ポール・ポジションからスタートしたシェクターは、自分も含む6人のドライバーによって17回もトップが入れ替わる中、119周のリード・ラップを築いてポール・トゥ・ウインを飾った。これまで勝てそうなレースを何度も逃してきたシェクターだったが、とうとう2002年のミシガン以来となる自身2度目の優勝を獲得。シボレーにとっても2003年のカリフォルニア以来となる勝利で、3戦続いたホンダの連勝にストップをかけることに成功した。2位のホーニッシュJr.とのタイム差はわずか0.0534秒、インディ・カー・シリーズで10番目の僅差だ。下の写真は表彰式で銃を両手に持たされ、空めがけてぶっぱなしたシェクター。もちろん空砲だが、本人も最初は戸惑っていた。大勢の目の前で銃を撃つのは、演出だとは解っていても少し抵抗がある。
今シーズン初のナイト・レースとなったテキサス・モーター・スピードウエイ。毎年この時期にナイト・レースが行われ、最終戦にデイ・レース(日中)と年に2回開催されていたこともあり、このテキサスではインディ・カーのレースの人気は高いほうだった。今年からはこのナイト・レースのみの開催となり、最終戦はカリフォルニア・スピードウエイで開催。地元のファンにとって、年に一度しか観られなくなったことと、インディ500以降のダニカ・パトリック人気に拍車がかかり、今回のレースにはなんと約10万2千人もの観客が訪れた。閉鎖している箇所を除き、グランドスタンドは満席に近い状況となり、インディアナポリス・モーター・スピードウエイ以外のコースで観客席がファンで埋め尽くされている光景を、初めて見たような気がする。もしパトリックが優勝すれば、シリーズ自体の人気がもっと上昇していくのだろう。
14位からスタートした松浦は、レース序盤から追い上げて一時5番手までポジションアップし、トップグループでの走行を続ける走りを見せた。しかし最後のピット・ストップで、前を走るドライバーが遅かったために、コースに戻ったときには先頭グループから離されてしまい、第2先頭グループでの順位争いとなってしまった。最後はウエルドンにパスされてしまうものの、今シーズン最高位となる7位でフィニッシュすることに成功した。「久しぶりにいいレースが出来ました。セッティングの変更が当たりましたね。トラフィックで安定した走りをすることが出来ました。後方から追い上げてトップ争いをすることができるようなレースをこれからも増やしていきたいです」と、満足げに話した松浦。ファイナルプラクティスでは18位まで後退し、レースではどうなるのかと少し心配していたが、セッティング変更が功を奏することになった。
18位からスタートし、レース序盤ではトップ・グループと遜色のない走行をしていた安川は、中盤から徐々に後退していく。「今週末を通してロング・ランをしていなかったので、途中から凄いアンダーになってしまいました。ドラフティングから離されてしまったら、追いつけないんですよね。イエロー待ちでまた集団に入りたかったんですけど、ギア比が外れているのか、リスタートやピットアウトで遅くて、そのたびに離されてしまいました。単独だと遅いですし・・・・・・。シリーズ全体のレベルが上がっているのもあって、トップ10に入るのも難しくなってきていますね。現在のうちのチームでは、すべての条件がうまく揃えば、トップ10内に入れるという状況でしょうか」と安川。今シーズンやっと2度目の完走を果たした安川だったが、まだトップ10内でのフィニッシュはできていない。次戦リッチモンドの走りを期待しよう。
インディ500からポール・ダナの代わりにカーナンバー91番のマシンをドライブしているジミー・カイトが7周目にクラッシュ。1回目のイエロー・コーションとなった。レース序盤に計4回のコーションが発生したが、71周目からはフィニッシュまでコーションが発生せず、サイド・バイ・サイドのレースが展開された。予選2位からスタートし、今回こそ上位でフィニッシュしたかったエンゲは、電気系トラブルによりピットロードでストップ。しかしマシンから降りずにピットまでオフィシャルに運んでもらい、懸命な普及作業をして再びコースに復活。6周遅れとなったが、19位完走を果たした。
レース前に行われたドライバーズ・ミーティングで、ライス、メイラ、ウエルドンが面白いTシャツを着てメディアの話題を集めていた。今シーズンが始まってからもそうだが、特にインディ500後のパトリックの異常なほどの人気に、チームメイトとして聞かれることはパトリックのことばかり。また、インディ500で優勝したウエルドンにしても、何かとパトリックのことを聞かれてしまうという。「インディ500で勝ったのは俺なんだ!」といいたい気持ちも、わからないではないが・・・。