Hiroyuki Saito

その瞬間に巡り会えること

インディ・プロ・シリーズに参戦している武藤選手が今シーズン2度目の優勝をケンタッキーで飾りましたね。7月に行われたF1のサポートレースのときは取材にいけず、初優勝を見逃していただけに参戦当初から取材している僕達にとっても嬉しい優勝でした。

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本人はもちろん、関係者も含め応援しているすべての人達が望んでいたオーバル・コースでの優勝。なかなか出来そうで出来なかっただけに格別な勝利となりましたね。
僕自身、1999年からアメリカのレースを取材していますが、自分が取材してきた日本人ドライバーの優勝に立ち会えた機会は2回しかありません。

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ひとつは2001年にCARTのサポートレースとして行われていたバーバー・ダッジ・プロ・シリーズで、参戦3年目を迎えていたロジャー安川がバンクーバーで初優勝したときでした。

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翌年、トヨタ・アトランティック・シリーズにステップアップしたロジャーがミルウォーキー戦で優勝し、2回目の取材を経験しました。
それから5年。変な例えですが小学校1年生が6年生に成長するまで、その機会はなかったことになりますね。確かにステップ・アップ・カテゴリーでの日本人ドライバーの参戦は少なかったこともありますし、インディ・カーでの優勝に関しても厳しい現状が続いていたこともありますが、改めて考えても長かったですね。
5年振りの優勝シーンを僕達に見せてくれた武藤選手は、ロジャーが日本にいた小学生時代、所属していたゴーカート・チームによくお父さんと一緒に武藤選手が遊びに来ていたところから知り合い、それ以来弟のように可愛がっていたというから、それもまた感慨深いものがあります。

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ポディウムに入ってきたマシンが止まると、コックピット内で立ち上がった武藤選手は両手を力強く上げました。その目からは涙がこぼれていました。「ブレア(担当エンジニア)が悪いんだよ。無線の声が泣き声だったからついもらっちゃった」なんて、インタビューで照れながらその事を説明していたのがなんだかチャーミングでしたよ。

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そんな武藤選手を撮影していた僕も目頭が熱くなりましたが、撮影に影響しますからぐっと込み上げてくるものを我慢しました。この感動を撮影してみなさんに伝えることが仕事ですからね。
僕自身、このような感動を伝えたくて撮影を続けているわけですが、その機会はなかなかありません。モータースポーツに関しても他のスポーツにしても探し回ってあるようなものではなく、それまでの過程も含め、様々なタイミングがうまく重ならないとその感動には巡り会えないのでしょう。
武藤選手の優勝で久しぶりにその瞬間を撮影することが出来ました。カメラマンをやっていて良かったと思う瞬間でした。
もちろん、我々メディアも含め日本のモータースポーツファンが待ち望んでいるのはインディ・カーといったメジャー・シリーズでの日本人ドライバーの優勝です。
その瞬間に自分がまた巡り会えることができるよう今後も取材、撮影をがんばっていこうと改めて思う武藤選手の優勝でした。
今後の武藤選手の活躍に期待したいですね!

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