Hiroyuki Saito

復興へ向かって(多賀城、七ヶ浜編)

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。今回の年末年始は実家のある宮城県多賀城市に帰省し、震災後の地元を再び確認することができました。from USのコーナーですが、やっと地元の様子をお伝えできるような準備もできたのでね、新年最初のコラムはfrom Miyagiとして、震災から復興に向かう状況を僕なりにお伝えしたいと思います。
 
震災時、アメリカにいた僕はテレビでその衝撃的な映像を目にしました。生まれ育った街が津波によって次々と破壊され、無残な姿に変わっていく姿はほんとうに胸が締め付けられる思いでした。地元で大変なことが起こっているのに海外にいる自分はなにもできず、とても無力だったことも痛感させられました。
 
各地を襲っている津波の映像を、テレビをはじめインターネットで何度も観ながら、家族や友人の安否を確認していました。その光景を観る度に、いてもたってもいられなくなるのですが、どうすることもできず、歯がゆいばかりでした。
 
やっと、日本に一時帰国できたのは昨年5月のゴールデンウィーク明けでした。多賀城をはじめ被害の大きかった石巻にボランティアにも行き、実際に震災後の故郷を自分の目で確かめることができました。
 

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そのときの衝撃も決して忘れることはできません。震災から約2ヶ月が経っていたのですが、至る所に地震と津波の爪あとが生々しく残っていました。仙台港から多賀城市の内陸約2キロまで押し寄せた津波は、その間にある多くの工場、そして大型量販店やレストランを襲いました。押し流されたクルマや瓦礫が道路周辺や空き地に積み重なり、多くの民家が致命的な被害を受けていました。
 

 
地元の姿をこれほどまでに一瞬にして変えてしまった津波。これまで多くの災害が世界各国で発生していますが、まさか自分の生まれ育った街に降りかかるとは、夢にも思っていませんでした。
 

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海岸沿いの状況も知りたくて向かったのは、隣町となる七ヶ浜町の菖蒲田浜(しょうぶだはま)。よく泳ぎにいったその海岸には、決してあるはずがないコンテナが4キロ先の仙台港から流されて漂着していました。七ヶ浜に住む友人の話だと、このコンテナに積んであったタイヤを勝手に持っていってしまう人もいたようで、地元の人々は治安が悪くなるのではと、心配していたようです。
 
友人に状況を説明してもらいながら、あるガソリンスタンドに向かいました。実はアメリカに来る前、この海岸からわずか200メートルの場所にあるそのガソリンスタンドで灯油配達の仕事をしていました。スタンドが無事だったのかどうかを確かめたかったのです。
 

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スタンドにいくと変り果てた姿に言葉を失ってしまいました。雨をしのぐための高い天井、そしてそれを支える鉄柱はあるものの、確かにあったはずの事務所、そしてスタンドの裏側にあった社長の家も流されてしまっていたのです。
 
そのような状況にもかかわらず、ガソリンスタンドは仮設の事務所を設けて営業していました。働いていた社長と息子さんに13年ぶりにお会いすることができましたが、恰幅の良かった社長と息子さんは見るからに痩せていて、苦労されているんだということがわかりました。
 

 
ガソリンを入れ、挨拶をしてスタンドをあとにし、七ヶ浜の海沿いを友人に案内してもらいました。13年前、僕が灯油を配達していた街はあまりにも変わり果てた姿となっていました……
 
あれから7ヶ月。年末年始に再び実家に帰省して、多賀城をはじめ各地がどれだけ復興してきているのかを知るために再び各地を訪ねました。
 
多賀城で津波の被害が大きかった仙台港から多賀城駅に向かっての状況は、クルマや瓦礫の撤去もほとんど済み、イオン多賀城店も営業を再開。レストランや量販店も復帰しているところがありました。もちろん、いまだ手付かずのお店、工場も多くありますし、ガードレールなどは曲がったままのところも多いですが、復興は確実に進んでいました。
 

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七ヶ浜の街も5月に訪れたときの瓦礫は撤去され、住宅があったと思われる場所にはコンクリートの土台だけが残されていました。僕が働いていたあのガソリンスタンドもちゃんと営業しており、スタンドを取り囲む外壁が新たに築かれていました。
 

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菖蒲田浜では5月に訪れたときにあったコンテナは撤去され、海ではサーフィンをする人もみかけることもできました。海岸も元の姿に戻ろうとしていました。
 

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また、今後の津波対策として海岸沿いにあった防潮林の少ない場所に、新たな若木が植えられていました。
 
今回の帰省でも地元の皆さんはもちろん、ボランティアを始め復興に携わっているお仕事をされている方々の懸命な努力によって、確実に復興している姿を確認することができました。ただただ感謝です。
 
次回は、仙台空港から仙台港までの名取市にある荒浜を中心とした海岸沿いにも行くことができたので、そちらの状況をお伝えしたいと思います。