INDY CAR

●IRL R4 もてぎ【決勝日】:燃費走行に徹したウエルドンが運を呼び寄せて2連勝

<US-RACING>
めずらしく3日間とも快晴に恵まれた3年目のインディ・ジャパンで、レースはスタートでパトリックがホーニッシュJr.を抑えてホール・ショットを奪ったが、後続がクラッシュ。結局8回もコーションが発生した大波乱のレースとなった中で、終盤は唯一のシボレー・ユーザーであるシェクターがトップに立ったものの、残り2周でまさかの燃料切れとなる。2位を走っていたカナーンも燃料不足でピットへ入り、燃費走行に徹していたウエルドンがトップへ躍進。もてぎ2連覇を達成した。日本勢は序盤に周回遅れとなった松浦が9位まで追い上げてゴール、安川は無念のエンジントラブルでリタイアに終わってしまった。
●ラップ・バイ・ラップ・レポート
・決勝レースは300マイル、1.52マイルのコースを200する。
・ピットロードの制限速度は時速60マイル
・先頭のマシンがコースインしてから3周目にグリーン・フラッグが振られる
・インディアナポリス500マイルレースで3回の優勝経験を持つジョニー・ラザフォードがシボレーSSRのペースカーのステアリングを握る
・レース中に使用できる燃料は135ガロン
・トーマス・エンゲは金曜日の予選でのアクシデント後、IRL選任のジェフ・ビロウズ医師の判断により、インディ・ジャパンの決勝レースは出走せず。医師の診断によると、エンゲのレントゲン写真で肋骨の複数個所で骨折が見られたため、レース出走の許可が下らなかった。
トーマス・エンゲ(ロックスター・パンサー・レーシング)のコメント:
「チームにとって非常に残念な結果となってしまった。自分自身で判断可能であれば、多少の無理をしてでもチームのために出走したかった。しかし信頼するIRLのメディカルスタッフの判断である以上、出場は諦めざるを得ない。いまはインディ500にフォーカスする。世界最大の自動車レースであるインディ500にエントリーする機会を逃すことは、なんとしても避けなくてはならないからね。現時点で出来ることは自分とロックスター・チームのスタッフが全力で、ペンゾイル・チームのシェクターのもてぎ勝利を応援することだ」
AJフォイト・レーシングは前日の最終プラクティスで破損したAJ.フォイト?のマシンを修復した。作業はドレイヤー&レインボールド・レーシング・チームのメンバーと、過去2年間フォイト?の両親と親しくしている宇都宮市在住の倉持氏等の協力で、夜11時過ぎまで行なわれた。
AJフォイト(AJ.フォイト・レーシングのオーナー)のコメント:
「ドレイヤー&レインボールドの連中とウチのクルーは夜遅くまで必死になってマシン修復作業を行なった。このスポーツには大きな情熱が必要だ。昨晩に続き今朝も作業が行なわれた。トニー・ジョージと彼のチーム・スタッフ(ヴィジョン・レーシング)をはじめ、ペンスキー・チーム、ジョン・バーンズ(パンサー・レーシング)のスタッフ、更には最後までマシンのクリーンアップなどを仕上げてくれたレースファンの人たちにと、みんなの努力に大変感謝している」
AJフォイト?のコメント:
「最初にダメージを見たときはかなりひどい状態で、本当に修復できるか疑問だった。それでも皆諦めることなく最後まで頑張ってくれた。ドレイヤー&レインボールドのスタッフをはじめ、多くの人にも助けられたことはとても嬉しかった。海外でのレースは、持ち込める機材にある程度の制限があるから、作業面で大変だと思う。しかし誰もがそのような条件下で精一杯の仕事をこなした。おかげで決勝レースに間に合うことが出来た。これがまさに本当のチームワークだ」
12時30分:ファイアストンのエンジニアの発表では気温は19度、湿度は37パーセントで風速5.3メートル南南西の風、路面温度は47度。
12時55分:エンジン始動の号令。全22台のマシンが一斉にエンジンを始動しグリッドを離れる。
Lap 1:グリーン・フラッグ。ホーニッシュがターン1をトップで進入、パトリックがターン2でこれを交わしてトップに立つ。パトリックはインディカー・シリーズで自身にとって初のトップを走行。その後方でバックナムがスピンを喫し、ディクソンと接触する。2台はターン2のSAFERバリアに激突して停止、双方のマシンはダメージを負う。ディクソンは自力でマシンから降り、バックナムはデルファイIRLセイフティ・チームの手を借りマシンから脱出。
