<US-RACING>
トニー・カナーンが、昨年のナッシュビル以来ほぼ一年ぶりとなる今季初優勝を飾った。今シーズンはウエルドンの活躍の陰に隠れがちだった昨年のチャンピオンが、そのウエルドンを抑え、8戦目にして優勝。200周のうちトップをリードしたのはわずか10周だけだったが、ラスト4周でトップに踊り出ると、2位のウエルドンに0.0120秒差でチェッカー・フラッグを受けた。IRLシリーズでは歴代6番目となる僅差でのゴールだ。今回はウエルドンが200周中111周もリードを築き、単独での走行においても速かったのは明らかだったが、最後の最後はチャンピオン、カナーンが意地を見せる。チェッカード・フラッグを受けるまで勝負が分からないインディ・カーらしいレースで幕を閉じた。
朝から雲行きが悪く、時折雨がぱらつく天候となったカンザス。天気予報では雨の確率が高く、午後から振り出すだろうと予報されていた。午前8時15分のファイナル・プラクティスが行えるか心配だったが、4分遅れでスタートし、30分のプラクティスは無事終了。その後、天気はたまに晴れ間を見せるまでに回復すると、午後12時25分のスタートの時点では青空が見え出した。気温は朝の時点で21度だったが、レースがスタートする頃になると、30度まで上昇。湿度も高く蒸し暑い一日となった。観戦に来たファンも雨に濡れることなく、最後までレースを楽しむことが出来た。
レイホール・レターマン・レーシングが予選でトップ・スリーを独占し、ルーキーで唯一の女性ドライバー、パトリックを筆頭にレースがスタート。オープニング・ラップでパトリックは後退してライスがレースをリードするが、そのリードはあまり長く続かなかった。結局チームの中で最高位となったのは、3位となったメイラ。最後に優勝争いを演じる走りを披露した。昨年のウイナー、ライスは10位でフィニッシュし、ポール・ポジションからスタートしたパトリックは5速のギアがロングだったため、十分なスピードを出すことが出来ずにトップ・グループから後退。しかしトップ10内となる9位でフィニッシュする。7連続完走を果たし、ルーキー・ポイントでもトップを維持しているパトリック。次戦、コンクリート路面のナッシュビルではどうだろう。
レース前に最終的なセッティングを煮詰めなければならないファイナル・プラクティスで、エンジンにトラブルが発生した安川。プラクティスが終わる頃には、エンジンの交換作業に入らなければならない状況となってしまった。予選に使用したエンジンでレースを行わなければならないため、エンジンを交換した安川はルールに従い最後尾からのスタートとなる。レースでは徐々にポジションを上げるが、1回目のピット・ストップが終了後、53周目にターン3でフォイト?をハイサイドからパスしようとした瞬間、マシンがルーズになり、コントロールを失った安川はマシン後方からセーファー・ウォールに激突。リタイアを余儀なくされた。「レースでは始めから凄いアンダーで、それでも何人か抜いたんですよ。その後ピットに入ったとき、ウイングをちょっと立てて、タイヤの空気圧を変えたらしいんですけど、聞いてなくて。フォイトをとにかく速く抜かなきゃいけないと思って、4周目くらいにハイサイドから抜きにかかったんですが、フォイトがちょっとハイサイド側に自分の空気を取って、そこで車が変わったのか、いきなり凄いルーズになってしまいました。ハイバンクのスーパー・スピードウエイで1回もクラッシュしたこと無いし、自分もこんな経験が無いんでびっくりしています。今回、クルマもスーパー・スピードウエイでは一番ひどかったですね。なんでこんなバランス悪いのか不思議です。はたから見たら自分のミスでクラッシュしたような感じですからね。なんかしっくりこないです」とレース後に話す安川。幸いケガはなかったが、マシンのトラブルやチームのことで、不満が募っているようだ。今後の改善を期待するしかない。
15位からスタートした松浦はスタートから徐々に後退するが、114周目の2回目のピット・ストップのタイミングが功を奏し、10位まで順位を上げることに成功。トップ10内でのフィニッシュが期待されたが、133周目にエンジン・トラブルが発生し、マシンを止めた松浦は無念のリタイアとなってしまう。「厳しい状況の中、うまいことコマを進めたと思ったんですけどね。エイドリアンも去年だめなときが何回もあったんだけど、今は我慢のときで絶対イエローになるから、周回遅れにならなければチャンスはやってくとわかっていました。フロント・ウィングを調整して、やっとスピードがみんなと一緒になったんですが、抜けない車だったのでピットの作戦を少し変えていこうと。それでやっと10番まで上がったところで、エンジンが壊れてしまいました。10何戦もやっていれば1回くらい壊れることもあると思いますが、少し残念ですね。カンザスは自分として凄く期待していたんですけど」と話す松浦。トップ10内でのフィニッシュが続いていただけに、今回のリタイアは残念な結果となってしまった。次戦のナッシュビルでの走りに期待したいところだ。