<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第3戦「Hondaグランプリ・オブ・セント・ピータースバーグ」
日程:4月1〜3日
開催地:フロリダ州セント・ピータースバーグ
サーキット:セント・ピータースバーグ市街地特設コース
距離:1.81マイル(2.912km)
■■■4月2日予選■■■
天候:晴れ 気温:27.2℃ 時間:14:45〜(日本時間3日4:45〜)<初ロードコース・イベント、走行初日のプラクティスは2時間30分>——————
2005年の第3戦Hondaグランプリ・オブ・セント・ピータースバーグは、1996年にスタートしたIRLインディカー・シリーズにとって初めてのロードレースだ。そして、初めてのストリートコース・イベントでもある。走行初日の金曜日、サーキットは好天に恵まれた。午前中に全員が同時に走行する2時間のプラクティスが行なわれ、午後には2グループに分かれてそれぞれ30分ずつの走行を行った。
<直前にロードコース・テストを行い、態勢は万全>———————–
スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングは、レースを目前に控えた月曜日にHondaのテストに参加した。セント・ピータースバーグからフロリダ半島を内陸へと入ったところにあるセブリング・インターナショナル・レースウェイは、ストリート・コース用テストに最も適したサーキットとして知られている。松浦孝亮はパナソニックARTA/パノス・Hondaで1日の走り込みを行い、勇躍、セント・ピータースバーグへと乗り込んだ。
<順調な滑り出しで走行初日は8番手に>——————————
金曜日の走行初日の気温は28℃まで上昇し、湿度の非常に高いコンディションとなった。松浦は久しぶりのロードレースに向けて気合十分で、プラクティス1回目には10番手につけた。トップから11台は、午後のプラクティスを第2グループで走る権利が得られる。路面により多くのタイヤラバーが乗った第2グループは第1グループよりも確実に速いタイムを出すことが可能となる。速いドライバーが集まっていることで走行を邪魔される可能性も低くなる。それらの大きなメリットが得られる2グループ目に入ることを松浦とチームは目標とし、狙いどおりに達成したのだ。午後のプラクティスは30分と短いものだったが、松浦はさらにラップタイムを縮め、午前、午後の両プラクティスセッションのタイムを総合した結果、8番手につけた。この順位も実は重要な意味を持っていた。
IRLのロードレースルールでは、金曜日のタイムによって土曜日に行なわれる予選のアタック順が決まるのだ。速いタイムを出した者から順番にアタックするのか、あるいはその逆となるかは、金曜に最速タイムを記録した者に決定権がある。気候の変化がほとんどないと見られる場合、アタックはより遅い順番で行う方が有利だ。アタック順の決定権を持つこととなったエリオ・カストロネベスは、遅い順で行くことを申請。松浦14番目、後ろから数えて8番目でアタックを行うことに決まった。
<"ファスト6"入りは逃したが、7位グリッドを獲得>————————–
IRLのロードコース予選は、オーバル同様に1台ずつがアタックする。ただし、ウォームアップラップを1周行った後にアタックできるのはわずかに1周だけだ。そして、トップから6人は"ファスト6"と呼ばれ、ファイアストン・ファスト6という、6台が10分間一斉にタイムアタックを行う予選第2段階に進むチャンスを与えられる。松浦はこのシングルカー方式の予選で7番手につけた。あとひとつポジションが上であれば、ファイアストン・ファスト6に進むことができたパフォーマンスだった。今回、松浦より上位の6台は全員ダラーラシャシーであり、ロードコースにおける現在の完成度ではダラーラにわずかとはいえ確実なアドバンテージが存在していた。
スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングと松浦は、自らのエクィップメントから最大限の力を引き出して初めてのロードコースイベントに挑んでいるのだ。
明日のレースは、午後3時45分(日本時間4月4日午前4時45分)から全長1.81マイルのセント・ピータースバーグ特設コースを100周して争われる。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
予選はほぼノーミスで走れました。パノス勢トップはうれしいです