Lap 3:安川がピットイン。タイヤ4本交換と燃料補給を行なう。
Lap 6:ハータがピットイン。タイヤ4本交換と燃料補給を行なう。
Lap 12:グリーン・フラッグ。パトリックがトップをキープしてターン1へ侵入する。その直後バロンがスピンを喫してターン4のSAFERバリアにフロントノーズから激突する。バロンのマシンはフロントエンドに若干のダメージを負う。ドライバーに怪我はなく自力でマシンを降りる。
Lap 17:グリーン・フラッグ。パトリックがトップをキープ。
Lap 18:ホーニッシュがターン3でパトリックを交わしてトップに立つ。
Lap 20:トップのホーニッシュが2位のパトリックを0.5024秒リードする。
Lap 25:ホーニッシュがパトリックを0.5707秒リードする。
Lap 30:ホーニッシュがパトリックを0.6418秒リードする。
Lap 33:パトリックがターン2でホーニッシュをパスしてトップに立つ。 12ラップ目でスピンしたバロンのマシンはサスペンションとノーズコーンを破損。チームはダメージ箇所を修復してレース復帰を目指す。
Lap 35:トップのパトリックが2位のフランキッティを0.5962秒リードする。
Lap 40:パトリックがフランキッティを0.4918秒リードする。
Lap 45:パトリックがフランキッティを0.4791秒リードする。
IRL専属のジェフ・ビロウズ医師によると、ディクソンは検査を受けたのち、メディカルセンターからリリースされる。バックナムは右足のレントゲン撮影を受けたが、異常なしとのこと。
ディクソンのコメント:
「前にいた青いカラーのマシンが自分の目の前でいきなりスピンしたため、行き場を失ってしまった。何とかスローダウンを試みたが運悪く十分なスペースもなかった。今のところ体調は問題ない」
バックナムのコメント:
「スタート直後でまだタイヤが温まりきっていなかったのが原因だろう。初日からオーバーステアの問題はまったくなかったので、あのようなかたちでスピンするとは思ってもいなかった。突然リアが流れてしまったので、もうその時点ではなすすべがなかった」
Lap 52:フランキティがパトリックに2.2211秒の差をつけてリード。
Lap 55:フランキッティがカナーンに2.9528秒の差をつけてリード。
Lap 57:メイラとカーパンティエがピットイン、タイヤ4本交換と燃料補給を行なう。
Lap 58:ホーニッシュとライスがピットイン。タイヤ4本交換と燃料補給を行なう。
Lap 59:カナーン、カストロネベス、シェクター、松浦の4台がピットイン。タイヤ4本交換と燃料補給を行なう。
Lap 60:パトリックがピットイン。タイヤ4本交換と燃料補給を行なう。
Lap 61:フランキッティ、シャープ、ウェルドンらがピットイン。タイヤ4本交換と燃料補給を行なう。
Lap 63:フルコース・コーション。デイナが外壁を擦ったターン4付近でパーツの破片らしきものが見られる。
Lap 66:トップのハータ以下、カストロネベス、安川らがピットイン、タイヤ4本交換と燃料補給を行なう。
Lap 68:グリーン・フラッグ。フランキッティがトップでターン1へ進入する。
Lap 70:フルコースコーション。ターン1付近のコース上にパーツの破片らしきものが発見される。
Lap 72:ホーニッシュがピットインしてフロントウイングを修復する。
Lap 74:グリーン・フラッグ。カナーンがターン1でフランキッティをかわしてトップに立つ。
Lap 80:トップに立ったフランキッティがカナーンを0.3134秒リードする。
Lap 90:フランキッティがカナーンを1.5482秒リードする。一方でバロンのマシンが修復されレースに復帰する。
Lap 100:フランキッティがカナーンを0.4523秒リードする。
Lap 105:フランキッティがカナーンを1.6851秒リードする。
Lap 111:ライスがブロッキング行為でドライブスルー・ペナルティを受ける。
