“グレート・ギャツビー”(スコット・フィッツジェラルド著)という20世紀のアメリカ文学を代表する小説があれば、“グレート・バリア・リーフ”といった世界最大のサンゴ礁地帯、「優しい巨人(人じゃないけどね)、犬の中のアポロ神」と呼ばれる“グレート・デーン”といった犬種、そして日本ではタケシ軍団員として有名な“グレート義太夫”と、“グレート(Great)”を含んだ名称は数多くあります。
そんな“グレート”ですが、なにも小説のタイトルや名所だったり、犬種や人の名前だけではありません。カナダ全土で240店舗も展開するハンバーガーショップ“Harvey’s”のメニューにもあるんです。その名もずばり“グレート・カナディアン”。
1959年からスタートし、もう50年以上もの歴史があるお店ですからね、それこそカナダを代表するようなグレートなハンバーガーがあってもおかしくありませんよ。今回そんな“グレート”をどこで発見したかというと、僕が滞在していたホテルから約1マイル東にあるトロント・ピアソン国際空港の近郊でした。
実は前々からそのお店自体の場所は知っていたものの、昨年までは現地の日本食レストランの取材を“使命”と思って通っていたのでね、なかなか行く機会がなかったのですが、今年はもう夜はファスト・フード系でいいやってことで、三日間その“Harvey’s”に通いましたよ。
いくら僕でもね、三日間もハンバーガーショップってつらいのですが、通ったのにはわけがあります。このお店、メニューの内容に関してはマクドナルドなどのファスト・フードとそれほど変わらないのですが、オーダーを聞いてからね、600度の熱を放つグリルで肉を焼き、パンにも焦げ目をつけたあと、数ある種類のトッピングとソースを、お客さんが目の前で選ぶことができるんです(ベーコン、チェダーチーズ、オニオンリングは最初にオーダー)。
完成したバーガーを包装紙に手際よく包んで出来上がり、厚切り揚げたてのフレンチフライと一緒に持って帰ってね、ビール(このビールに関しては次回ご紹介しますよ)と一緒に食べるとこれがまた美味しかったんですね。
そんな調子で初日は“オリジナル・バーガー”を頂いたのですが、二日目も面倒だからあそこでいいやって思いながら、お店に入って今日はチキンにするかと改めてメニューを見ると、昨日は見落としていた“グレート・カナディアン“という項目を発見したんです(初日は時差ぼけもあり、疲れていたので、もう普通のでいいやって感じだった)。
これはね、せっかくカナダにいるんだからもうネーミングだけで食べねぇとなって早速オーダー。オリジナルより肉厚で大きなパティが焼きあがるまで3〜4分ほど待ち、店員が焼きあがったパティをパンに挟んでトッピングコーナーに移動してきました。レシートが張られた紙袋を見るとた「カナディアン・バーガーをオーダーした人は?」って呼ぶもんだから、ささっと行ってトッピングを注文。
ピクルス、トマト、レタス、オニオン、そして仕上げにバーベキュー・ソースをかけてもらったら、これまた手際よく包装紙に包んできあがりました。頼んでおいたフレンチフライを持って帰るだけとなったのですが、忘れていたようでそれから揚げ始めたのはまあ、よくあることですからちょっと待ってね。お待たせって感じで渡された“グレート・カナディアン”とフレンチフライを持ってホテルに戻りました。
昨日買っておいた鹿のマークでおなじみのカナダ産ビール“Alexander Keith’s India Pale Ale”を冷蔵庫から取り出し、ごくっと喉を潤したあと、早速、丁寧に包装されているその“Great Canadian”を包装紙から開放し、全貌を確認。
ちょろっとはみ出たピクルスが舌のように見え、なんかかわいらしいなって思いつつ、それじゃあ、次はトッピングを確かめるために、色白のカナダ人女性の肌を髣髴させる、そのパンを取っちゃうぞって、あられもない姿となったのがこちら。
当たり前だけど、オーダーしたとおりのトッピングがのっていることに安心しましたが、なんか見た目があまりよろしくなかったような気がしないでもない・・・・・・そう、やはり見なきゃよかったってことっていろいろとあるんだよなってひとり感慨深くなりながら、パンをそっと戻しました。
気を取り直して頂くと、まず感じたのはパンの柔らかさ。焼きすぎていないパンはほわっと柔らかく、またその上にまぶしてある小麦粉? のような魔法の粉が風味を出しています。次にドカンとくるのが、確実にオリジナル・バーガーよりも肉厚なパティ。プレミアム・セレクトのビーフを使用し、焼きたてなのでその肉汁はとてもジューシーなうえ、肉の味がしっかりとしています。
“Harvey’s”の農場で作られたピクルスにフレッシュなトマト、レタス、オニオンがバランスよくお互いを引き立てるのですが、結局はバーベキュー・ソースでね、味が決まってしまうという感じにもならないわけではない・・・・・・まあ、バーベキュー・ソースが好きだからいいかってことでひとり満足。
カナダの大地からの恵みを受けた野菜や、厳しい自然環境の中、広大な土地で放牧された牛のなんていんでしょう、恩恵をね、この“グレート・カナディアン”が表現しているといっても過言ではない、そう俺はいま「カナダを食べているんだ」と、ふと思わせる・・・・・・これくらいにしておきます。
“グレート・カナディアン”とは、“偉大な、素晴らしい、大きい・カナダ人”など、そのネーミングの意味は、いろいろな解釈がありますが、ここでひとつ僕なりに表現するならば、サムアップして一言“グレート!(うまい!)”と、いわずにはいられないハンバーガーでした。
皆さんもカナダに来る機会があれば、カナディアン・ビールと共に(お店ではビール販売していませんから酒屋で買ってください)、この“グレート・カナディアン”をね、ぜひお試しあれ。