<US-RACING>
トップ6でのタイム・アタックを制したのは、ベテラン・ドライバーのハータだった。前戦に続き2戦連続のポール・ポジション獲得と勢いにのるハータだが、ストリート・コースに関しては、やはりチームの誰よりも経験があるだけに、今回のような予選方式で見事トップタイムを記録した。ハータといえばCARTに参戦していたときからオーバルというよりは、ロード・コースでの活躍が目立っていた。特にラグナ・セカでは1998、1999年と2年連続ポール・トゥ・ウインを飾っている。得意なコースでの速さは折り紙つきだが、明日のレースでも再びポール・トゥ・ウインを飾ることができるだろうか?
午前のプラクティスでは、10番手のタイムを記録した松浦。期待された午後の予選では自身のタイム・アタック終了の時点で3番手となった。しかし終わってみれば、ホーニッシュJr.にわずかにおよばず7番手となり、惜しくもトップ6のタイム・アタックに挑むことができず、初のストリート・コースの予選を7位で終えた。「このような予選は今までにやったことが無かったのですが、タイヤ・ウォーマーもあったおかげでいいタイムを記録できました。Gフォースの中ではトップ・タイムだったので凄く嬉しく思います。でもダラーラとマシンの差は少し感じているので、今後のGフォース勢でその差を縮めていくことを考えていかなければと思います」と、記者会見で今日の結果振り返る松浦。明日のレースでは上位でのフィニッシュに期待したい。
昨日の午後のセッションを走行できなかった安川は、今日の午前のプラクティスが2回目の走行となった。他のチームが予選のセッティングを試す中、このセッションではレースのセッティングを中心にしなければならなかった安川。午後の予選では、チームもタイヤ・ウォーマーをこのような形で使用するのは初めてとなるだけに、経験不足からちょっとしたミスを起こしてしまった。「本来ならタイヤの内圧をもっと上げなければならないのですが、同じような内圧で出て行ったため、チェッカー・フラッグを受けてからやっとグリップし始めた状況になってしまいました」と本人。「自分自身もやっとコースのことを理解してきたかなというところで終わっているので、明日は頭を切り替えてレースでは完走することを大切にし、トップ10内に入ることを目指していきたいです」と、開幕戦から2戦連続でリタイアに終わっている安川は、完走、トップ10内でのフィニッシュを狙う。
ストリート・コースで初めての予選となるIRL。予選方式も独特なものとなり、オーバル同様1台ずつ、1周のウォーム・アップ走行後に1周だけのタイム・アタックという緊張感のある方法を取り入れた。その後、トップ6だけが再度10分間のアタックを行い、ポールポジションを争うという変化に富んだ予選となる。1周だけのウォーム・アップ走行では、タイヤが温まらずにグリップしないのは周知のとおりで、各チームはタイヤ・ウォーマーを導入してタイム・アタックに挑んでいた。チャンプ・カー、IRLを中心にアメリカのレースを取材してきて今年で6年目となるが、タイヤ・ウォーマーを使用した予選は今回が初めてだと思う。F1では常識かもしれないが、IRLのロード・コースのレースで、今後この光景が当たり前のようになるのだろう。
IRL初のストリート・コースでのレースを記念して、ドライバーの集合写真をターン1で撮影した。IRLにとって、ハンドルを右に切って最初のターンに進入するスタートは、明日のレースが初めてとなる。写真中央に座っているのは、CART時代にチーム・グリーンのオーナーとして活躍したバリー・グリーン。2002年の途中で弟のキム・グリーンとマイケル・アンドレッティにチームを売却し、サーキットでその姿を見かけることが少なくなっていた。そういえば、2002年にインディ500に参戦したチーム・グリーンは、ドライバーのポール・トレイシーがイエローコーションで終了したレースで最初にチェッカーフラッグを受けていたのだが、このイエローコーションが発生した瞬間はカストロネベスがトップを走行していたとIRLが判断し、カストロネベスの優勝になるという大波乱があった。イエローコーションが発生した瞬間を知らせるシステムに問題があったのだが、そのIRLの判断にオーナーのバリー・グリーンは怒り心頭。提訴して結果を正そうとしたが、結局カストロネベスの優勝は揺るがなかった。その後、チーム・オーナーから身を引くことになったグリーンが、今回イベント・プロモーターとして、再びIRLのレースに関わることになるとは想像もしなかった。この記念撮影では、バリー・グリーンの隣にIRLのCEOトニー・ジョージが座っている。過ぎたことはともかく、今回のレース成功を願う気持ちは、ともに変わらないのは確かだ。