<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第1戦「トヨタ・インディ300」決勝
■■■イベントデータ■■■
【日時】3月6日
【開催地】フロリダ州ホームステッド
【サーキット】ホームステッド・マイアミ・スピードウェイ
【距離】1.5マイル (2.414km)×200周
【セッション】決勝
【天候】快晴
【気温】23℃
■■■決 勝■■■
<ピットストップも素早く、3位を走行>——————–
待ちに待った2005年IRLインディカー・シリーズの開幕戦が暖かなフロリダ州マイアミ郊外のホームステッド・マイアミ・スピードウェイで行われた。パナソニックARTA/パノス・Hondaに乗る松浦孝亮は、15番手グリッドからスタート。燃料補給だけを行った1回目のピットストップ後、松浦は3位までポジションを上げ、その後もトップ5を十分に狙える走りを続けていた。しかし、残り30周あまりとなった159周目のリスタートで松浦はアウトへと押しやられ、タイヤかすに乗ってスピン。開幕戦はクラッシュによるリタイア=12位という悔しい結果となった。
昨シーズンの開幕戦は、松浦にとってまったく初めてのインディカーレースだったが、ルーキー最上位となる11位フィニッシュを達成。参戦2年目となる今年は、開幕からトップコンテンダーとして戦うことを目標に掲げ、その通りの戦いぶりを見せていた。
<強い日差しの下でグリーンフラッグは振り下ろされた>——————–
ホームステッド・マイアミ・スピードウェイは、南国ムードに満ちたマイアミのダウンタウンから南に約30マイルほど下ったところにある。バンクの最大傾斜角は20度と大きく、バンクと2本の長いストレートを持つ1.5マイルのコースでは、インディカーならではのサイド・バイ・サイド、テール・トゥ・ノーズの接近戦が展開される。まだ3月初旬だが、ホームステッドは半袖でも過ごせるフロリダ半島最南端ならではの暖かさ。松浦は、今年初めてのレースを前に適度の緊張感を漂わせ、頬を紅潮させてパナソニックARTA/パノス・Hondaのコクピットに収まった。午後2時20分、スタートを告げるグリーンフラッグがはためいた時、風が昨日までよりも強く吹いていたものの、サーキットには肌を焦がすほどの強い日差しが照りつけていた。
<難しいコンディション下で素早くポジションアップ>——————
路面温度が高くなると、空気の密度が下がってマシンが生み出すダウンフォースの量が減る。路面に乗ったタイヤラバーが浮き出し、タイヤのグリップレベルも低くなる。しかし、状況に合わせた的確なセッティングを施したチームのマシンが、ホイール同士を接触させんばかりの緊迫した超接近バトルを見せた。
松浦は、前を走るマシンが作り出すタービュランス(=乱気流)内でキレの良いドライビングを見せ、15番グリッドからのスタートだったが、6周で11番手までポジションアップ。10番手で入った1回目のピットストップでは、作業が迅速だったことで一気に6番手まで浮上した。松浦の前を走っていたのは、ピットに入らなかった3人を除くと1人だけだった。
<緊迫した終盤の戦いで有力ドライバーたちを次々とパス>——————
レース中盤の松浦は、トップ10圏内を保って周回を重ねた。レースの折り返し点である100周目での順位は9位。149周目に5回目のピットインを行った後には6番手という好位置に着けていた。そして迎えた159周目のリスタート。松浦は絶妙のタイミングで加速を開始し、すぐ目の前を走るトーマス・シェクターにアウトから仕掛けた。しかし、ここでシェクターのイン側、前方には周回遅れのエド・カーペンターがおり、松浦は3ワイドの一番外側を走ることとなった。松浦はシェクターをターン1で抜き去ったが、インへとラインを下げようとしたところでリヤタイヤがグリップを失い、スピン。シェクターに接触し、さらにはもう1台とヒット。リタイアとなった。結果は悔しいものとなったが、05年開幕戦のホームステッドにおいて、松浦は昨シーズンの経験を存分に生かした戦いぶりを披露した。マシンの戦闘力は十分に高く、体制を強化したチームも、ピットストップで期待にたがわぬパフォーマンスを発揮した。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
結果は残念だが自分たちの速さを十分に見せることができた
「ダウンフォースを多めにしたセッティングによってハンドリングはとても良いものになっていました。クラッシュでのリタイアとなってしまいましたが、あそこはもう勝負どころなので仕方がなかったと思います。ダウンフォースをつけていたので、あそこから先はイエローが出る可能性も低かったし、リスタートで抜きたかったのです。周回遅れのエド・カーペンターが間に入っており、彼がいることによって、前を行くグループに離されたくはないと考えていたので。いいリスタートが切れて、カーペンター、トーマス・シェクター、自分の3人が斜めに並んだ状態でストレートを走って、ターン1に入ったところでは自分が一番速くて、彼らの前に出ることができました。もうあそこはアクセルを抜くことはできない状態でした。シェクターにマシンを寄せられたのでダストに乗り、タイヤがグリップを失ってしまったんだと思います。結果は残念なものとなりましたが、自分たちの速さを十分に見せることのできたレースだったと思います。トップ3に食い込めるようなレースを戦えたと思います。悪くてもトップ5に入れたマシンになっていました。チームも本当に頑張ってくれて、ピットストップはどれも速かった。第2戦からの戦いが楽しみになるレースでした」
<鈴木亜久里/チーム代表>
あのアクシデントは仕方がない
「あのアクシデントは仕方がない。しかし、カーペンターはラップダウンしていたのだから、もっとインを走るべきだった。孝亮にはいい勉強になったと思う。あの時点までの戦いは、無理をする必要もないし、流れのままに走っていれば良かった。孝亮はそういう走りをしてトップ6で終盤を迎えた。ただ、セッティングの性格上、単独走行でのスピードは少し遅かった。トラフィック内では速かったので、トップグループに入ることができていれば、その中のバトルで前へと出ていくことも可能だったと思う。今日のレースでは、ピットがノーミスで、プロフェッショナルな仕事をしていた。去年に比べて、その点は大きくステップアップができていると確認できた。第2戦のフェニックスは今回とは違ってショートオーバルだが、いい戦いができると思う」
<サイモン・ホジソン/チーム・マネジャー>
戦えるという感触をつかめたレースだった
「素晴らしいレースを戦えた。シェクターは簡単にパスさせてくれない相手だが、コウスケはとても良いリスタートを切って、彼より前に出ることができていた。しかし、タイヤかすか、コース外側のほこりに乗ってしまったのだろう。しかし、すでにシェクターをパスしていたコウスケには、あの時点でアクセルを戻すことはできなかったし、そうする必要もなかった。アクシデントによるリタイアという結果は残念だが、悪い面を見ているだけでは進歩することはできない。今日のレースでのマシンはとてもハンドリングが良く、トップグループを走り続けることができていた。優勝できるマシンではなかったかもしれないが、トップ5は間違いなく狙えていたはずだ。トラフィック内でのコウスケのラップタイムはトップと変わらないものになっていたからね。ピットストップも良いタイムでこなせていた。燃費も十分に戦えるレベルになっていた。残り30周というところでのアクシデントは、勝負に出るべきところだったので仕方がない。コウスケも、チームも『戦える!』という感触をしっかりとつかむことができた。残念ではあったが、明るい兆しを感じられるレースだった」