「いつもオーバルで1台ずつのアタックはやっているのですが、今回はロードコースでの1周のみのアタックでした。初めてのことなので、どういう難しさがあるのか、自分なりにいろいろと考えて予選に臨みました。タイヤウォーマーを使ったおかげで、いいラップタイムを出せました。パノスシャシー使用の中でトップタイムを出せたことは、自分でもうれしく思っています。ただ、ダラーラとパノスの間には少なからぬ差があるようですね。予選アタックはほぼノーミスで走り切ることができました。マシンのハンドリングはほぼ希望したとおりに仕上がりましたから。エンジニアのジョン・ディックも、決勝に向けて的確なセッティング変更をし、それがラップタイムに現れて来ていました」
<鈴木亜久里/チーム代表>
孝亮はとても落ち着いていて、ここまでいい流れの中で戦うことが出来ている
「F1と同じ1周のみというロードコースの予選は、緊張感があるし、とてもおもしろい。1周のみのアタックをどう決めるか。ミスをすれば取り返しはつかない。ドライバーは大変だけれど、見る側とすれば本当におもしろい。IRLインディカー・シリーズの作った新しいシステムから考えて、トップ6に入るのが第一の目標になる。その権利を得れば、ポールポジションのチャンスが得られるわけだからね。でも、ドライバーとすれば、思い切りアタックしなければならない反面、トップ6を確実に狙いたくもある。そのあたりがすごく難しい。慎重に走り過ぎればトップ6に入れない可能性も高くなるから。トップ6に入った6台が一斉に走る予選第2ステージは、また新しいタイヤで最速を決める。よく考えられた予選システムだと思う。1台ずつのタイムアタックとは見た目からしてまったく違う上に、10分という短い時間のわりにはポジションの入れ替わりは激しいので、ファンとしては最後に誰がトップになるのかがわかりにくく、とてもスリリングな予選になっていると思う。孝亮は今回のレースウィーク中は、とても落ち着いているし、昨日の走り始めからミスらしいミスをしていない。いい流れの中で予選までを戦うことができているよね。パノスの中でトップタイムを出せたとおり、なかなか良い走りをしている。他のパノスドライバーたちは自分でミスをして落っこちちゃっているところもあったのに、コウスケはミスなく予選も走っていた。もちろんコウスケより上に6人がいたのだから、その部分では改善の余地はあるわけだけれどね。予選ではタイヤは新しくできるし、燃料もギリギリしか積まないからマシンは軽くなる。ラップタイムは必ず良くなるのだから、無理をしないで走れ、というアドバイスを走る前に孝亮にはした。普通どおりに走ればいいんだって。予選だからと気負い過ぎちゃうと、ブレーキングで稼ごうと奥まで突っ込み過ぎちゃったりして、その結果としてアクセルを踏み込むタイミングも遅れてしまう。明日のレースでは、抜きにくいコースだし、イエローフラッグも多く出るはずなので、ピット勝負という感じになるだろう。ピットでどれだけポジションを上げられるかが結果に大きく繋がって来ると思う。そして、最後のスティントが本当の勝負になる。ブレーキもキツいし、ドライバーのミスはどんなチームにも起こり得る。ドライバー、ピットなど、総合力に勝るチームでなければ上位フィニッシュは無理だと思う」
<サイモン・ホジソン/チーム・マネジャー>
コウスケの能力の高さを再認識した予選だった
「予選でトップ6に入れなかったことは本当に残念だ。100分の4秒ぐらいの差で僕らは7位になった。しかし、コウスケのドライビングは素晴らしいものだったし、彼の能力の高さを今回また新たに感じさせられた。今年の2戦に比べて、コウスケはより冷静に走ることができている。エンジニアとのコミュニケーションも良く、走行を重ねる度にマシンを良くすることもできた。二人で的確な判断を重ねた結果、マシンはとても良い状態に仕上がった。パノスのトップとなれたことは、我々のチームの力を示すことになったと思う。エンジニアたちはシャシーの持っている能力をフルに引き出していた。この結果にはセブリングのテストが大きなプラスとなっているのは間違いない。テストでトライした項目がパノスシャシーの持っている力を引き出すことに繋がったし、今回のレースウィークエンド中にはまだ試していなかったセッティングにもトライし、それによってマシンをさらに向上させることができた。エンジニアのジョン・ディックは、開幕前のテスト、今週のレースを直前に控えて行なわれたHondaのマニュファクチャラーズテスト、そして今回のプラクティス走行でえられたデータを基にして、とても良いマシンを作り上げて来た。今週のスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングの働きぶりにはおおいに満足している。ダラーラが速いのは、強力なユーザーチームを有しているからだ。パノスのロードコース用マシンは、我々の希望したショートホイールベースとはならなかった。そのことが多少の不利に繋がっているという可能性も十分に考えられる。しかし、次のロードコースイベントでは、より高いパフォーマンスを発揮するマシンを作りたい」