INDY CAR

苦しい戦いながらも2戦連続の11位フィニッシュ


アリゾナ州フェニックス郊外のフェニックス・インターナショナル・レースウェイは"デザートジュエル"と呼ばれるオーバルコースだ。創業は1964年、全長は1マイル。そして何より、このショートトラックは攻略の難しさで名を馳せている。両サイドでコーナー半径もバンク傾斜角も異なっているため、マシンのセッティングもドライビ ングもハイレベルのものが要求されるのだ。
苦しい戦いながらも2戦連続の11位フィニッシュ。そして、2戦連続のルーキー最上位を獲得!

▽2004年3月22日

■日時:3月21日(決勝)
■開催地:アリゾナ州エイボンデイル
■サーキット:フェニックス・インターナショナル・レースウェイ
■天候/気温:晴れ/35℃

アリゾナ州フェニックス郊外のフェニックス・インターナショナル・レースウェイは"デザートジュエル"と呼ばれるオーバルコースだ。創業は1964年、全長は1マイル。そして何より、このショートトラックは攻略の難しさで名を馳せている。両サイドでコーナー半径もバンク傾斜角も異なっているため、マシンのセッティングもドライビングもハイレベルのものが要求されるのだ。

公式練習の開始された金曜日にはマシンのハンドリングが大幅にアンダーステアだったが、その症状を松浦孝亮は土曜日午前のプラクティスで改善し、午後の練習走行で予選グリッド10位を獲得。20台出場の10位。まさに集団のど真ん中からスタートすることになったのだ。スタート直後からダービュランスの真っただ中を走るのはインディカー2戦目の松浦にとっては初めてだったが、序盤からスターティングポジションを守ってのレースを続けた。17ラップで周回遅れが生まれる中、松浦も39周目にラップダウンとなった。しかし、レースが進むに連れてペースが上がっていき、終盤にはポジションを争ってのバトルを行った。1回目のピットストップを行った後の松浦は11位を走行。しかし、フルコースコーションが出された82周目にチームは給油のため彼をピットへと呼び入れた。これでポジションは13位まで落ちた。もちろん、ここでピットに入ったのは、展開次第で序盤に失った周回遅れを挽回することが可能と考えたからだ。

しかし、今回のレースはそうした展開にはならなかった。ゴールまで無給油で走り切ることのできる周回数でちょうど良く3回目のフルコースコーションが発生し、ポジションをゲインすることはできないままにレースは終盤を迎えた。
 
レースも大詰めを迎えようという181周目、ターン4で3台がクラッシュ。14位を走行していた松浦のポジションは12位へとアップする。そして、残り9周で切られた最後のリスタートで松浦は目の前を行くマーク・テイラーをパス。開幕戦に続く11位でフィニッシュした。優勝したトニー・カナーンからは2ラップダウンとなったが、抜きつ抜かれつの戦い、そして、フルコースコーションが少なくハイペースで進んだレースを走り切ったことは、大きな自信に繋がった。

11位は今回もルーキーの中では最上位。松浦の獲得ポイントは38点に伸び、ランキング13位、ルーキーランキングのトップにつけている。

●松浦孝亮
「初めて集団の中を走って、レースのやり方がわかってきた。次のもてぎでこれまでの2戦以上の結果を出す自信が得られた」
「スタートからの走り始めはハンドリングが良かったんですが、序盤からプッシュしてもしょうがないかな? と思って様子を見ていたらバランスが悪くなってしまいました。多分タイヤのプレッシャーが高過ぎたんだと思います。1回目のピットストップに入るまではすごく乗りづらくて、どんどん抜かれてしまって苦しかったですね。ハンドリングがオーバーステアで、ターン4の出口でリアがとてもナーバスになっていました。それでも、レース中にセットアップを変えたりだとか、タイヤのプレッシャーを変えていって、最後のスティントはすごくいいペースで走れました。最後のリスタートでマーク・テイラーを抜くことができて、ルーキー最上位フィニッシュになりました。テイラーをパスした時のような走りを最初からできればよかったんですけどね。今回は初めて集団の中で走って、色々と学んだ事がいっぱいありました。周回遅れになったら譲らなきゃいけないと考えてましたが、周りのドライバーを見ていたら譲っていなかった。やっとレースのやり方がわかってきました。開幕戦は一人で走っている時間が長かったので、そのあたりがわかりませんでした。フィジカル面も全然問題はなかったし、今回こうして2戦連続で走り切ることができ、とても落ち着きましたね。次のもてぎでは、これまでの2戦以上の結果を残せる自信がつきました」

●鈴木亜久里 チーム代表
「厳しい展開ではあったが、孝亮は戦っていた。いろいろなものが吸収できたレースだったと思う」
「厳しいレースになってはいたけれど、孝亮はレースをしてた。戦っていたよ。今日はタイヤのプレッシャーが悪くて序盤はハンドリングが悪かったって言っていたけれど、抜かれ方も抜かせ方もすごく勉強になったと思う。そんなに抜かせるなってレース中には伝えた。抜きたいヤツは勝手に抜いていくんだし、無理無理入って来たらどけばいいんだから。あんなにいっぱい開けて「どうぞ」ってやることはない。誰もそんなことしてるやつなんていないんだから。孝亮もそれはレース中に周りのクルマを見ていてよくわかったみたいだね。孝亮は今日のレースで色んなものを吸収できたと思う。この前のホームステッドよりも安心して見ていられた。2戦完走してだいぶ自信がついたんじゃないかな。一足飛びでおぼえるものじゃなく、体でちょっとずつ覚えていくものだからね、こういうレースは。今日もルーキーで一番になったのも良かった。孝亮はカートを長くやってたから、リスタートでのタイミングの合わせ方はよくわかってる。最後のリスタートでは、「絶対に前のクルマを抜け」、「2台いけ」って指示を出した。孝亮は1台をパスして、次も抜けそうなところまで行ったけど、ラインを邪魔されてパスはできなかった」

●トム・アンダーソン マネージング・ディレクター
「刻々と変わる条件の中で、コウスケはすばらしい戦いぶりを見せてくれた」
「フェニックスはインディカー・シリーズの中でも最も難しいコースだ。オーバーテイクをする場所はあるが、コース1周を並んで走り続けるのは不可能だ。トラフィックに遭遇した時にインとアウト、どちらのラインを採るかの判断は難しく、パスをし損なうとスピードが下がってしまい、後ろを走っていたドライバーにパスを許してしまう。そういうシーンが今日のコウスケのレースでは何度かあった。しかし、そうしたことを学んでいくのも今回のレースのテーマだった。終盤のコウスケはラップタイムも良く、彼の前を走っている数人よりも速かったが、ラインを譲ってはくれず、パスを実現することはできなかった。今日のコウスケはインディカーをより速く走らせること以上に、レースの戦い方を学んだ。暑さ、風、路面のコンディション、どれもがレースを難しくしていた。オーバルレースでは刻々と路面も風も変化する。それは海のようなものだ。波や風が航海を難しいものとするのに似ている。そうした中でコウスケは素晴らしい戦いぶりを見せてくれ、それが2連続でルーキー最上位フィニッシュにつながった。彼の戦い、そして進歩を私は誇りに思う」