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●IRL R4 もてぎ【初日】:フォト&レポート

<US-RACING>

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日本のオーバル・ファンが待ちにまった“インディ・ジャパン300”の週末がいよいよスタートした。今年で3年目(通算8年目)の開催となるツインリンクもてぎでのレースには、安川のチームメイトとして、もてぎとインディ500にスポット参戦するジェフ・バックナムが加わり、総勢23名のドライバーが集結。ルーキーのエンゲ、ダナ、ダニカ・パトリック、バックナム、ブリスコーの5人は初めてもてぎを走行する。ホンダ、トヨタ、そして松浦や安川にとって非常に重要な母国日本での開催。ジャパン・パワーの活躍を今年も期待したい。

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第1プラクティスではチームメイトのホーニッシュJr.がトップ・スピードを記録し、2位となったカストロネベスだが、午後に行われた第2プラクティスでトップにポジションをアップ。総合でも一番となり、幸先のいい出だしとなった。「マシンは走り始めから調子が良くて、午前のセッションでも2位だった。午後はレースのセットアップを中心に走ったんだけど、セッションの中頃、ニュータイヤに変えて走ったことで、トップタイムを出すことができたんだ。明日の予選では、路面もだいぶなじんできているから、たぶん26秒台の中間あたりを記録することが出来るんじゃないかな」とコメント。トヨタがトップを記録して初日を終えたが、2番手からは開幕戦のウイナーであるウエルドン、そしてフランキッティ、カナーンとアンドレッティ・グリーンのホンダ勢が続いている。

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今年2年目のもてぎとなる松浦は、午前のセッションでこそ17位となったが、午後のプラクティスでは9番手に躍進。総合でも9位で初日を終えた。「もてぎのオーバルは1年に一回しか使わないので、思ったより汚れていて、最初のセッションを第1グループで走行した僕達にはディス・アドバンテージがあったと思います。午後からは午前のセッションのデータをもとにセッティングを変えていったら、すごく良くなってきました。昨年は3.5リッターエンジンで、今年は3リッターで走行していますが、コーナリングのスピードが向上していてタイムは昨年とあまり変わらなくなってきています。でも相変わらずターン3、4のコーナリングは難しいですね。今晩レースエンジンに乗せかえますし、明日の予選には自信があります」と笑顔の本人。ルーキーでまだ3戦目だった昨年とは違い、自信がみなぎっている松浦は、念願の初ポール・ポジションを獲得できるか。

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「最初は狙いどおりのマシンだったんですが」と言う安川は、実際、午前中のプラクティスで10位とまずまずのスタートを切っていた。ところが午後に向けて大幅な変更を加え、ギアを換えたのが災いしたか、「マシンに何かトラブルが発生してしまい、スピードが伸びなくなってしまいました」と語り、総合21位と大幅にポジションをダウンしてしまう。しかしチームメイトのバックナムが12位にいるだけに、マシンのポテンシャルそのものは決して悪くなく、「ストレートでのスピードは伸びなくなったもののバランス自体は良くなっていて、コーナリング・スピードは上がっています」と安川。なんとか今晩中に問題を解決し、明日に臨んでほしいものだ。

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「もてぎに来ても、あえてコレクションホールには行かなかったんだ」と語ったジェフ・バックナム。初めて日本を訪れ、ホンダの初代F1ドライバーだった父親がドライブしたマシンと対面するのを楽しみにしていた彼だが、ホンダともてぎの計らいでコース上にマシンを持ってくることになっていたため、それまで待っていたと言う。「やっぱり、レーシング・コースで父親がドライブしたマシンに遭うのが一番だからね」と語っていたジェフは、初日のプラクティスが終わったあと、ついに念願が叶うことになった。左のRA272は参戦2年目(1965年)のマシンで、右のRA301はホンダの第一期F1参戦最後の年、最終戦のメキシコ・シティを走ったマシンだ。この年、彼の父親であるロニー・バックナムはすでにF1を走っていなかったが、かつてインディ参戦も考えていたホンダは、当時の監督である中村良夫がどうしてもインディアナポリス・モーター・スピードウエイを走っておきたいと考え、最終戦のあとにアメリカへ。インディ500の経験者であるロニーにステアリングをゆだねた。つまり、ホンダF1の最初と最後のドライバーが、ロニーだったのである。「もう、子供が生まれたときと同じような、感動的な瞬間だった。昔、父さんが話してくれたいろいろなことが、頭の中を駆け巡ったね」と声を震わせるジェフ。「僕がレースを始めた頃に父さんは亡くなってしまったけど、今も見守ってくれているんだって思ったよ。みんなに感謝したい気持ちでいっぱいだ」。バックナムは初めてのインディのレースで、初日12位と好調な滑り出しを見せている。

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パイオニアの地元のレースで、昨年高木がドライブしたマシンと同じようなカラーリングとなったブリスコーのトヨタ・パノス。前戦のセント・ピーターズバーグでルーキーながらトップを快走して注目を集めたブリスコーが、このもてぎではどんな走りを見せるだろう。下の写真はチームメイトのディクソンだが、突如このレースにダラーラを投入してきた。参戦以来パノス(Gフォース)を使用してきたチームが、ここへきて大胆な変更を敢行してきたものの、果たして吉と出るかどうか。同じトヨタのペンスキーと対照的にガナッシ勢は振るわず、ブリスコーは18位、ディクソンは15位で初日を終えている。