Hiroyuki Saito

スーパー・ビール戦隊 “Rickard’s”

エドモントンに到着したのですが、もうすでに夜も遅かったし(午後9時30分頃でしたが、緯度が高いので空はやっと夕暮れを迎えようとしていた)、それにカナダだからガス・ステーションではお酒は売っていないのでね、あるリカーショップに立ち寄りました。
 
この何年かはこの辺りのホテルに滞在してレースの取材に通っていたので、空港近辺の小さなホテル街にそのリカーショップがあることは、以前から知っていました。ただ、今回は仮設コースの近くにホテルを予約したので、その道中にリカーショップを見つけるのは面倒だし、それなら知っているところで早めにビールくらい買っておこうと思ったのでした。
 
中に入るとインド系の若い女性の店員がいました。見覚えのある店内の奥に6畳ほどの冷蔵倉庫があり、そこでいろんなビールを選べることも知っていたので迷わず入りました。あれやこれやと物色しているうちに、アメリカのアイオワ州デモインのスーパーで見つけた“Millstream Brewing Company”の“SAMPLER”と似たようなビールの詰め合わせを発見しました。
 

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モルソン・クワーズが製造販売している“Rickard’s”というブランドの“TASTER’S”でした。地ビールって感じではなかったのですが、トロントでカナダの地ビールに関してはすでに紹介しているので、今回はブランド内で異なるスタイルのビールを楽しもうと判断。
 
そのビールが詰まった箱を持って会計のテーブルに置くと、レジで待っていた女性定員が、「良いのを選びましたね。私もそのビールが好きなんです」ってな感じで言いました。たぶん、結構長い時間冷蔵倉庫にこもっていたので、よっぽど悩んでいるんだろうなって思われていたのでしょう。ともあれ、地元の人が好むビールを選べて良かったです。
 
さて、ざっとこの“RICKARD’S”の概要を説明すると、1983年にGord Rickard’s氏が捜し求めたビールの味の実現に成功し、自分の苗字を商品名にした“Rickard’s Red”の販売を開始したのが始まりです。その後、“White、Dark、Blonde”と種類を増やしたあと、モルソン・クワーズに会社を売却したのか、それとも共同経営になったのかは分かりかねますが、現在はそのグループのブランド・ビールとなっていますよ。
 

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まあ、前置きはそれくらいにしてね、まずは“Nouveau”(ヌーボー:フランス語で“新しい”って意味ですな)と描かれた“Rickard’s Blonde”を飲んでみました。このブランドのホームページを見ると、そもそも“Red、White、Dark”っていうのが販売の中心で、この“Rickard’s Blonde”は最近販売を開始したようです。
 
4種類のホップをブレンドしたジャーマン・スタイルのピルスナーと説明されていましたが、確かにね、ピリシュワッとした新しい表現用語で説明しなければならないような飲み応え、舌に残る爽やかな苦味が印象的で、飽きずにいくらでも飲めそうなビールでしたよ。料理としては赤みの肉じゃなくて、ポーク、チキン系のお肉や白ソーセージなどにあうと説明されております。異議なしです。
 
お次は“Rickard’s White”。あ、今回は4本一気にお知らせしますのでざっといきますよ。こちらは本格的なベルギースタイルのホワイト・エールです。小麦とオート麦による淡い白みとまろやかな味わいが特徴で、隠し味のオレンジの皮と粉末のコエンドロの実が、かすかな清々しさを演出。シーフードやサラダに合うと説明されていました。
 
確かに、ホワイト・エール系の味、そしてまろやかさはあるもののそれが独特な癖になっているかとういうとそうでもなく、ある意味ではちょうどいいほわっとした感じとでもいいましょうか。なにやらカナダ人のお気に入りのホワイト・ビールとのことですが、個人的にはもうちょっと濃い目の方が好みです。はい。
 

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さあ、“Rickard’s Red”ですよ。レッドとくれば、スーパー戦隊ヒーローものでいうところのリーダー的な存在ですね。カナダでのナンバーワン・レッド・ビールだとも謳っております。確かに“Rickard’s”の創業者Gord Rickard’s氏が、初めて納得できたビールがこのレッドだったと説明していたのでね、味には自信がありそうです。
 
なにやら3種類のローストしたモルトを使用したアイリッシュ・スタイル・エールで、軽い苦味と滑らかなキャラメルのような風味のバランスがいい、といったようなことが説明されています。ちなみにこのビールの最初の製造場所はブリティッシュ・コロンビア州(バンクーバーのある州、西海岸ですな)だったんですって。
 
苦味の強い濃い目の味を創造して飲んでみたのですが、実はこれらのビールの中で一番癖がなく、すっと飲めるビールだったんですね。なんというか“Blonde”に赤みとコクを足したような感じとでもいいましょうか。
 
ビール特有の苦味(+)と滑らかなキャラメルのような風味(−)のバランスが取れすぎてプラマイゼロ(0)のとても飲みやすいビールになっちゃったよって感じです。そういった意味ではね、これもいくらでも飲めるようなビールではあります。これにあう料理は、グリルしたお肉と説明されていましたね。確かに料理の味を引き立てるようなビールです。
 
取りを飾るのは“Rickard’s Dark”です。イギリスのポーター・スタイルでして、ケベック・メープルシロップのかすかな風味があってクリーミーでスムース。ラムなどの肉料理やチーズ、デザート全般にあうようなことを説明されていました。
 
これはね、確かに決め細やかな炭酸が黒ビールって感じでね。しっかりとした苦味もあるのですが、メープルシロップのおかげなのでしょうか、濃すぎずにとてもまろやかなビールだったんですね。これなら黒ビールだけど、結構飲めるなって思わせるビールでした。
 
以上、“Blonde、White、Red、Dark”といったカナダのスーパー・ビール戦隊“Rickard’s”の説明が終わりました。総評的には、各地域にある地ビール醸造所で製造された癖のあるビールという感じではなく、4種類すべてが、カナダの東海岸から西海岸まで各地の人々に合うような飲みやすいビールだなって思いましたよ。
 
ちなみにビール自体の写真を現地で撮影するの忘れていたので(飲むことに集中していたで)、リーダーの“Rickard’s Red”の写真だけを掲載しました。他のビールに関しては、なんとなくイメージしていただければと・・・・・・。
 
さて、レースもなかったのでそろそろネタが尽きてきたところですが、来週までなにか特別なイベントがない限り、次回は取って置きをご紹介したいと思いますよ(それでネタ切れなので来週Sonomaで仕入れてこないと・・・・・・Napa Valleyも近いしワインかな?)。