2004年IRLシリーズ開幕戦の予選が、フロリダ州マイアミにあるホームステッド・マイアミ・スピードウェイで行われ、今シーズンからIRLインディカー・シリーズに参戦する松浦孝亮は、予選18番手から開幕戦の決勝に臨むこととなった。
松浦孝亮、予選18番手でインディカー・シリーズ初陣に臨む
▽2004年2月29日
■日時:2月28日
■開催地:アリゾナ州エイボンデイル
■サーキット:フロリダ州 ホームステッド
■天候/気温:晴れ/22℃
2004年IRLシリーズ開幕戦の予選が、フロリダ州マイアミにあるホームステッド・マイアミ・スピードウェイで行われ、今シーズンからIRLインディカー・シリーズに参戦する松浦孝亮は、予選18番手から開幕戦の決勝に臨むこととなった。
2004年IRLインディカー・シリーズ開幕戦の初日の金曜日からスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングのルーキー、松浦孝亮は走行を開始した。この日は45分のプラクティスが午前、午後の2回行われ、いずれも第1グループがルーキーと昨年度の獲得ポイントの少ないドライバーたちで、第2グループが03年のランキング上位ドライバーたちとされていた。
今年も金曜のプラクティスではどのチームもレース用セッティングをメインに行っていた。午前中にベースセッティングを確認し、午後には集団の中でのハンドリングチェック、燃料が満タンから空になるまで走るロングランをプログラムしているところが多かった。
松浦はルーキーである上、チームもGフォースという新しいシャシーをより深く理解すべき段階にあるため、午後のプラクティスになっても単独走行が多く、ドラフティングを体験したりする機会は少なかった。松浦の初日のベストラップは、午前中が19番手であったが、午後は24秒8967までタイムを縮めて13位につけた。
予選日午前中のプラクティスはどこのチームも主に予選シミュレーションに充てていた。しかし、松浦はさらにレース用セッティングを煮詰めることに時間を費やした。土曜の予選日は、午前中こそマイアミらしからぬ肌寒さとなったが、午後には天候が回復し、昨日までと変わらない22℃という初夏のような気候の下、予選タイムアタックがスタートした。
エントリーは19台。1台ずつが2周アタックするアメリカンスタイルで順位は争われる。アタックの順番はくじ引きによる。パナソニックARTA/Gフォース Hondaを駆る松浦孝亮は8番目のアタッカーとしてコースイン。25秒1456=平均時ャ212.602mph(342.076km/h)をマークし、初陣のスターティンググリッドは18番手に決まった。
ポールポジションはチーム・レイホールのGフォース Hondaに乗るバディ・ライスが獲得し、フロントロウ外側にはチーバー・レーシングのアレックス・バロンがつけた。出場19人の実力は拮抗しており、ポールポジションからコンマ6秒内に全員が収まった。
●松浦孝亮
「明日のレースは先輩のドライバーの走りを学びながら走ってチャンスがあると思ったらそこから勝負して行きたい」
「もっと行けると思ってましたね。昨日の2回目の公式練習で24秒8まで行けてましたから。レース用のエンジンを載せたので、もう少しタイムを削れると考えてたんですけど、何が原因なのか、気温なのか、そのほかのコンディションなのかはわからないんですが、コンマ2秒ぐらい落ちてしまいました。フィーリング的にも少しクルマが変わってました。天候、気温、風向きでいろんなことがこんなにすごく変わるんだなと強く感じさせられた1日でした。予選に向けてのセットアップがなかったっていうのが自分たちのこの予選の順位の原因だと思います。予選用のシミュレーションは一度もしてませんでしたし、燃料を軽くして走ったのも予選が初めてでした。トップカテゴリー、そして初めてのビッグレースだし、シングルカーでの予選アタックも今まで経験したことがありませんですから、もっと緊張するかと思ってたんですけど、まったくといっていいほど緊張はしませんでした。予選はアッという間に終わってしまいました。昔からプレッシャーには強い方だと思います。とにかくリラックスしていかないと、周りが見えなくなってアクシデントを招いたりだとか、ミスに繋がったりすると思います。今は自分で自分をダブルチェックしながら進んで行くぐらいでいいんじゃないかなと思っています。自分で自分をコントロールしながら、焦って熱くならないように、自分自身を抑えられているということはすごくいい状態だと思います。ポールを取っちゃうと明日緊張してしまうんで、後ろから先輩のドライバーを見て勉強しながらレース最初の150周は走るつもりです。とにかくレース、200周を早く自分の物にしたいですね。レースに向けてテストからずっとセッティングをいろいろとトライしてきてるので。ドラフティングとか未知の部分はあるし、そうした中でのセットアップはまた違うとも思います。自分もその辺はまだ把握しきれてない部分があると思うので、開幕戦を自分のテストだと思って走ります。テストというと聞こえが悪いかもしれないですけど、まずは少し最初の100周は勉強して、いけるチャンスがあると思ったらそこから勝負して行きたいですね」
●鈴木亜久里 チーム代表
「孝亮はマシンさえ仕上がればもっといい走りができる決勝はオーバルレースの経験をできる限り積んで欲しい」
「去年までと違ってテストが4日間と非常に少ない中でここまで来て、シャシーをダラーラからGフォースに変えたことでトラブルが出たりもした。孝亮はドライバーとしての仕事、アクセルを踏むことはできているので、クルマが決まってくれば、もっといい走りができると思う。今日は全開では走れていたけど、まだアンダーステアが少し出ていたし、ギヤ比が少し高すぎて、引っ張り切れていなかった。ギヤのチョイスのミスがチームにあった。風とか気温とか、チームとしての読みが完全にコンディションに対して合っていなかった。明日のレースは、孝亮がこれまでヨーロッパなどでやって来たものとは違う。着実にオーバルのレースを理解していくというスタンスでレースを戦わないといけないと思う。オーバルのレースを自分の体で体験して、抜き方でも抜かれ方でも、ラインの採り方でも、とにかくできる限りの経験をたくさん積む、そういうレースをして、早くオーバルで戦えるドライバーになって欲しい」
●トム・アンダーソン マネージング・ディレクター
「決勝は予選順位以上のポジションでフニッシュしたいレースを戦う中で順位以外も我々は多くのことを向上させられるはずだ」
「今日見せたよりも我々のポテンシャルは高い。予選ではふたつほどミスがあった。まだ我々は自分たちのエクィップメントを完全に習得していないということだ。今日の経験は、今後に向けて大きなプラスになる。自分たちの力が今回の予選結果以上であることはわかっている。明日のレースでは、予選順位よりも上の順位でゴールしたい。レースを戦う中でポジションだけでなく、多くのことを向上させられるものと信じている。幸いにもこのコースはオーバーテイクが可能。コウスケは多くのことを1日で学び取ることになるだろう。中団には強力なコンペティターたちがおり、戦いは厳しいものになる。しかし、おもしろいレースにできるに違いない。コウスケは素早く多くのことを習得していくことになると思う。私がこれまで見てきたドライバーの中でも、コウスケは非常に能力が高く、新しいことを習得するのが非常に速い。彼以上の速さで多くのことを身につけて行ったのはファン-パブロ・モントーヤだけだ。コウスケはレースのことも深く理解している。そのことは彼が投げかけてくる質問の的確さに現れている。フィードバックも良い。明日のレースでコウスケは幾つかのミスを冒すことになるかもしれない。しかし、それは仕方のないことだ。多くを学び、いいレースをしてくれるものと楽しみにしている」
スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング公式ウェブサイト
www.superaguri-fernandez.jp