Keita Kawai

ガレージキット攻略チャンプ・カー編〜最終回〜

ずいぶん長くなってしまった製作記も今回が最終回です。

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デカールを貼って乾燥させておいたボディ関係のパーツを引っ張り出し、クリア塗料(Mr.Colorスーパークリアのスプレー缶)を吹き付け、研ぎ出しを行っていきます。わざわざ透明な塗料を吹き付けるのは、デカールの剥がれを防止する目的と、ボディ表面を平滑にして艶のある仕上げにするためです。

まずはデカールを傷めない程度にクリアを4回ほど重ねていきます。いっぺんにどばっと吹き付けてしまうと、デカールが侵されて溶けたり、ひび割れたりするので、細心の注意が必要になります。

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これは失敗例です。イエローのストライプの上に貼り付けられたロータスのデカールが溶け出して、下のストライプを侵しているのがお分かりいただけると思います。また、写真ではわかりにくいですが、ゼッケンを付けた白の丸デカールは全体にヒビが入ってしまい、輪郭もぼやけてしまいました。

こうならないためには、なるべく対象物との距離を置いて、慎重にクリアを吹いていくと良いですね。リスクを避けるには最初からクリアを吹かないというのも手ですよ。ここまで来て失敗すると立ち直れないですから・・・。

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細かい砂を重ねていくイメージで吹いていきますから、蛍光灯の写りこみは、ご覧のとおりでこぼこしています。鏡面とは程遠いですが、ここでは気にしないでください。塗り終わったらこのまま2〜3日ほど塗料が乾くのを待ちます。

次にデカールを貼り付けたことによって生じた段差を1200の耐水ペーパーを使って水研ぎします。ポイントは力を入れてこすらないことです。力を入れると深い傷がついて後々問題になりますし、デカールを削ってしまっては元も子もないですから、作業は様子を見ながら慎重に進めていきましょう。全体に段差が無くなったら再びクリアを吹き付けて乾燥です。

クリアが乾燥したところで1500番のペーパーで全体をならし、コンパウンドで磨きます。コンパウンドは全て量販店においてあるものです。タミヤが2種類(細目と仕上げ目)と、ハセガワのセラミック・コンパウンドを使用し、仕上げとして同じくハセガワのコーティングポリマーを塗付しています。コンパウンドは様々な種類がありますが、普通に模型を楽しむ分には、この程度の材料で十分な気がします。やさしく撫でるように磨いていくのがコツですよ。

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とりあえずこんな感じです。このあとまだ気になるところがあって磨いていたのですが、磨くのに一生懸命になってしまい、写真を撮ることをうっかり忘れてしまいました。もう少し余裕を持って作れるようになりたいものです。

最終工程はもちろん組み立てです。根が不器用なものですから、組み立てが一番ニガテで、やらなくて済むのならやりたくいです(笑)。でも、組み立てないと完成しないわけですからちゃんとやりますよ。

使う接着剤は2種類。ウェーブ製の瞬間接着剤とエポキシ接着剤です。瞬間接着剤のメリットは瞬間というぐらいですから、すぐにくっつくことです。しかし衝撃に弱いところがあり、今回使うものが高強度側の製品とはいえ、強度には心配が残ります。それを補う役目がエポキシ接着剤で、こちらはくっつくまでに多少の時間を要しますが、強度は瞬間接着剤よりあって安心です。場所と目的に応じてこの2種類を分けて使っています。

作り始めるときに仮組をやっていますから、各部の合いは良いはずです。塗膜の厚さで若干の誤差は生じますが、必要な部分はやすりなどで様子をみつつ削っていきます。特に強度が欲しいアーム部分にはエポキシ接着剤がお勧めですね。

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ということで、出来上がりです。このレイナードを作るのは2回目なので、わりとすんなりいきましたが失敗も多く、特にエッチングの接着や、バキュームパーツの扱いはまだまだ経験が必要です。資料と比べるとボディ形状が明らかに違うので、今度作るときはボディ形状を見直すことから始めたいとも思います。とりあえず今回はそのままで組んでみました。

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レイナード98iはその名の通り1998年のマシンです。当時のCARTワールド・シリーズで、圧倒的強さを誇っていたのはホンダ・エンジンを搭載するチップ・ガナッシでしたが、常勝ホンダ/ガナッシに対抗できたドライバーの一人がメルセデス・エンジンを積むフォーサイスのグレッグ・ムーアでした。燃え上がるような赤のガナッシと、鮮やかなブルーのフォーサイスがコース上で熱いバトルを繰り広げていたことを、昨日のことのように思いだします。

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ちょうど、CARTが日本の地上波で放送されるようになった時期だったと思います。その頃いちレース・ファンだった僕は、日本人ですから日本のメーカーと日本人ドライバーを応援していましたが、その中でもムーアの存在がひときわ輝いて見えたことを覚えていますね。

残念ながらムーアは、1999年の最終戦カリフォルニア・スピードウェイで命を落としてしまいます。翌年から名門ペンスキーへ移籍が決まっていたため、非常に悔やまれる事故でした。あれから10年。どれほど時が経っても、カーナンバー99は僕の中で輝きを放っています。

<製作後記>
完成までほんとうに長い時間がかかり、ようやくできてほっとしています。本格的に模型作りを始めたのが6年前くらいになりますが、当初は形にすることすらままならないほど不器用だったので、6年かけてやっと形にできるレベルに到達できたというところでしょうか。まだまだ初心者領域を脱出できていないですから、上手く作れるようにこれからも努力しつつ、マイペースな模型ライフを楽しんでいきたいと思います。今後は1/43スケールにも挑戦しようと考えています。

最近のダイキャスト・ミニカーはほんとうに良くできていて、自分で作るよりマシなのではと思うこともあります。でも、模型作りの真髄は“作ることの楽しさ”だと思いますので、ぜひ、自分で作る楽しみを見つけていただければと思います。これを機会に模型作りを始めてみようという方がいると嬉しいですね。