INDY CAR

エイドリアン・フェルナンデスが初優勝、Hondaは10連勝目を1位から7位独占で飾り、2004年マニュファクチャラーズ・タイトル獲得を決定


終盤戦を迎えているIRL IndyCarシリーズは、全16戦の第11戦をアメリカ南部ケンタッキー州スパルタのケンタッキー・スピードウェイで開催。Honda Indy V-8を搭載するエイドリアン・フェルナンデス(フェルナンデス・レーシング/Gフォース)がIRLでの初優勝を飾った。Hondaは第2戦フェニックスから10連勝目を1位から7位までを独占する圧倒的パフォーマンスで飾り、エンジン供給を行う自動車メーカーに対して用意されているIRLマニュファクチャラーズ・タイトル獲得を決定した。昨年から同シリーズへの参戦を開始したHondaにとって、マニュファクチャラーズ・タイトル獲得は今年が初めてとなる。

エイドリアン・フェルナンデスが初優勝
Hondaは10連勝目を1位から7位独占で飾り、2004年マニュファクチャラーズ・タイトル獲得を決定
松浦孝亮が自己ベストの4位でフィニッシュ
HONDA MEDIA PRESS RELEASE

▽2004年8月16日

決勝日:8月15(日) サーキット:ケンタッキー・スピードウェイ 天候:快晴 気温:31℃

終盤戦を迎えているIRL IndyCarシリーズは、全16戦の第11戦をアメリカ南部ケンタッキー州スパルタのケンタッキー・スピードウェイで開催。Honda Indy V-8を搭載するエイドリアン・フェルナンデス(フェルナンデス・レーシング/Gフォース)がIRLでの初優勝を飾った。Hondaは第2戦フェニックスから10連勝目を1位から7位までを独占する圧倒的パフォーマンスで飾り、エンジン供給を行う自動車メーカーに対して用意されているIRLマニュファクチャラーズ・タイトル獲得を決定した。昨年から同シリーズへの参戦を開始したHondaにとって、マニュファクチャラーズ・タイトル獲得は今年が初めてとなる。
今週末のケンタッキー州スパルタはレース観戦には最高のコンディションが整っており、グランドスタンドには6万1000人を超すファンが集結。オープンホイールならでは、そしてインディカーならではのスリリングなアクションとスピードを堪能した。
レース序盤は予選2位からスタートしたトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)に予選4位からスタートしたフェルナンデスがピタリとつける形で展開。フェルナンデスがピットストップでポジションを落とすと今度はポールポジションからスタートしたバディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)がトップ争いへと復活し、カナーンと競い合った。
フェルナンデスはレースが終盤を迎えてから猛チャージ。152周目にトップの座を奪うと、その後は食い下がるライス、そして予選11位からポジションアップして来たダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)を突き放し、残る48周を走り切ってチェッカーフラッグを受けた。
この結果、2位ライス、3位ウェルドン、4位に自己ベストでフィニッシュした松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Gフォース)、5位カナーン、6位ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)、7位ヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)となり、Honda Indy V-8勢が1位から7位までを独占する結果となった。
フェルナンデスは今シーズンの第2戦目フェニックスからIndyCarシリーズに参戦。10戦目にしてキャリア初優勝を達成した。2位となったライスとの差は0.0581秒差。これはIRL IndyCarシリーズでの歴代9位にランクされる混戦でのフィニッシュとなった。3位となったウェルドンもフェルナンデスから0.1719秒という僅差でのゴールだった。
松浦孝亮は予選10位から粘り強いレースを戦い抜き、キャリアベストとなる4位でゴールした。レース前半には15位までポジションを落とした時もあったが、燃費をセーブする走りを心がけながら、コクピット内でハンドリングを修正させ、徐々に順位を上げていった。そして、残り53周で切られたリスタート時には10位を走っていながら、強敵を次々とパスして183周目に4位へと浮上。ウェルドンに激しくチャージを続けながらも最後まで粘り、4位でゴールラインを横切った。松浦のポイントスタンディングは13位で変わらないが、今回のレースで32点を加算。ルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得に向け、ルーキー2位につけているエド・カーペンター(レッドブル・チーバー・レーシング)とのポイント差を37点から45点へと広げた。
ドライバー部門のポイント争いでは、今回5位でフィニッシュしたカナーンが獲得ポイントを433点へと伸ばしてトップを維持。今日2位でゴールしたライスは、カナーンとの差を67点から50点に縮める2位につけている。3位で今回のレースをフィニッシュしたウェルドンはカナーンから87点差、ライスから37点差の3位。ここまで全員がHonda Indy V-8使用だ。優勝したフェルナンデスは、ランキングを12位から9位まで3つアップ。Hondaドライバーはランキング・トップ10に7人が食い込んでいる。

 

