————————-
400マイルに渡るレース、今回は完走したドライバーたちのほとんどが4回ものピットストップを行った。松浦はピットと無線で交信を続けてハンドリングをレポートし、エンジニアとディスカッションしながらマシンセッティングを走行コンディションに合わせていった。フロントウイングの角度を変え、タイヤの空気圧を調整し、コクピット内ではウエイトジャッカーと前後スタビライザーの調整を行いながら走行。この調整によって序盤に松浦を苦しめたアンダーステアは徐々に解消された。ゴール前の50マイルでヒートアップする接近戦に向けてのマシンチューニングは、インディカーのレースで勝つためには、絶対に必要なことなのだ。
<燃費にも配慮したハイレベルな戦い>———————————-
松浦は燃費にも十分に気を配った走りで序盤から戦い続けていた。松浦はチームの目指す燃費を実現し、2回目のピットストップには出場全車の中で最後となる78周目に入り、ここで一端トップに立った。さらに、3回目のピットストップの後にライバル勢がピットへと殺到する中、コース上に留まる作戦に出て4位までポジションアップ。最後のピットストップを終えてからのハードファイトを上位で戦える状況が整った。
<素晴らしいリスタートで再度トップへ>——————————–
146周目のリスタート。4位を走行していた松浦は、グリーンフラッグが振られるや見事なダッシュを見せ、ターン1進入までにトップを行くブライアン・ハータに並びかけ、その座を奪い取った。バックストレッチで他車に先行を許したが、今日2度目のトップ奪還は、コース上での戦いによってつかみ取ったのである。しかし、集団走行の中でのマシンハンドリングは最後まで完璧ではなく、松浦はこの後10位まで後退。そして、最後の逆襲を狙っていた181周目、2台前を走行していたタウンゼント・ベル(パンサー・レーシング)がスピン。それを避けようと急ブレーキをかけたジャック・ラジアー(チップ・ガナッシ・レーシング)のマシンを見て、松浦はアウトへと急激にラインを変更したが、ラジアに接触。ノーズコーンが吹き飛び、そのまま壁にクラッシュしてしまった。トップ10は確実で、終盤のバトルでさらに上位を目指す戦いをしていただけに、非常に悔しいリタイアとなった。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「もっと上位へと食い込むチャンスがあっただけに本当に残念」
「序盤のマシンはアンダーステアが強く、それをピットストップで修正していきました。パノス・シャシーは3、4台のトラフィックではそれほど問題がないのですが、5台、10台という大きなトラフィックの中ではアンダーステアが強くなっていて、非常に苦しい戦いになっていました。コースはイン側の方がグリップが高かったのですが、イン側のラインを採用して、他車にアウトから並びかけられるとアンダーステアが出てしまい、一気に外へとマシンが流れそうになるのでアクセルを戻さなければならない状況でした。だからといってアウトに行くとグリップの高いインを取られてしまう。素手で戦っているような感じになっていました。トップ10入りは必ずできるレースで、もっと上位へと食い込むチャンスがあっただけに本当に残念です。次のケンタッキーは昨年4位になっているコースですし、何とか良い成績を残したいと思います」
<サイモン・ホジソン:チーム・マネージャー>
「次戦までには速いマシンセッティングを見つけてくれるはずだ」
「ハンドリングはアンダーステア傾向が強かったが、それはトラフィックと、今日の気温、路面温度が高くなっていたことも大きな原因だろう。パナソニックARTA/パノス・Hondaはまずまずのマシンとなっており、我々はピットインの度にウイング角度を調整し、コウスケはコクピット内でウエイトジャッカーを操作しながら戦っていた。今日のレースでのコウスケは、燃費に注意を払いながらも素晴らしいスタートを見せ、終盤にも4位から一気にトップへと躍り出る見事なリスタートを切っていた。あんなにすごいスタートは見たことがない。しかし、トップ争いを行えるだけのマシンとはなっていなかった。さらには、他車のアクシデントによってリタイアへと追い込まれるという非常に残念な結末を迎えることとなった。次戦のケンタッキーまでには、エンジニアがデータを深く検討し、速いマシンセッティングを見つけてくれるはずだ」
<鈴木亜久里:チーム代表>
「決勝セッティングを検討し、改善していかないといけない」
「アクシデントはもらい事故だったので仕方がないけれど、そこまでの戦いぶりがレースになっていなかった。ベースのクルマのセットアップがあまりにもベストのものからはかけ離れていたと思う。戦えるマシンになっていない。こういうレースに来て、毎回毎回決勝になるとアンダーステアだって言っている。今日もレースが始まったら、走れないぐらいのアンダーステアだって言っていた。プラクティスが有効に使えていない。プラクティスと決勝でセッティングが全然違うようでは、プラクティスを走っている意味がない。その部分をドライバーとエンジニアは改善していかないといけないね」