Lap 113:フルコースコーション。安川のマシンから煙が発生。マシンはバックストレッチ上のコースサイドに停止する。トップ5の順位はフランキッティ、カナーン、ウェルドン、シャープ、パトリック。
Lap 117:トップグループがピットイン。フランキッティ、ハータ、ウェルドン、シャープ、パトリックらがタイヤ4本交換と燃料補給を行なう。
デイナのコメント:
「マシンはアンダーステアが強く、トップギア比も合っていなかったため、バックストレッチでは6速の半ば辺りでレブリミッターが作動してしまった。もしギア比が合っていたら、もっとスピードが上がってたと思う。その二つの要因で思うようにスピードが上がらなかった。プラクティスではペースが良かったこともあったから、全体的には良い方向へと向かっているのは確かだ。しかし今回のレースでは思うような結果にはならなかった」
Lap 122:グリーン・フラッグ。フランキッティがトップでターン1へ進入するが、ターン3でウェルドンがこれをパスしてトップが交代。その直後のターン4でフランキッティがSAFERバリアに激突してフルコース・コーション提示となる。フランキッティのマシンはフロント・ストレート上で停止、ドライバーは自力でマシンから脱出した。フランキッティは医師の検査を受けたのち、異常なしとのことでメディカル・センターからリリースされる。
Lap 136:グリーン・フラッグ。ハータがウェルドンをパスしてトップに立つが、ウェルドンはターン3で再びリードを奪う。
Lap 140:フルコース・コーション。カーペンターがターン2のSAFERバリアに激突。この時点での順位は、ウェルドン、ハータ、シャープ、カナーン、ホーニッシュ。
Lap 141:先頭集団がピットイン。タイヤ4本交換と燃料補給を行なう。ウェルドンがトップのままコースへ復帰する。カストロネベスがピットロード速度違反で後退をオフィシャルから後退を支持される。
Lap 145:ライスがピットイン。燃料補給のみでコースへ復帰する。
Lap 146:ライスとカストロネベスがピットイン。燃料補給のみ。
Lap 150:グリーン・フラッグ。シェクターがターン1で仕掛けてターン3を抜けたところでトップに立つ。カナーンが横3列の外側からウェルドンをパスして2位に上がる。
Lap 155:トップのシェクターが2位カナーンを0.4033秒リードする。
Lap 160:シェクターがカナーンを0.6355秒リードする。
Lap 165:シェクターがカナーンを0.6927秒リードする。
IRL専属のジェフ・ビロウズ医師がカーペンターは異常なしと診断しメディカルセンターからリリースする。
Lap 171:シェクターがカナーンを0.8007秒リードする。
Lap 175:シェクターがカナーンを1.4207秒リードする。
Lap 180:シェクターがカナーンを1.6659秒リードする。
Lap 190:シェクターがカナーンを1.5767秒リードする。
Lap 193:ホーニッシュがピットイン。燃料補給のみでコースへ復帰する。
Lap 194:松浦とマニングがピットイン、燃料補給のみでコースへ復帰する。
Lap 196:シェクターがカナーンを1.9080秒リードする。
Lap 198:カナーンがピットインして燃料補給。その間コース上ではレースをリードしていたシェクターが燃料切れのためスローダウン。代わってウェルドンがトップに立つ。
Lap 199:カストロネベスがターン2のSAFERバリアに激突、ホワイト・フラッグとイエロー・フラッグが同時に提示される。
Lap 200:チェッカード・フラッグ。ウェルドンがインディ・ジャパン300優勝。
●インディ・ジャパン300、ポスト・レース・ノート:
・今回の優勝は、ウェルドンにとってキャリア通算6勝目で、今シーズンは4戦中3勝目、前回のセント・ピーターズバーグから2連勝。IRLで開幕4戦中3勝を挙げたドライバーは、ウェルドンが史上初となった。アンドレッティ/グリーン・レーシングにとってはこれがチーム13勝目。
・シャープの2位入賞は、2003年のミシガンで4位入賞以降のベスト・フィニッシュとなった。
・ライスの3位は今シーズン、自身にとっての最高位。
・ルーキーのパトリックは4位入賞でキャリア最高位。