Hiroyuki Saito

スイス旅情 −イタリアン・カフェレストラン“SAN REMO”編−

インディアナポリスに来て一週間が過ぎました。ポールデイ、セカンドデイと無事に終わり、今週の木曜日から再びプラクティスが行われて今日からサードデイ、バンプデイの週末がスタートしました。

グリッドが決定していないチーム、マシン、ドライバーにとってはこのサードデイ、バンプデイで予選順位、そして決勝進出が決まることになります。ロジャー安川もシートを得るためにチームとの交渉をぎりぎりまでがんばっています。ロジャーが乗れることを身近で祈っているところです。はい。

さて、サードデイで雨が降ったので、長々と引っ張っているスイス旅情の続きをお伝えしますよ。ジュネーブ探索で見て感じた旧市街地やレ・マン湖での出来事については、十二分にお伝えできたと思うので、今回からはテーマを“食”に変え、僕が現地で食べ歩いたレストランをご紹介する“喰い探訪!万才”に突入したいと思います。なんだそれ。

−喰い探訪!万才 イタリアン・カフェレストラン“SAN REMO”編−

すでにご当地マクドナルドのことについてお伝えしましたが、じゃあ、スイスで有名な料理っていったらなんだべ? って考えると、チーズ・フォンデュくらいしか思い浮かびません。

じゃあ、そのフォンデュがあるレストラン探してみるかと、スリに遭ったショックを引きづりながらもレ・マン湖を離れ、旧市街地をうろうろとレストラン探索することにしました。すると、それらしき料理が描かれている看板のお店を発見。ここにするかと思ったのですが、ひとりでチーズ・フォンデュってどうよ? って、ふと冷静に考えはじめました。

なんか僕の中ではチーズ・フォンデュって、イメージ的に日本の鍋に近いものがあって、その友達とか家族でわいわい言いながら食べるもんじゃないかと思い始めたわけですね。それじゃ“喰い探訪!万才”なんていっていられませんが、今日はスリにも遭ったし、ひとりフォンデュしたら、なんか寂しすぎないかと。

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そこでフォンデュは知り合いが来たら一緒に行こうと思い、そのお店の向かいにあったイタリアンのカフェ・レストラン、“SAN REMO”に入りました。スイスって、イタリアにも面しているからイタリア料理もうまいんだべなって、淡い期待を胸にお店に入りましたよ。

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店内はいかにもヨーロッパといった雰囲気です。僕の英語が通じるのかちょっと不安でしたが、ウエイターのおじさんがフランス語訛りの英語で快く対応してくれ、テーブルへと案内してくれました。

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早速、スイスの地ビールを頼むと、黄金色のシュワっとした液体が、ガラス細工の施されたジョッキに注ぎ込まれて、僕のテーブルへ運ばれてきました。ぐびぐびってな感じで飲んだら、なんか緊張していた体がやっとほぐれたような気がして、よく冷えたビールなのになんだかホットしましたよ。ふーってな感じでやっと落ち着いたので、今度は何を食べるのかメニューを見ます。

いろいろとある料理の中から選んだのは、ミネストローネとペペロンチーノといった僕の中ではよくある組み合わせでした。旅先だったら食べたことのない料理を頼んだほうがいいんじゃねぇの? って、ご当地での醍醐味を無視している感もあります。まぁ、今回はジュネーブのイタリアン・レストランで出されるこれらの定番料理の味はどうなんだ? っていう興味の方が強かったのです。まぁ、単純にそれらが食べたかったのもあります。はい。

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さて、目の前に運ばれてきたミネストローネ。お腹も空いていたので早速いただいてみると、さっぱりしているようで実は深みのある味わいです。野菜も十分に煮込んであって、煮込みすぎかと思わせますが、それがまたいいのでしょうね。野菜たちが口の中でとろけます。

日本の有名なイタリアン・レストランでいただくような上品な感じでもなく(それほど行ったことはありませんけど)、しいて言うならばワイルドなんだけどマイルド(これは言いたかっただけですけど)な感じですかね。なんだかわかりませんね。

まぁ、簡単にいうと、おいしいのですが、なんか日本の味で例えるなら田舎の味噌汁のような感覚、そう、ほっとする味とでもいいましょうか。あ、これは温かいスープだから本当にホットですよ。ともあれ、そんな懐かしい味だったので、あっという間に食べてしまうと、今度はメインのペペロンチーノが登場です。

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なんかあっちこっちにパスタが暴れていて見てくれはちょっといただけませんが、そんなお皿からはみ出ているパスタをちゃんとフォークで集めていると、まずはガーリックの芳醇な香りがふわっと鼻腔をくすぐります(ベタだな)。我慢できずに熱々のパスタをフォークで巻いて口の中に入れ、はふはふってな感じで熱が冷めるのを待って、ゆっくりと味わっていきます。

するとピリッとした唐辛子の辛さが広がっていき、「そういえば、辛いの苦手だったー」って思いながらも程よい辛さに安心し、次第に口の中はペペロンチーノでいっぱいになっていきます。

無事に喉を通り過ぎて、胃の中に収まる過程を繰り返していると、僕の鈍感な味覚も「なんかうめーな、これ」ってわかってきたようです。気がつくと、パスタは綺麗さっぱりなくなっていました。美味しい料理って食べ始めるとあっという間になくなっているもんですよね。星★★★★☆です。

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料理には満足したんですけど、ひとつ迷惑なことが…。実はその食事中、隣のテーブルに座っていたお爺さんが食事中だって言うのに、こっち向いて携帯電話を片手にずっと大声で話をしていたんです。しかも電話の相手に返事をするたびに「シー! シー!」って、ほんとうるさかったので「しー、 しーって、それは俺の台詞だよ!」って、何度も言いたくなりましたよ。まったく。

ともあれ、スリにあった傷心の僕を癒してくれたイタリア料理でした。次回は滞在先のホテルにあったレストラン「Swiss Bistro」についてお伝えしたいと思いますよ。