●エイドリアン・フェルナンデス(決勝優勝)
「Hondaのタイトルに貢献できて嬉しい。前戦までの我々は自分たち自身が目指す仕事ができておらず、Hondaの期待に応えることもできていなかった。こうして今回優勝することができ、それがHondaの初タイトル決定につながったのだから最高だ。Hondaは我々を長年サポートしてくれている偉大なるパートナーだ。僕は今年の第2戦からIRLに参戦した。シーズン前のテストも一切ない状態だったため、マシンにもレースにも慣れるのには時間がかかった。ライバルたちを追いかけるゲームを続けて来たが、第11戦の今回、やっと勝てるマシンに仕上げることができた。今後はさらに優勝を重ねることは可能なはずだ。そのためにもハードワークをこれからも続けて行く。今日のレースではコウスケも好結果を手にした。僕と似たセッティングにしたのは正しい判断だった。コウスケの初優勝も僕は楽しみにしている」
 
●バディ・ライス(決勝2位)
「レース前に施したセッティング変更は正解だった。優勝はできず、2位となったけれど、とても素晴らしいレースを戦えた。今日、Hondaは初のマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得した。これは僕らにとって本当に喜ばしいことだ。序盤の僕らはどのようなレース展開となるのかを伺う戦い方をしていた。燃費も気にしながら、最後に訪れる勝負の瞬間を待っていた。フェルナンデスのチームは今回のレースで強力なマシンを作り上げていた。レース終盤はコースの一番低いラインを走るのが一番速く、フェルナンデスはそのポジションをキープしていた。彼を抜くのは難しく、最後までアタックを続けたが、オーバーテイクは実現できなかった。それでも、僕らはトニー・カナーンとの間にあるポイント差を減らすことができた。来週のパイクス・ピークでも僕らのマシンは速いはずだ。まだシーズンは5戦が残されている。最終戦のテキサスでドライバーズタイトルは決着することになるだろう。そこまでにどれだけの戦いができるかにかかっている」

●ダン・ウェルドン(決勝3位)
「正直なところ、今日の僕らは3位が精一杯だった。優勝を狙ってアタックを続けたけれど、あの1列のラインを外れてオーバーテイクをするのは難しかった。アウトからのパスは不可能だったと思う。だから今回は3位入賞で満足することにする。もちろん勝てればそれが最高だけれど、3位はチームにとって素晴らしい結果だったと思う」

●松浦孝亮(決勝4位)
「4位入賞は本当に嬉しいです。序盤にはアンダーステアが出たり、ターン4でのクルマがオーバーステアになったりで大変でしたが、様子を見ながら、燃費もセーブしながら走っていました。とにかく周回遅れにならなければチャンスは必ず来ると考えていまいた。残り53周で切られたリスタートで何台もパスすることができましたし、最後はスピンをしてもいい、壁に当たってもいい、ぐらいの気持ちでアクセルを緩めずに走り、なんとか4位まで行くことができました。6速ギアが少しショート過ぎ、リミッターに当ったままで1周を走らなくちゃいけない状態だったので、今回は4位までが精一杯でしたね。トップ5入りをこうして初めて果たせたので、今度はトップ3を目指します。そして、トップ3に入った後に、初めて優勝が狙えると思います。トップ3を続けていれば、優勝のチャンスは来るはずです。今回はチームメイトのエイドリアン・フェルナンデスが優勝しましたし、チームとしてのモチベーションは今後に向けて凄く上がると思います。クルマもレイホール・レターマンに劣らないくらい良いものに仕上がって来ていますから、来週のパイクス・ピークでも頑張ります」

●和田康裕 HPD社長
「今回はエイドリアン・フェルナンデスが最後まで踏ん張り、頑張って逃げ切って優勝してくれました。バディ・ライスの攻撃から逃げ切ったのだから大したものです。IRLでは彼にとって初優勝だし、新しい勝者が出るのはいいことです。加えて、松浦孝亮も4位でゴールし、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを取るに相応しいフィニッシュが初めてできましたね。今回のレースでは、燃費でのアドバンテージがあったようですが、パワーはかなり近づきましたね。パワーと燃費のバランス、総合力でまだ少しのリードを持てていると思います。これで初めてのタイトルを獲得できたわけですが、今後も残るレースすべてを勝つぐらいの気持ちで進んで行くつもりです。レースもシリーズも違いますが、Hondaは1988年のF1で16戦15勝という数字を残しています。今シーズンの残り5戦すべてで勝つことができれば、大先輩が成し遂げた大偉業に我々は数字で並ぶことができるわけです。そこに魅力を感じないわけではありません。タイトルは獲得しましたが、今シーズンの最終2戦では、より大きなパワーを発揮するエンジンを用意することも考えています。今シーズン中に投入することができれば、そのデータは来年にも繋がるということですからね」

●福井威夫:本田技研工業株式会社 代表取締役社長
「IRL参戦2年目にしてエンジン・マニュファクチャラーズ・タイトルを取ることができ、とても嬉しく思います。ドライバーやチーム全員が大変頑張ってくれたおかげで今シーズンはこれまでのところ、念願のもてぎ、また伝統のIndy 500での勝利も含め、10連勝とまさに理想的な展開となりました。残されたレースもファンの皆様のご期待に沿えるよう、この勢いで勝ち続けていきたいと思います。皆様のご声援ありがとうございました」

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